献心 - 警視庁失踪課・高城賢吾 (中公文庫 と 25-30 警視庁失踪課・高城賢吾)

著者 :
  • 中央公論新社
3.64
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本棚登録 : 763
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122058019

作品紹介・あらすじ

綾奈の死の真相を知る-決意した高城に長野が目撃者情報を持ち込む。十数年を経て得られた新しい証言。しかし会社員だというその男は一転証言を曖昧にした上で、弁護士を通じて抗議をしてくる強硬さだった。不可解な態度を不審に思いつつ、地道に当時の状況を洗い直す高城は、綾奈の同級生母子を追って一路東北へ向かう。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ最終巻。 12年前の娘の死の真相に迫る主人公。今までの前9巻はこのためにあったかのようにも感じます。12年という年月を真相にたどり着くために費やした側と、その真相から逃れるように費やしてきた側の時間の重み。 人生とは人との別れ、人は真っ新なままでは生きていけないんだなあ、様々な思いを抱えながら時を生きていくんだと改めて感じたシリーズでした。

  • このところ、失踪課シリーズをまとめて読んできたが、10冊を数えこのシリーズ。高城の娘の事件も決着がつき、ついに最終巻。
    思いのほかあっけない終わり方、そしてまだ続くような・・・
    人気テレビドラマが終了すると、〇〇ロスという言葉が語られる。このシリーズもこれで完結だと思うと、そんな気が生じないでもない。
    ここまで読んでくると、高城、愛美、醍醐たちそれぞれが、すぐ近くにいるような現実感で、読み手の頭の中でまだ躍動している。
    このシリーズでも、大友鉄や城戸検事、あるいは追跡調査係の西川と沖田たちが出てきたように、現在続いている他のシリーズに、失踪課のメンバーを登場させ、その活躍する姿を見てみたいと思うし、できれば続編も期待したい。

    • hs19501112さん
      【失踪課シリーズをまとめて読んできた】

      このシリーズをまとめ読みとは!
      ・・・疲れますよね(笑)。

      そして、この結末は・・・...
      【失踪課シリーズをまとめて読んできた】

      このシリーズをまとめ読みとは!
      ・・・疲れますよね(笑)。

      そして、この結末は・・・・、心が重くなります。

      それでもまた別なシリーズを手に取りたくなってしまうのが、堂場作品の魅力なのですが。
      2017/04/17
  • 日和ったな堂場瞬一。台無しだよ。10巻も費やしてなんだこの終わり方は。なぜ高城にキチンと復讐をさせない?なぜ誰も裁かれないように無難に終わらせた?なぜあれだけ仄かした愛美との関係をはっきりさせない?無難に終わらせてんじゃねーよ!しばらく堂場瞬一読まない。

  • 何者かに殺害され、建築中の家の基礎部分に埋められていた綾奈。
    その事件の犯人がようやく明らかになる。
    解決・・・という言葉は使いたくないと思うような結末。
    ずっと高城が苦しみ続けてきた綾奈の失踪事件。
    思いがけない出来事から遺体が発見され、捜査本部も設置され、気の遠くなるような地道な潰し作業の末に高城はようやく犯人へとたどり着く。
    失踪課のメンバーや長野たち、あらたにたった捜査本部で捜査を続けてくれている警察官たち。
    多くの人たちが高城の娘・綾奈のために動いてくれていた。
    思いはひとつだろう。
    何故小さな命は奪われたのか・・・。
    敵をとってやりたい・・・。
    どんなに後悔しても、どんなに謝ってもらっても、過去が変わるわけではない。
    自分が死の病にならなかったとしたら、息子が事故死しなかったとしたら、今でも結局は真相は語らなかったと思う。
    誰の助けも受けずに、母子だけでひっそりと生きてきた。
    病気になっても、ちゃんとした治療も受けずに生きてきた。
    それが何だと言うのだろう。
    身勝手な自己満足にしか思えない。

    愛する者を失ったとき。
    辛い現実を簡単に受け容れられるわけがない。
    それでも、その死を認めるところからすべては始まるのだと思う。
    そのために通夜や葬儀があると思うのだけれど。
    長い時間が経ち、高城自身も綾奈が生きている可能性はほとんど諦めていたとは思う。
    それでも、どこかでもしかしたら生きているのではないか。
    生きていてほしい。
    そう願ってしまうのが親ではないだろうか。
    犯人側も失ったものは大きかったかもしれない。
    でも、その責任は犯人側にあって、どれほど辛くても乗り越えなければならないものだった。
    絶対に逃げてはいけないものだった。
    犯人側が事件を隠蔽したために、逃げたために、高城が当然向き合わなければならない現実が遠いものになってしまった。
    綾奈は二度と戻ってはこない。
    同じように高城が失った長い時間も戻ってはこない。

    「弱い、弱すぎるよ」と高城に言いたくなる結末だった。
    心配してくれた多くの人たちに、真実を知らせる義務が高城にはあった。
    少なくとも捜査をしてくれている警察官たちに対しては、きちんと事情を説明しなくちゃいけない。
    「それに、何の意味がある?」と高城は言うけれど、意味は絶対にある。
    次に向かうために、前に進むために。
    ずっと捜し続けてくれていた長野にどう説明するのか。
    彼もまた、高城ほどではないにしろずっと引きずって生きてきたのだから。
    高城が最後にした決断にどうしても納得できない自分がいる。

  • …終わってしまった。
    まだ続きそうな予感を残しつつ。

    真相が判ってみれば、犯人の方もそれ相応の報いを受けていて
    恨みきれないというか憎み切れないというか。
    全てわかった時点で高城がとった挙動も賛否両論なんだろうな。
    そういう割り切れなさやモヤモヤ感がものすごくリアル。
    その一方で最終ページの愛美の叱咤は胸がすく思いだった。
    失踪課には高城の居場所が存在する、という事実が
    一筋の光明だった気がする。

    前作の大友鉄の電話での登場に続いて
    今回は再びの大友と追跡調査係のふたりが登場して
    思わずニヤリとしてしまった。
    失踪課のシリーズは終わってしまったけれど
    アナザーフェイスや追跡調査係のシリーズに
    高城賢吾がひょっこり顔を出す日が来るんじゃないかと
    心待ちにしてしまっている。

  • 【警視庁失踪課シリーズ第10作目】
    最終巻。もっと読んでいたいと思いつつ、綾奈ちゃんの死の真相を知りたいと焦って読み進める。
    高城の思いと同じで、気持ちが焦り、時々行を読み飛ばして戻りを繰り返すことも何度か。
    途中から、真相に近づいていくわけだが、どんどんと想像がふくらみ、悲しくなっていく。
    殺人事件ものだから、殺人自体が悲しいのだが、今回は犯人を思うと悲しくそして寂しくなる。
    途中で追跡捜査課の西川と沖田や総務課の大友(話の中で高畑も)もでて、少し嬉しくなる。
    この事件が終われば、高城は警察をやめてしまうのではないかと思ったが、失踪課のメンバーのやり方で、次の事件に向かった高城が見れてほっとする。
    シリーズとしては最終巻で、もう読むことはできないが、違うシリーズでまた高城や失踪課のメンバーが見れるといいな。

  • いよいよこのシリーズの最終巻。

    娘を殺した犯人がみつかるかもしれない。
    娘の事件に新たなる展開があるかと思いきや、新たな目撃証言は、なにかを隠しているような……。

    途中で、そこでそんなに深追いして何も無かったら、私も辛いぞ!と思いながら読みました。

    罪を認め、裁きを受け償えれば、これから先の人生の負担と軽くなるのに、背負ってしまったばかりに……。というのがテーマなのかな?と、思いました。

  • なんか中途半端。

  • 文庫10冊分の物語の、なんとやりきれない結末なのだろう!
    ・・・堂場さんの物語って、時々こういうのがあるのが辛いところ。

    フィクションとしてはよくできた物語だった。“高城の再生への物語”とでも呼ぼうか。。。。。

    ★3つ、7ポイント半。
    2015.08.25.古。

    ※文庫書き下ろしのシリーズなので、仕方がないといえば仕方がないのだが・・・・、シリーズ最終巻くらい、文庫巻末に解説文なり筆者の あとがき なりを載せてほしかったな。

    ※昔なつかしの特撮「宇宙刑事」シリーズばりに、堂場キャラのオールスター出演(笑)。

    • honno-遊民さん
      hs19501112さん、コメント有難うございます。「堂場瞬一は、裏切らない」とのレビューでの文言。まさにその通りですね。
      このシリーズも...
      hs19501112さん、コメント有難うございます。「堂場瞬一は、裏切らない」とのレビューでの文言。まさにその通りですね。
      このシリーズも、読み始めたら止まりませんでした(笑)著者のシリーズで、現在進行中で今後を期待しているのは、犯罪被害者支援課シリーズです。
      2017/04/17
  • ついに綾奈ちゃんの死の真相が明らかになった。
    高城刑事は前から面倒くさい男だったけど、本書ではその中途半端な意地と自意識、仲間への歪んだ遠慮が極限まで肥大しており、扱いにくいことこの上ない。
    愛美の存在感、魅力が対比によって際立っています。いいオンナですね。
    ただ、これで終わるのはあっけなさ過ぎるなあ。

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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