人質の朗読会 (中公文庫)

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著者 : 小川洋子
  • 中央公論新社 (2014年2月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122059122

人質の朗読会 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 人質の人数と話の数が合わないのはどういうことなのだろうとか、最後はこの朗読会がどう締めくくられるのだろうとか、「人質の朗読会」という設定が与えられていることによって緊張感を持って読み進むことになりました。
    単なる短編集としても面白い作品になったと思うのですが、この最初の設定があることによってどの話も単なる回想話ではなく人生の中の特別な体験なのだと感じられ、そのように受け取り方が変わってくるのが面白いと思いました。

  • 2017.01.27読了。
    今年5冊目。

    岩田書店一万円選書の一冊。

    インパクトはあるけどなんとなく違和感のある設定がひっかかりあまり話が入ってこなかった。
    つかみどころのない現実感のないふわっとした話が多かったからか...
    コンソメスープ名人は面白かった。

  • 人質として僻地で捕らえられた8人の朗読会。そして、それを聞いていた、現地の特殊部隊の1人の朗読。
    過去に起こったささやかな、でも忘れられない一場面が、静かに祈るように語られる。
    小川洋子さんらしく、静かで緻密な情景描写。
    特殊部隊の人の、ハキリアリの行進する姿を思い浮かべるととても可愛らしい。
    そして、映像化において本書では名前がでないラジオ局報道記者役を演じた、佐藤隆太さんが解説を書いている。それがまたいい。

  • 人は誰しも物語を持っている。記憶をすくいあげ、丁寧に解きほぐし、物語へと昇華させるその行為を私もしてみたくなりました。辛いことも、そうすることで少し楽になれる気がします。

  • 地球の反対側にある山岳地で、拉致事件に巻き込まれた8人の日本人。拘束されていた小屋の中で、拉致後1カ月ほどして始まった朗読会、その録音テープがラジオ番組として放送された。
    それぞれの物語が、その風景も登場人物の感情も理解しやすくまとめられているので入り込みやすい。人生の一コマ、普段は忘れているかもしれないけど、ふとした時に思い出す、感情の高ぶりの記憶。物語は誰のなかにもある、という帯がぴったりだと思った。

  • 本屋大賞2012年5位。連作短編集。なんか、設定がいまいちしっくりこない。無理筋っぽい。床に文章書くか?、とか、死ぬ間際に出てくる思い出ってこんな話?、とか、だれでもこんな上手に小説作れるの?、とか。あと、この人の文章読んでていつでも感じるんだけど、もっと美しい文が書けるはずなのにわざと異物を混在させてるような違和感。なんとなく、心地よいのにちょっと残念な気持ちになってまうことが多々あるのです。

  • 土屋 仁応さんの美しい白い鹿 装丁がきれい……
    大好きな小川洋子さんの。
    人質の、ひとり一人の語る体験談が
    アンデルセンの絵のない絵本思い出すような 短編集のようなのだけど
    語る人たちはみんな たまたま、そこで捕われの身になり
    なくなったんだ と分かってて
    それぞれのエピソード 味わう…
    悲しいや
    俳優の佐藤隆太さんの、あとがきも良かった。

  • 私だったら、何を話すだろう。

  • 不思議な世界だった。
    何人かの少し不思議なエピソードなんだけど、それが語られた後に、皆が死んでしまっていることがあらかじめ分かっていて、だから、そのエピソードの底にずっと生き死にみたいな感覚がただよっていた。
    印象に残ったのは、おばあさんに似ている、と言われてる女性の話。ありそうでなさそうで、微妙に不思議でちょっと怖い感じだった。この話に限らず、すべての話の中に、そんな感じが漂っていた。

  • 小川洋子らしい
    どれも日常の些細なことだけど,こうしてその一つ一つを取り出してみると,不思議な話のように思える
    そのことが不思議

  • 濃密とは言えないささやかな心のふれあいを通して、明日へと繋がる大事な一歩を踏み出したエピソードを語る人質たち。淡々と語られるなかにも、確かな力強さを感じました。

    死を意識しながら行なわれる朗読会であったからこそ生まれた神々しさなのだろうかと思いました。不思議な世界観のある1冊でした。

  • 反政府ゲリラに拉致された人質が,拘束された中で語り合った8つの話をまとめたものだ.緊迫した状況下で,様々な年代の人が語り合うことは想像できないが,どの話もオチがあって面白かった.隣の娘さんがスープを作る「コンソメスープ名人」が少し不気味だが,詳細なレシピの記述が楽しめた.「B談話室」は幻のような女性に勧められて,危機言語で語り合うグループに突然参加することになった男が出てくるが,何故かほっとする感じだ.

  • 全てのお話が心の中に染み入るようでした。特に第一夜の「杖」と第五夜の「コンソメスープの名人」がよかった。

  • 【旅をすることば】

    小川洋子の世界は、ということを私はここで何回か書いてきた。時には長ったらしく使える言葉を全部使って、最近ではなんでもない読み逃してしまうような言葉を使って、私は小川洋子と向き合ってきた。

    小さな石に宿る物語がある。反対にどんなにエキセントリックに思える事件でも、物語が宿るとは限らないとこの物語は教えてくれる。

    改めて人は語りの生き物だ。

    この物語が人をおしゃべりにするのは明白だ。あなたもきっと、あなたの物語を語りたくなる。

    そして、その語られた物語はあなたの世界を離れて、誰かの世界へと旅をする。

  • 人が人と出会うという事。それは当たり前の事であり、同時にその人の人生の中での物語の1片にも成り得る。日本人8人が反政府ゲリラの人質となりそして全員爆死する。というショッキングな出だしから始まるこの作品は、生前長い人質生活の間に各々が語り合った朗読会のテープが後日特殊部隊により公開され、盗聴された死者の『人生の物語』が淡々と静かに描かれている。ただただありふれた生活の中で出会った人々との思い出がまるで鎮魂歌の様に思わせ、読み手の哀しみを一層に誘う。日本人の気質というのもこの物語を成り立たせる要因の一つではないかと思う次第である。

  • 誰もが、自分が主人公の、自分の物語を紡ぐ。

    最初から、人質が全員死んでしまったことが語られる。そのあとで、八人が自分の物語を書き、朗読会をおこなっていたこと、その物語が続く。人質の生の声はない。物語の形にされた、彼らの人生の一こまがあるだけ。どんな人だったのだろう、どんな人生を送ったのだろう。新聞で亡くなった人の写真を見たり、その人のことを語る誰かのことばを聞くより、彼らが生きていた感じがした。「生きた証」というのか、そんな仰々しいことばにはならないが、彼らに自分だけの人生があったことがわかる。こんな小説を読めるのは、幸せだ。

    人質にとられている立場でなくても、生きているうえで、考えること、耳をすませることは大事。しかも、損なわれることのない過去、自分を作った過去を考えるのである。わたしを作ったものについて、思いめぐらすこと。それが、生きていく力になる。

  • 人質という設定がやや荒唐だけど普通の人たちの過去の記憶を紡いだ連作。それは幼い頃の思い出やつつましい記憶の断片だったりする。が、そこに強度と深度がある。それぞれの人の内にある些細な記憶を言葉で物語るという行為は祈りに似た敬虔さを孕む。静かな小説だった。

  • 冬眠中のやまね
    電車で読んでたのに泣きそうになってしまった。

    お話の終わりの職業と年齢を見るのが楽しい。

    静かさ こだわり 冷たさ …。
    なんだろうすごい違和感。
    本なのに理系な感じ?
    余計なものは許さない…?

  •  表現が細やかなところが、この作者の好きなところ。
     人質という設定のなかで、8人と一人の兵士が、今の自分を肯定的にとらえられるエピソードを一つ一つ丹念に語っている。
     過去を振り返った時に、思い浮かぶ事柄は、他人からしたら、それほど重要な事ではないかもしれないけれども、その人自身にとっては、生きてきた核=掛け替えのない感動だということが、存分に伝わってくる。
     「冬眠中のヤマネ」と「槍投げの青年」が好きな話。

  • ある国で反政府ゲリラから拉致された日本人ツアー客7名と添乗員。不幸にも全員が亡くなったあと、彼らの「声」が届けられた...。

    とてもユニークな設定。人質と添乗員それぞれの「朗読」が1章ずつにまとめられていますが、それ一つ一つが本の題材になりそうだ。

  • 一つ一つの物語が短編としても魅力がある。
    それをまとめ上げる「人質の朗読会」という設定が、個々の物語の愛しさを膨らませている。
    私だったら、どんな物語を語るか考えてしまう。

  • 小川氏の作品は独特な引力がある。そしてその引力の産物は暖かい絶望。

  • 2016/02/09
    小川洋子らしい、静かな少し不思議なお話。

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