化学探偵Mr.キュリー (中公文庫 き 40-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122058194

作品紹介・あらすじ

構内に掘られた穴から見つかった化学式の暗号、教授の髪の毛が突然燃える人体発火、ホメオパシーでの画期的な癌治療、更にはクロロホルムを使った暴行など、大学で日々起こる不可思議な事件。この解決に一役かったのは、大学随一の秀才にして、化学オタク(?)沖野春彦准教授-通称Mr.キュリー。彼が解き明かす事件の真相とは…!?

感想・レビュー・書評

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  • 四宮大学庶務課の新人、七瀬舞衣は新設された「モラル向上委員」のミスターこと、沖野准教授の補佐を受け持つことになる。
    三十代半ばの妙に彫りの深い顔で、電信柱のような細身の長身。化学以外に興味のない沖野と組んで、大学内のトラブル対応に乗り出す舞衣だが。

    キャンパスのあちこちで掘られる穴の真相。
    舞衣の叔父夫妻が巻き込まれた怪しげな乳癌の治療薬。
    大学内の懇親会で突然燃え上がった教授の頭の原因は。
    同棲を始めた男子大学生の塩対応の恋人の謎。
    人気が出始めた中性的歌手、剣也に仕掛けられた冤罪を晴らす方法とは。

    初期の頃のガリレオ先生とどうしても重なってしまう。向こうは物理でこちらは化学。
    自然発火とか意識したのかなという話もあったりで。
    こちらは悪どいものもあるけど、殺人などの凶悪犯罪はなくて、明るく軽く読める。
    惚けてるけど、かなり鋭く有能な舞衣と、渋々のような体で親身に対応する沖野のコンビ、これからの2人がどうなるかと気を持たせる最後もニヤニヤして。
    散りばめられた化学知識も楽しい。クロロフォルムは瞬時に意識を失わないとか、ホメオパシーについても面白かった。
    続きも読んでみようかな。 

  • 化学と言いながらも、難しくなくて読みやすい。
    著者が大手製薬会社の研究員なのね。なるほど納得。
    舞台は四宮大学。
    流れ的には、大学のどこかで事件?が起きていて
    庶務課(何でも屋)に相談事が持ち込まれ、新人で
    好奇心旺盛な七瀬舞衣がモラル向上委員会のメンバーである
    理学部化学科のミスターこと沖野春彦准教授を
    巻き込んで事件を解決するというお話。
    初回は全5話です。シリーズを追ってみましょ♪



  • 大学随一の秀才である准教授、沖野春彦、通称Mr.キュリー。人体発火、ホメオパシーでの癌治療、クロロホルム暴行、学内で巻き起こる様々な事件を解き明かす。
    とまぁ、そんな内容なわけですが、とてもライトな作品でした。もっと、ケミカルなトリックが繰り広げられるかと期待したが、トリックが何とも...

  • 重厚なミステリーではないが、身近にも起こり得そうな(?)問題を、化学の知識を活用して解決するお話。

    化学探偵という割には、思ったより化学知識は出てこない気もするけれど、短編で読みやすいし、作品通して終始ほのぼのした雰囲気なので、箸休めにちょうどいい。

    2巻は、また長編を読んで疲れた頃に読もうと思う。

  • かなり化学から遠ざかっているケースもある。まあ、面白い造形で肩が凝らないのがいい。

  • 喜多喜久氏の作品にしては化学薀蓄が少ない気がする。
    結末があまり深刻なものはなくて、クスッとしながら楽に読める。
    (あっ間違えた。ひとつだけとんでもない大問題を投げたのがあった)。
    どちらかというと、ミステリというよりはラブコメ要素が強いかな。
    沖野先生はなんだかんだ言って舞衣ちゃんが気になってる、
    もっと言えば舞衣ちゃんが好きなんだろうな、と思えるのが面白かった。

    剣也くんという横槍要員が登場したところで終わってしまった(´・ω・`)
    彼が沖野先生にとってではなく舞衣ちゃんにとってのライバル、
    という辺り、この先を期待させる終わり方だった。
    これは続編ありでしょう。
    ということで期待している。

  • 大学の准教授と庶務員が化学の力で様々な事件を解決する話。
    短編集になっていたので読みやすかった。
    化学に関連したミステリーを読んだことがなかったので、面白いなと思った。

  • 短編になっていて読みやすくてナイス。中でも同棲の話が良かった。シリーズになっているようなので、今後の2人の関係が楽しみです。まだ、最終話読んでないけどね。
    最終話読んだ。なかなかほのぼのしていて良い結末。面白い。

  • 読書録「科学探偵Mr.キュリー」4

    著者 喜多喜久
    出版 中央公論新社

    p90より引用
    “「菓子として売っているならともかく、治
    療効果を謳っている以上は、詐欺と断ぜざる
    を得ない。効くわけがないんだからな。ただ、
    信奉者は世界中に存在する。日本より、欧米
    の方が人気が高い。向こうでは信じる人間が
    あまりに多すぎて、ホメオパシーを排除でき
    ないところまで来ているらしい」”

    目次より抜粋引用
    “化学探偵と埋蔵金の暗号
     化学探偵と奇跡の治療法
     化学探偵と人体発火の秘密
     化学探偵と悩める恋人たち
     化学探偵と冤罪の顛末”

     優秀な科学者と大学職員を主人公とした、
    短編連作ミステリ。
     学会での発表を間近にひかえ、その準備に手を焼く男子学生。追加実験の結果は芳しくなく、徒労を愚痴りながら外に出ると…。
    (化学探偵と埋蔵金の暗号より)

     上記の引用は、ホメオパシーについての主
    人公の一人の台詞。
    人にとって都合が良いばかり、良すぎること
    については、疑ってかかる慎重さを忘れない
    ようにしたいものです。
     人の死なない、穏やかなミステリ。短編連
    作で読みやすく、化学とミステリトリックの
    かみ合わせも面白く描かれています。漫画家
    されても面白い作品になるように思われます。
    と思っていたら、とっくに漫画家されている
    ようですね。
    ーーーーー

  • 四宮大学理学部化学科の准教授である沖野春彦と四宮大学庶務課に勤める職員である七瀬舞衣が大学内で起こる事件を化学的に解決していく物語。

    それぞれの話が短編として書かれており、
    ・化学探偵と埋蔵金の暗号
    ・化学探偵と奇跡の治療法
    ・化学探偵と人体発火の秘密
    ・化学探偵と悩める恋人たち
    ・化学探偵と冤罪の顛末
    の5話が収録されています。

    沖野が独特なキャラクターで、七瀬との関わりが面白い。
    事件の内容が化学的であるが、文理問わず読みやすい本であると思います。
    シリーズものであるので、続きが気になります。

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著者プロフィール

喜多喜久

一九七九年、徳島県生まれ。東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了。大手製薬会社の元研究員。第九回『このミステリーがすごい!』大賞にて優秀賞を受賞、二〇一一年受賞作を加筆した『ラブ・ケミストリー』でデビュー。主な著書に『青矢先輩と私の探偵部活動』(集英社)、『桐島教授の研究報告書 テロメアと吸血鬼の謎』、「化学探偵Mr.キュリー」シリーズ、「死香探偵」シリーズ(中央公論新社)がある。

「2022年 『死香探偵 真心は捧げられた死と香る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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