箱館売ります(下) - 土方歳三 蝦夷血風録 (中公文庫 と 26-21)
- 中央公論新社 (2013年4月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122057807
作品紹介・あらすじ
プロシア人のガルトネル兄弟を操り、領土拡大の企みを推し進めるロシア。その策謀に気づいた土方歳三たちは、箱館を、そして日本を守るために立ち上がる。だが、旧幕府軍、新政府軍の垣根を越えて集まったのは、軍事に関しては素人同然の五〇人だった。北の大地を揺るがす大事件に、指揮官の土方歳三はどう立ち向かう-。
感想・レビュー・書評
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幕末のドサクサに日本国内に領土を得ようとするロシア。その思惑に対して、旧幕府軍の土方、榎本、大鳥らがそれぞれの主義主張をもって対決する。斎藤順三郎、中島三郎助がいい。
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あの事件は実際にあったことみたいですね。
読みやすくて一気に読んでしまいました。
あんま土方は関係ないけど(活躍はとてもしてた)、私みたいな土方ファンが読むきっかけとはなって五稜郭でこんな事件があったんだなって
おもしろかったです! -
蝦夷政府の土方歳三と、新政府側の遊撃隊が協力してロシアの北海道の植民地化の陰謀を打ち砕く。その戦闘シーンの描写はとても臨場感溢れ、一気に読めた。そして、大鳥圭介がフランス流の兵術を忠実に実行できるが、臨機応変な対応ができず、そもそも戦場での人の心の動きを理解出来ていないところに脆さがある点、その点をカバーして土方歳三に挑む榎本武揚(そのときには土方と戦っているとは知らないが)が格好良い。
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下巻は一気に斜め読み。
土方歳三。
p.173~176の、市村鉄之助に語る言葉には泣いた。
たった数ページ分だけど、これだけかっこよく描いてくれれば、文体が好みじゃないとかそういうことはどうでも良くなりました、はい。
武士が命よりも大切にする忠義ってもの。
百姓出の自分は、常に「武士として、どのように行動すべきか」考えていなければならない上に、「何に忠義を尽くすのか」すら、自分で見つけなければならない。
自分で見つけた、自分だけの忠義。
忠義に尽くして、そして散る。
それが美しいのだね。
あと、榎本武揚。
かっこいい散り方ってのももちろんあるけど、かっこいい生き方ってのが絶対あるものだから。
どうしてこんなに微妙なキャラ設定なのよ!!違うでしょ!と、なまらふぁっきんしていたけど、最後はちょっと良かった。
(榎本武揚が超脇役の本で求めることじゃないけど。
でも若干ね。
まぁ、榎本武揚が主人公の本を読みなさいって話で。)
蝦夷政府首脳陣で戦死したのは土方歳三と中島三郎助だけ、ふむ。
中島三郎助(と息子兄弟)がクローズアップされていたのは『北の五稜星』だったか。
自分の感想を読み返したら、あれも大河ドラマ風だった、らしい。
箱館戦争関連、興味はあるけど熱心に探したことがないから受身の姿勢で、好みの文体にまだ出会っていないのが問題だ。
新規開拓ジャンルとして軽くメモ。 -
サブタイトルのような「土方歳三蝦夷血風録」にはちょっと遠い気がしたが、題材になっているガルトネル事件が実際にあったことは全く知らなかったので、幕末期には混乱に乗じて色んな事があったのだなぁとますます幕末という時代に興味を持ちました。
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読み終わって面白さに唸り、中江有里さんの解説を読んで本作に出てくる「ガルトネル開墾条約事件」が史実であったことを知り、驚きに再び唸らされました。
箱館戦争と合わせて二つの史実の陰に、実はロシアが蝦夷地を植民地化しようとする陰謀と、それを阻止せんとする土方歳三らの活躍があったのではというのが、本作の大筋です。
己の信ずるところに従い、敵味方にこそ分かれているものの、日本のためを思う志から一時的に手を結び共通の敵に立ち向かう男たちの姿には、胸を熱くさせられます。
そして、全編にわたっての土方歳三のかっこよさ。
「生まれつきの武士でない分、ぼんやりしてると百姓の地金が出ちまう」からこそ、どんなときにも、「武士として、どのように行動すべきか」を考えていなければならないという言葉どおり、旧幕府軍の中で随一の武士として輝いていました。 -
戊辰戦争時、プロシア人の函館の開墾地の借り受けにおける外交事件。架空の出来事と思ったら実際の事件です。
土方歳三メインの作品とはいえないので副題が?と思いますが、この時代のあまり知られていないけど危険だった事件を書いたものと思えば、なかなかスリリングでした。 -
男の生き様。
ガルトネル事件を知らなかったので興味深く読めた。
下巻は土方に見せ場有り。 -
土方歳三が、ロシアの蝦夷制圧した旧幕府佐幕派に対する土地略奪を新政府軍勤王派と組んで日本を守るため食い止める話。新撰組の生き残りで蝦夷での最後を遂げる土方は、百姓の倅から最後迄、ブレ無い心で本当の武士魂を持って死んで行く姿は、眩しいが蝦夷での榎本武揚を始めとする取巻きは好きになれない。
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201402/土方は、サブタイトル程の出番はないけど圧倒的なインパクトでカッコ良く書かれてた。ガルトネル事件ってよく知らなかったけど、史実と創作の融合でここまで面白く読ませるのスゴイ。金十郎や蓮蔵等、他キャラ達も良かった。他シリーズも出てるようなので楽しみ。
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土方さんがカッコイイと、気持ちが良いです。
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いや〜、じれったかったな〜。引っ張りすぎじゃないですかねぇ。某パ○○○に夢中だったこともあって、いまひとつのめりこめなかった。
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まぁ「ガルトネル事件」と言う事実は事実として、ここまで話を膨らませていく手腕がスゴイ。解説でも書かれているように、あまり有名(?)ではない事件(というほどのものかはともかく、歴史的にはそう呼ばれたりしている)ものを、エンターテインメントとして昇華させ、読みごたえのあるものになっている。史実を知っている人から見れば、ちょっと強引な背後関係や戦闘シーンもあるものの、小説として考えればとても楽しめる。
土方をクローズアップするあまり、少々周囲の人物の扱いがひどい感じもあるので、そこは好みが分かれるかも。まぁ、本書を読んでこれが事実だと思うような人は少ないか(^^; -
こちらは土方さんが上巻よりはでてくる
鋭い洞察力本当すごい
国を守るため敵も味方もなく国を守りたいと思う人々と戦う姿かっこいい -
いい所持っていくなー、土方さん。
幕府も明治政府も関係なく、日本というものを守ったというのがいいですね。 -
前編では全くいいところのなかった土方歳三だが、後編では主人公としてやっと、その立場に相応しい活躍をする。前編では陽明学の師匠の山を降りるシーンのみが面白かったが、その後の小ぶりぶりに、何のために登場したのかと思っていたが、土方を前面に押し出すための重要な役回りを演じるための登場しており、そのために、このキャラが必要だったということが良く分かる。その他の脇役もその役どころに応じたキャラが設定されていたこともよくわかる。前編、後編、通して読むべきだろう。
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どのへんまで史実なのやら。下巻の土方はかっこよかった。
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幕末から明治初期、蝦夷地(北海道)において発生したガルトネル事件、その真相には、ロシアが領土拡張の思惑が絡んでいた!、みたいなお話です。
まず「ガルトネル事件」を知りませんでした。
日本の地においても、清朝時代の香港になりそうな事件があっただなんて、全然知りませんでした。
たまたま富樫さんの本を続けて読みましたが、こちらは、より文体が軽くて読みやすかったです。
(その分、キャラクター描写も少し軽かったですが・・・)
文末の戦闘シーンが圧巻です! -
改めて土方に惚れる、ということはなかったが、こんな事件があったのかと初めて知って驚愕。どうなるんだ、と読むのが面白かった。
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箱館戦争を舞台に繰り広げられた蝦夷の植民地化を狙うロシアの陰謀を巧みなストーリーで展開していたのは面白かった。
ただ、土方歳三の熱血漢・活躍振りは全体を通しても少なかった。
帯に書いてある「人とは何か。国とは何か。信念とは何か。」を考えさせられる1冊だった。
読みやすいのオススメしたい。
売られなくて良かった。 ふるさと「箱館」! -
残念。惹句ほどの魅力は感じられなかった。なんでだろう。土方歳三の出番が少ないからかもしれない。
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土方に惚れるとはいうけれど、土方以外の部分がクローズアップされている感じ。
テンポよく進んで行って、おもしろかった。
ただ箱館戦争の結末はなくてよかった。詰め込みすぎ。