塩の世界史(上) - 歴史を動かした小さな粒 (中公文庫 カ 6-1)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122059498

作品紹介・あらすじ

人類は何千年もの間、塩を渇望し、戦い、買いだめし、課税し、探し求めてきた。古代中国の製塩技術、ミイラ作りあるいは精力剤としての用法、各地に伝わる保存食レシピ、米独立戦争時の貿易封鎖とともに発達した製塩業。米国でベストセラーとなった壮大かつ詳細な塩の世界史。

感想・レビュー・書評

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  •  ネット用語に「塩対応」と言う言葉がある。実用日本語表現辞典には「そっけない、愛想のない、冷淡な接し方を指す言い方」とある。そして、サラリーの元をたどるとラテン語salで古代ローマ時代に、兵士は当時貴重な塩を給料として受け取っていたところからきている。

     このように昔から今に至るまで、必要であり身近な存在となっている塩。

     近代のフランスでは、塩税を取って住民を苦しめていたそうだ。まさにこれこそ「塩対応」の最たるものだ。とれるところから取ろうと言うのはいつの時代もそうだ。

     中世カトリック教会は肉抜きの日を設けて、いつの間には1年の半分が抜く抜きの日になったと書かれている。だが、抜け道が用意されていた。赤身の肉は、ムラムラとエロ心に火がつくので禁止されたが、ビーバー、ラッコ、イルカ、クジラは宗教日でも食べることを許可されたそうだ。そういえば、日本でも獣肉を食べることは禁忌だったが、イノシシの事を「山鯨(やまくじら)」と称して食べていたなあ。あまり締め付けると、庶民の不満が爆発するのを恐れていたための措置か。

     南北戦争時、アメリカでは「塩をめぐる戦い」が繰り広げられていた。この本を読んで初めて知ったので驚いた。南北戦争と言うと、奴隷解放をめぐるお題目をめぐる戦いだと思っていたので、まさか塩も巻き添えになっていたとは。塩に困っていたのは、南軍で北軍に海上封鎖をされてしかも誠意援助を次々と奪われてしまってどうにもならない状況に陥っていたそうだ。残念ながら敵に塩を送った上杉謙信はこちらにはいなかったようだ。

     そんなアメリカだったが、現在では塩の主な用途は道路の路面凍結防止に大量の塩が使われる。南北戦争当時の人からすれば考えられない使われ方だな。

     塩はこれからも必要とされる栄養素の1つであり続ける。たとえ塩分の取りすぎは良くないと言われて塩分控えめのものが好まれても。


    実用日本語表現辞典

    http://www.weblio.jp/content/%E5%A1%A9%E5%AF%BE%E5%BF%9C

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    下巻は塩が経済にも多大な影響を与えていた事が書かれており、意外な内容に非常に楽しめた。
    ガンディーの非暴力は知っていたが塩の行進とかは知らなかったのでビックリした。


  • ノンフィクション
    歴史

  • ファンタジー書くなら塩の話を知ってて悪いことないかな、と買ってちびちび読み進めていたのだけれども食文化の話なんだから読んでて楽しくないわけがなかった。あと、いつか書こうと思っている漂海民族の話のために買ったほかの資料とリンクする話題も多くて、個人的にタイムリーだった。下巻はこれから読む。

  • 歴史への登場が遅かった砂糖については、如何に世界貿易システムに組み込まれていったのかを追うことが可能であったが、人間の、いや、生物の必需品とも言える塩についてはどうだろうか。結論から言うと、本書はそれに失敗している。

    蜀の塩井、ケルトの塩鉱、エジプトの製塩所と、古代の歴史から詳しく書かれているのは間違いないが、それだけ。共通点の探求も交易の影響の考察もなし。ただあったことをそのままに書き連ねるだけのくせに、時代や場所をいったりきたり。塩を使った料理のレシピについては細部まで詳しすぎるくせに、製塩所の技術、規模、生産量は記載がないのを当然としているように読める。塩と政策の関連も総括されることなく、ただその事実をあちこちに分散して書いているだけ。

    さらに言えば表記についても気になるところが多く、『アメリカの特許第一号だと思われる』とか大分怪しいし、『すべからく』の誤用が多いあたり、原文だけでなく翻訳も失敗しているのだろう。リズムが悪くて読みにくい。

    ちゃんとした人がちゃんと書けば良書になったであろうテーマだろうに勿体無い。識者の再編を望む。

  • (感想は下巻にまとめて書きます)

  • [ 内容 ]
    <上>
    人類は何千年もの間、塩を渇望し、戦い、買いだめし、課税し、探し求めてきた。
    古代中国の製塩技術、ミイラ作りあるいは精力剤としての用法、各地に伝わる保存食レシピ、米独立戦争時の貿易封鎖とともに発達した製塩業。
    米国でベストセラーとなった壮大かつ詳細な塩の世界史。

    <下>
    かつて数千年がかりで白く均一にした粒が、いまや不揃いで色付きのものこそ高額になる。
    塩の真価を定めるのが容易であったことは、いまだかつて一度もない。
    悪名高き塩税「ガベル」、ガンディー塩の行進、製塩業の衰退と伝統的職人芸の復活。
    塩からい風味にユーモアをそえておくる、博覧強記のノンフィクション。

    [ 目次 ]
    <上>
    第1部 塩、死体、そしてピリッとしたソースにまつわる議論(塩に託されたもの;魚、家禽そしてファラオ;タラのように固い塩漬け男;塩ふりサラダの日々;アドリブ海じゅうで塩漬けを;二つの港にはさまれたプロシュート)
    第2部 ニシンのかがやきと征服の香り(金曜日の塩;北方の夢;塩たっぷりの六角形;ハプスブルク家の漬物;リヴァプール発;アメリカの塩戦争;塩と独立)

    <下>
    第2部 ニシンのかがやきと征服の香り(承前)(自由、平等、免税;独立の維持;塩をめぐる戦い;赤い塩)
    第3部 ナトリウムの完璧な融合(ナトリウムの悪評;地質学という神話;沈みゆく地盤;塩と偉大な魂;振り返らずに;自貢最後の塩の日々;マー、ラーそして毛;魚より塩をたくさん;大粒の塩、小粒の塩)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 書店で見つけ、内容を確認。
    面白そうなので、図書館で予約。
    いざ読み始めると、なんとも退屈・・・
    途中で断念。

    内容は気になるので、タイミング見て再読します。

  • 塩で辿る世界史。
    必須だけど昔から楽に採れてたと思いきや。
    戦争の火種にも!
    たかが塩、されど塩。。。

  • 塩には興味があるが、歴史は今一。やっと読了。

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著者プロフィール

マーク・カーランスキーはアメリカのコネチカット州ハートフォードで生まれ育ち、マイアミ、フィラデルフィア、パリ、メキシコなどを拠点にジャーナリストとして活動した後、1992年に「A Continent of Islands」で作家デビューした。その後、1998年に「鱈 世界を変えた魚の歴史」でジェームス・ピアード賞を受賞し、15カ国以上に翻訳され、(日本では飛鳥新社から刊行されている)世界的なベストセラーになった。

「2023年 『サーモン ―人と鮭の物語—』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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