- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122059375
感想・レビュー・書評
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煤けた五百円玉が渡り歩く連作的繋がりは薄めだけれど、最終話では各話の登場人物が少しずつ登場して嬉しい。飾り気のない文章はやや物足りない。父親との別れと花屋な社長令嬢、女子高生のカンニング疑惑、車内広告営業、離婚届け紛失、写生男児と恋、自殺未遂時の夢、社長だけが大切にする秘書とコンプレックスの七編。
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「自分のポケットの小銭は、他人のポケットの大金にまさる。」-セルバンテス-
よくある何気ないお話。ではあるが、ふと思いを馳せるという行為は悪くない。
一つのコインを通して数々の人間のドラマが垣間見える。
ある親子が仲違いし、父が他界。手元に残った遺産が一枚の500円玉。それある時、自動販売機を通じて、ある小学生へ。友達の金を盗んだ嫌疑をかけられ、そのコインは、またある自殺を図る男の元へ、そして、また...やがて、あの時のコインが...
ふと、手元の小銭を見てみる。もしかしたら、その小銭は貴方が子供の頃に拾った500円玉かもしれない。
移ろいゆく時の中で、あの時と貴方は何が変わって何が変わらずいるのでしょう。
ふと、なんとなしに耽る。花鳥風月、時に何に救われるか分かりませんね。 -
文章のテンポがあまり良くなくて、特に会話の部分、なんだか流れるような感じがしない。
オムニバスで最後に一つに繋がるのはいいんだけど、一つ一つの短編がイマイチ。
よくもなく悪くもなく…。鯨さんということで期待しすぎました。 -
この連作短編集の主人公たちは、ただ同じ煤けた500円玉を持っていただけではなく、なにかを買うために使った、つまり行動したから幸せをつかむことができたのである。ひいては消費活動を通じて経済を回さなければ景気は回復しない…、とは一言も書いてない良い話。
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表紙とタイトルが気に入って買った作品です。内容としては短編で構成されており、1つの500円玉が短編ごとに違う人に渡っていって手にした人は幸せになるというもの。読みやすかったが、1つ1つの話にボリュームが足りなかったかな。最後の短編で今までの短編の登場人物が色んな形で登場したのは良かった。
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借りて読んだ本。
煤けた500円が人から人へ渡り歩き、その500円を手にした者の7つの物語。
300ページ内に7つの物語だから、ひとつ一つが非常に短い物語。
短い物語のなかで起承転結するから、感情移入する前に物語が終わってしまう(汗)
さらっと読める本。
最後の話だけ、事態が解決しないまま終わってしまったような気がする。
7つの物語で500円は当たり前の共通項だが、その他に植物も共通項である。ちょっと不自然なくらい。
まぁまぁ、楽しめる。という作品でした。 -
同じコインが巡り巡って持ち主が幸せになるはなし。
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父の反対を押し切り,花屋を開業した奈緒.そんな矢先,その父が他界してしまう.奇しくも遺品になってしまった暖炉で焦げた1枚の500円玉.そのコインが,人々のポケットを渡り歩き,それぞれの人生の岐路に立ち会う.7編からなる短編小説.コインを題材にした物語で真っ先に思い浮かぶのは,ジャックフィニーの「夢の十セント銀貨」.その強烈な印象が残っていたので思わずタイトル買い.ストーリとしては目新しいものは無かったけど,ほのぼのとしたハートウォーミングな作品.疲れているときにどうぞ!!
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ハートウォーミングと謳いつつも各話そこそこエグい。
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む〜ん...(^ ^;
この人の「独特の文体」は、
こういう一般の小説には向かないなぁ...(^ ^;
「邪馬台国はどこですか」とか「タンタンシリーズとか」
「地の文でのツッコミ」が面白い作品にはよいのだが...
「一般の小説」として読もうとすると、
何というか説明臭いというか粗筋っぽいというか...(^ ^;
ストーリー的には、鯨氏にしてはヒネリがないし...
む〜ん...今ひとつ(^ ^;