ネメシス - 警視庁墨田署刑事課特命担当・一柳美結3 (中公文庫 さ 65-3 警視庁墨田署刑事課特命担当・一柳美結 3)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122059016

作品紹介・あらすじ

多数の死傷者を出した超高層タワーでの死闘は終結した。だが、一連の事件の首謀者"C"は未だ捕まらず、東京も都市機能を麻痺させられたままだ。その最中、美結は"C"が人類の敵と名指しする謎の男・田中と対面する。そして、梓らSAT隊員にも田中警護の特命が下った。一方、姿を現した"C"は、田中を完全抹殺すべく行動を開始していた。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ3作目。
    今回の敵は武器商人の田中。と言っても、前2作と違って、テロと言うより、心理戦がメインの印象。
    ほぼ、田中の住居と「C」、そして警視庁の中にいる佐々木講師たちのネットでのやり取りで描かれ、若干迫力に欠けるものの、「C」の田中暗殺を思いとどまらせた佐々木の説得には、考えさせられるものがある。そして「C」の本当の思いにも…
    ほぼ出番のない主役の美結の過去も明らかになり、次はいよいよ最終話。どんな風にまとめ上げてくるのか?さらに楽しみ。

  • 「一柳美結」シリーズ3作目。
    一柳美結は謎の男・田中に対面するために彼の待つビルへと向かった。
    「C」が映像で告発した田中の悪行を、笑いながらドキュメンタリー作品だと言いながら田中は認めた。
    田中は自らの手を血で汚すことはない。
    各国の要人たちと親交を持ち、各地の紛争に関与し、ありとあらゆる兵器を売りつけるために争いを奨励している。
    その戦いの中で幾千万の人間が死のうと、田中にとっては関係のない出来事だ。
    要注意人物として田中をマークした人々は、田中の手の者によって抹殺されていく。
    元公安部長もそのひとりだった。
    警察内部には田中の手足となって働く者たちが少なからずいる。
    そして、佐々木忠輔を中心にした田中に対抗する者たちと、表沙汰にならないところでせめぎあっている。
    「ネメシス」でようやく美結の過去が詳細に語られている。
    何者かによって惨殺された家族。
    はたして美結が生き残ったことは幸運だったのか。
    それとも家族と一緒に殺されてしまった方が楽だったのか。
    美結には生きていく力が必要だった。
    それは、犯人への怒りだ。
    未解決事件と呼ばれる事件が日本にもいくつもある。
    被害者の家族たちが抱える悲しみ、苦しみ、怒り。
    彼らが地獄のような時間を過ごしている瞬間も、犯人はどこかで笑っている。

    忠輔が持つ絶対に揺るがない信念。
    法律で定められているから。
    自分たちの考えが正しいから。
    それぞれの立場の者が都合の良い基準で語る「正義」は、あいまいで善と悪の境界を揺れ動く。
    争いの根はそこにある。
    忠輔は、人が人を殺す行為。
    どんな理由があろうと、相手がどんなに卑劣な人間だろうと、命を奪う行為はけっして許されないと考えている。
    家族を殺害した犯人が目の前にいたら、美結はいったい何をするのだろう。
    警察官としての誇りを持ち、他の人間の命を守るために自らを犠牲にしていった先輩たち。
    美結は殺人事件の被害者家族だ。
    同時に警察官でもある。
    美結はどんな決断を下すのだろう。
    警察官としての使命を選ぶのか。
    それとも復讐者としての道を選ぶのか。
    はたしてどちらに美結の心はどちらに傾くのだろう。

  • 四巻完結のシリーズ第三巻。

    Cによる超高層タワーのジャック事件後、Cが抹殺しようとする田中晃次の警護に一柳美結が派遣される。明らかになる田中の正体、主人公・一柳美結の過去…そして、Cの妹が…

    次第に材料が揃い、後半はスピード感あふれる疾風怒濤の展開となる。全ての謎とCの運命は最終巻で明らかになるのだろう。これまで、さほど活躍していない主人公・一柳美結の活躍の場も最終巻にはあるのだろうか。

  • 多数の死傷者を出した超高層タワーでの死闘は終結した。だが、一連の事件の首謀者“C”は未だ捕まらず、東京も都市機能を麻痺させられたままだ。その最中、美結は“C”が人類の敵と名指しする謎の男・田中と対面する。そして、梓らSAT隊員にも田中警護の特命が下った。一方、姿を現した“C”は、田中を完全抹殺すべく行動を開始していた。

  • 特命担当・一柳美結シリーズの3冊目「ネメシス」

    2巻目から、そのまま繋がっています。「C」の目的が明らかになり、共通の敵が・・・

    私的に、全4巻で最も面白かったのは、この3巻でした。

  • 一柳美結シリーズなのに、彼女はおたおたとするばかりで3巻が終わってしまった。この巻でようやく彼女の痛ましい過去が明かされ、次巻では怨嗟の抑圧から一気に解き放たれるのだろうか。“C”はこのまますんなり捕縛、あるいは善玉に宗旨変えってことはあるまいよね。警察の中の反逆者も気になるが、なんたって渡辺弘だ。今更どこの馬の骨か分からん輩が登場するのもない気がする。あの瀕死の王超だったなんてのはベタだけど、意外性ありきのムチャ振りも勘弁願いたい。決して好みとはいえない小説のはずが、結構はまってる。

    • ことぶきジローさん
      最終巻では、これまで活躍していない主人公の一柳美結が暴れまくりますよ。
      最終巻では、これまで活躍していない主人公の一柳美結が暴れまくりますよ。
      2014/09/30
  • 釈然としない。実際の日常はカオスなのだから、フィクションの世界もカオスのままジ・エンドという感じ。別の解釈を期待していた自分としてはいささか消化不良。もし、続編があるのなら、青臭い理想に染め抜かれた晴天の空を期待したい。リアリティなんて真っ平御免。

  • シリーズ第3弾。
    2弾の終わりが気になって、読み続けた。
    東京ジャックを続けるCと、田中という男。
    田中は恐れるべき人物で誰もが「殺」という文字を思い浮かべるが、大学講師である忠輔は誰に対しても殺すという行為を否定し続ける。
    そんな中、美結は田中に呼ばれ田中の城に呼び込まれる。
    それが最悪の展開へと転がっていく。

    とりあえず、一旦休止。

    2023.3.26

  • 06月-02。3.5点。
    一柳美結、第三弾。東京都を停電させ、支配する「C」。リスト上位者、黒幕との対決へ。必死に防ごうとする警察、主人公たち。。

    警察小説と言うよりは、エンタメ大作。スピード感あり、読みやすい。
    主人公はどこへ行ってしまうのか。。

  • 3.4

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著者プロフィール

沢村鐵
一九七〇年、岩手県釜石市生まれ。二〇〇〇年 『雨の鎮魂歌(レクイエム)』でデビュー。著書に「警視庁墨田署刑事課特命担当・一柳美結」シリーズ、「クラン」シリーズ(以上、中公文庫)と、その番外編『ゲームマスター 国立署刑事課 晴山旭・悪夢の夏』、「極夜」シリーズ(以上、祥伝社文庫)のほか、『あの世とこの世を季節は巡る』、『はざまにある部屋』(以上、潮文庫)、『謎掛鬼 警視庁捜査一課・小野瀬遥の黄昏事件簿』 (双葉文庫) などがある。
ウェブサイト〈沢村鐵のフィラメント〉http://www.t-sawamura.net/

「2023年 『世界警察4 悠久のフロスティグレイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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