昭和の妖怪 岸信介 (中公文庫)

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著者 : 岩見隆夫
  • 中央公論新社 (2012年11月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122057234

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昭和の妖怪 岸信介 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 60年安保とともに、若い人のあいだでもいまだに記憶されている数少ない昭和の首相、岸信介氏。本書には1970年代に文芸春秋誌上にて発表された、岸氏についての2本のレポートが収録されています。

    テーマはそれぞれ「満州」と、「戦後」であり、岸氏の政治生活の中核にあった時期が取り上げられています。時期を限定せず岸氏という人物の生涯全体を知りたいのであれば原彬久『岸信介 権勢の政治家』(岩波新書)などをお勧めします。

    本書は岸氏の「妖怪」と呼ばれるにいたる所以を、膨大なインタビューをもとに描き出していくという内容になっていました。岸氏はカネの話を嫌う人物だったようですが、岸氏に都合の悪そうなあたりの話題も取り上げているところ、むしろそれをメインにもってきているところが本書の特徴といえるかと思います。初版は1979年であり、当時は時事レポートとしての意味合いも持っていたのでしょう。

    新安保自然成立の夜のエピソードが特に印象に残っています。"岸は午後八時すぎ、二階の総理執務室を出てトイレに入ると、その足で地下の喫煙室へ降りて行った。農林大臣の福田赳夫、労働大臣の松野頼三らがテレビを見ていた。岸はその中に入ると葉巻をくゆらせながら、一時間近く巨人-中日戦を観戦した"(P.229)

    数多くの関連人物に対するインタビューが出てくるので、読んでいていささか混乱しました。それでも星野直樹氏、甘粕正彦氏、石田博英氏など、印象に残る登場人物が何人かいます。戦争が終わって70年近くが経ち、現在の政治は岸氏が活躍したころと比べるととても安定していて、悪く言えば強烈な個性が生まれにくくなっている。なんというか、当時を生きた人たちが少しだけうらやましいような気持ちになりました。

  • 昭和史の光と影をつねに身にまとったこの怪人政治家の特異な野望とは。
    「満州」と「日米安保」昭和戦前戦後を連接させた独座の男。その功罪を明視する。

    親本は1979年の刊。1999年文庫化。今回、中公文庫により再文庫化である。内容は大変面白いのだが、岸信介が現役の時代を知らないせいか、わかりにくくもある。
    著者は、岸に対して懐疑的な目でみており好悪で言えば悪感情の方が強いという。本書の端々にもそれは窺える。私には偏った見方にも感じられるのだが、別の視点でみるとどのような風景が見えるのだろうか気になるところである。
    本書が岸存命中に取材され書かれたことは同時代の証言として大変貴重なものと言える。

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昭和の妖怪 岸信介 (中公文庫)の作品紹介

「商工省に岸あり」と謳われた切れ者が満州に渡り、わずか三年余、運営と統治に十全な指導力を発揮して、日本に凱旋する。終戦後、A級戦犯から復活を遂げ急ぎ足で権力の階梯を駆け上ったこの男は、総理となって安保改定に真骨頂を発揮する…。昭和史の光と影をつねに身にまとったこの妖人政治家の特異な野望とは。

昭和の妖怪 岸信介 (中公文庫)はこんな本です

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