人質の朗読会 (中公文庫 お 51-6)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122059122

作品紹介・あらすじ

遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた-慎み深い拍手で始まる朗読会。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは、人質たちと見張り役の犯人、そして…。人生のささやかな一場面が鮮やかに甦る。それは絶望ではなく、今日を生きるための物語。しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。

感想・レビュー・書評

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  • 人は強い。言葉は希望で思い出は豊かさだと思った。

  • 全ての朗読会が美しい。

    掌編の最後の(専業主婦、30代女性)というひと言だけで、どの話にも結末の暗示や、話のオチが付いているのが、この「人質の朗読会」が他の短編集と一線をかく所だと思いました。

  • 9つの短編
    それぞれの最期を知ってから読み進めていく
    何気ないことでもその人にとっては物語になる

  • 海外でゲリラ襲撃を受けた日本人ツアー参加者達が人質として捕らえられる中で始まった「朗読会」のお話が、短編として紡がれる物語。

    年齢も性別も違うそれぞれが、忘れられないふとした過去の一部分を発表し合う。
    解説に書かれていた「何十年たっても色あせない、記憶の断片」という一言がぴったりだと思った。

    私は、「やまびこビスケット」「冬眠中のやまね」「コンソメスープ名人」が特に好きだった。

    小川洋子さんの静かで異世界のような物語。
    でも、確かに通ってきた過去。

    解説の佐藤隆太さんも自問自答したように、私がもしこの朗読会で披露するとするなら、何の過去を披露するかなとふと考えた。
    読み終わったあとに、「自分だったら…」と、自分の過去の断片を振り返りたくなる1冊だった。

  • 何度も読んでいる本。
    大きな華やかな出来事ではないけれど、力を与え
    られる出来事を見せてもらった感じが好き。

  • 構成を初めに話して結果が分かっているからこそ中身の短編たちが意味を持って輝いて見える。

    小川洋子さんの小説は何かしら死の存在を織り交ぜるケースが多く、静かな中に美しさが感じられる文章が毎回落ち着く。

  • 大きくわけると9つの話にわかれていて
    読みやすかった。
    どの話もドカンと衝撃的な話ではないが、引き込まれる話だった。未来が見えない中、自分の過去を思い出したときは、大きな出来事より些細な出来事が思い出されるのかもしれないなと。
    文体がそれぞれの性格や性分を現すように書かれているところもおもしろいと感じた。

  • うまく理由を言語化できないけれど、
    とにかく空気感や文章が好き。

    人生の中の出来事が、
    職業選択に繋がっていて、そうか〜と感慨を受けたり。

    でもただ明るいというよりは
    静かに生と死が流れている感じ。

    やまびこビスケットと花束が特に好きかな。

  • ビスケットと槍投げの青年、コンソメスープ名人、B座談室の小説家の話。心に残っている。

  • 2024/01/16

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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