ブラッド・スクーパ - The Blood Scooper (中公文庫 も 25-10)

著者 :
  • 中央公論新社
4.11
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122059320

作品紹介・あらすじ

生も死もない。己も敵もない-「都」を目指す途上、立ち寄った村で護衛を乞われたゼン。庄屋の屋敷に伝わる「秘宝」を盗賊から守ってほしいのだという。気乗りせず、一度は断る彼だったが…。この上なく純粋な剣士が刀を抜くとき、その先にあるものは?

感想・レビュー・書評

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  • 「朴念仁」

    下界とは接したことがなく、カシュウの教えしか知らないのだから当然だが、ゼンに関してこの言葉がすぐに想起される。時代活劇に禅問答。シリーズ2作目も骨格は変わらない。自分を信じるものは自分に疑問をもつものに遅れをとる。つまり、自惚れるなということか。

    大満足の読書だった。感謝!

  • ヴォイド・シェイパはわりと導入部的で淡々とストーリーが展開したのに対して,ブラッド・スクーパは1つの村を舞台として展開し,しっかり山場でゼンの大立ち回りが描かれる.

    キャラクターを通して語られる森 博嗣の世界の捉え方には納得と共感しかない.こういった部分はスカイ・クロラシリーズが近い雰囲気を持っている.

    唯一残念なのはゼンのラノベ主人公属性か.

    面白いかといわれるとそんなでもない気がするんだけど読ませる展開と文章は流石.散りばめられるゼンの出自に関するヒントや竹の石の謎解きなど,きっちりミステリー的な要素も持っている.時代小説剣豪小説と敬遠していたけれどどこまでいっても森 博嗣の小説.

  • シチュエーションというか主人公のことが良く分からないので…イマイチ
    今の段階でコメントは難しいかな

  • 生きることとは、信じることとは。問いを投げ掛け続けてくれる本。

  • ヴォイド・シェイパシリーズ第二弾。歴史時代小説と書かれているけれど中身は第一弾の「ヴォイド・シェイパ」と同じくいつもの森博嗣という感じ。前作よりも今作は刀を扱う描写が多いがやっぱりそこは森先生、そこらへんの書き方も野卑ではなく理知的。それにしてもゼンは相変わらずたらしだなぁ…、森先生の小説にはこういうタイプがよく出てくるけれどその中でも特にたらしな気がする。うーん、ゼンは無垢というかその純真さ故に好かれるのかなぁ。

  • ミステリみたいだった。竹の石の謎を解こうとする読み方をしていまい、あまり良い読み方ではなかったかも。予想当たってしまったし。

  • 人の営み、鳥の滑空や草花が朽ちる様子に真理を見る。
    そして切っ先の震えに相手の意図を探る。
    異常な集中力と、瞬間に得る全能感の描写。
    刹那を繋いでいく詩情。
    弱いから奪うとゼンは言う。
    判っていてまた剣を振るう。
    奪ってまでも生きる価値をどこに見出すか。

    新しき自分と世間を求めてまだまだ旅する侍ゼン。
    新しきは自分と他者が出会うことで生まれるもの。
    もしくは竹の中を覗き込んだときなどに。
    絶えず変化を続ける生というもの。

  • ヴォイド・シェイパシリーズ2巻。
    旅を続ける孤高の侍ゼンは、、成り行きから用心棒を引き受けることになる。ある屋敷が、近い内に盗賊に襲われるというのだ。盗賊は、「竹の石」と呼ばれる不老不死の秘薬の素となる宝を狙っているという。ゼンはその話に疑問を抱えながらも、屋敷の一人娘を護衛する。
    真の強さを求める旅。

  • 森博嗣の剣豪小説シリーズ2作目
    これってシリーズに何か名前はついてるのか?
    ヴォイド・シェイパシリーズかな?

    今回のテーマは物の価値について
    竹の中にできる石があって、それは寿命を延ばすと言われている
    庄屋の家で今までは見つかったらお上に献上していたけど、報告せずに持っているものがあって、それを狙っている人たちがいるとかいないとかな展開

    本来の効用は怪しいものだけど、信じている人にとっては高価なものだろうし
    効用を信じていなくとも高価なものと信じている人がいるならそれに乗っかることもできる
    でも自分にとっては価値がないものならただであげてもよいのではないかとか

    他にも、人が集まるから仕事ができるのか
    仕事があるから人が集まるのか
    そもそも、その仕事に意味はあるのか
    不必要に華美にするための仕事を生んでいるのではないかという疑問

    何というか、現代社会にも通じるテーマだなぁ

  • 「ヴォイド・シェー」シリーズ2冊目。

    前作は殆ど、主人公ゼンのモノローグと登場人物との対話だったが、本作は決闘シーンが多い。

    山の中でカシュ―に育てられたゼンは、己の出自も年も知らない。彼は世間を知らず、経験もなく、その無垢な思索は旅と剣の交わりで研ぎ澄まされていく。

    人は生きているのではない。
    生きていると考えるだけだ。
    では、考えるとは何か。
    考えるとは、すなわち恐れることだろう。考えるほど恐ろしくなるからだ。

    修行によって本当に高みに上がれるとは、今ひとつ信じられないからだ。信じるためにはどうしよう。
    信じるとは、考えずに済ますことだから、正反対なのだ。

    「苦しい修行を重ね、悟りに至った高僧は、自らの心のみに忠実であり、外界や他者の影響を受けないものと聞きます。それはまさに人として欠けている状態ではありませんか。」

    戦うとは、つまり自分が変わることだ。何故変わるのかといえば、それは一度死ぬからだ。

    戦いの刹那に得たものを通じ、ゼンの旅は続く。ゆっくり付き合いましょう。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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