努力論 決定版 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122057500

作品紹介・あらすじ

世界から勤勉の美徳を賞賛されてきた日本人が、安直な方法論と手近な満足感を求めるようになってしまった。いま起こっている問題の多くは、「労せず功を得ようとする風潮」に原因がある。すさまじい努力で道を切り拓いていった同胞偉人たちの姿を鮮烈に紹介し、現代人に活を入れる、著者渾身、読者瞠目のスーパー・エッセー。心して読まれたい。

感想・レビュー・書評

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  • 子ども相手の挿絵にも一切手を抜かなかった人の話が印象的でした。また、棋士のお話も。

  • 著者の斎藤兆史(よしふみ)氏は英文学者である。2023年に東大を退職し、名誉教授になった。
    2007年に発刊されたものを改訂し、決定版として2013年に出版したのが本書であり、「勤勉さを取り戻せ」というメッセージを発している。
    斎藤兆史氏を知ったのは、齋藤孝氏との対談『日本語力と英語力』である。コミュニケーション中心主義の英語教育に意を唱えている。
    本書の収穫は、河口慧海を知ったことだろう。初めてチベットに入った日本人であり、その壮絶な旅程を描いた『チベット旅行記』が引用されている。こんな凄まじい日本人がいたとは知らなかった。
    19世紀から20世紀にかけて、イギリスとロシアは中央アジアの覇権をめぐって「グレート・ゲーム」と呼ばれる政治的抗争を繰り広げた。その発端はアフガニスタンの争奪抗争であった。19世紀後半になると、イギリスで近代アルピニズムが生まれ、ヒマラヤ探検が行われた。河口慧海がチベットに入ったのは1900年前後。当時、チベットは鎖国をしており、その入国ルートは機密情報であったらしい。慧海の『チベット旅行記』は当初、信憑性を疑う声が上がったが、日記が見つかったことでその声も静まった。

  • 著者の英語教育・学習に関するアドバイスは、まがい物ではない実力を付けるために必要な努力を求めるもので、いつも共感・恐縮している。
    ただ、最近は偉人伝に伝えられてきた人の「実は…」と言った話も多く、偉人のその時代の努力を否定するつもりは無いが、実は現代の専門高度化が進む時代の努力も十分それに勝るものなのではないかと思う。

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著者プロフィール

東京大学大学院教育学研究科教授

「2019年 『言語接触 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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