シュラ - 警視庁墨田署刑事課特命担当・一柳美結4 (中公文庫)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122059894

作品紹介・あらすじ

八年前、自分の家族全てを惨殺された美結。武器商人・田中晃次から、犯人の正体を知らされた彼女は復讐に我を忘れ、警察組織から離脱する。一方、全世界を影響下に置く強大な敵・田中と戦うべく、日本警察と佐々木兄妹たちは、逮捕したサイバーテロリスト"C"と手を結んだ…。すべての秘密が明らかになる、シリーズ完結篇。文庫書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ4作目。完結。
    「警察物」と一括りにするのは勿体ないくらい、思想的な要素が多く、考えさせられる結末だった。1作目、2作目と天才ハッカーだったり、中国の暗殺者との攻防が描かれて来たので、ラストも派手な結末と予想をしていたのが、裏切られた感じはする。でも、今までの警察小説にはない結末は、やはり読んで良かったと思える。
    他の人のレビューでもあるが、残り200ページ近くを残して、事件は解決したかと思わせ、あとはどのような話が出てくるのだろう?とかなり不思議な構成。しかし、事件解決と見せかけ、本当の敵の存在を静かに暗示していた。
    美結が主人公だが、本当の主人公は田中講師だと思う。彼の言葉の重さが物語が進むに連れ、心に響いてきた。そして、最後の大事なキーマンの死。ここで死なせてしまうか…と思ったが、それ以上に裏切り者がいないことにほっとした。

  • 完結編は、これまでよりも一層哲学的で、メッセージ性の強い物語となっていた。
    人類を破滅に近づけたい田中をようやく逮捕した美結たち警察。
    それまでに犠牲となった人間は数知れない。
    だが悲劇は終わらない。
    「C」に突きつけられた暗殺予告。
    正当な手段で田中を裁こうとする者たちの前に立ちはだかる、多くの襲撃者たち。

    犠牲者たちを前に、辛い気持ちをかかえながらも忠輔の信念は少しも揺るがない。
    忠輔の、美結の、そして彼らを信じる者たちの願いは果たして届くのだろうか。
    はっきりとした結末は描かれていない。
    すぐに勝敗が決するような出来事でもない。
    けれど、何年先か、何十年先か、何百年先か。
    いつかは忠輔の信じる道理が勝利する日が来ると、信じたい気持ちになってくる。
    水無瀬が歩んできた人生。
    彼の考え方、彼の思い、彼の信じた道。
    それらを考えると切なくて辛くて、たまらない気持ちになる。
    だが、水無瀬自身はけっして後悔はしていないだろう。
    彼もまた、信念に生きた人なのだから。
    シリーズで一番読みごたえがあった。
    同時に、シリーズで一番好きな物語となった。

  • シリーズ最終巻。やはり、この最終巻に主人公・一柳美結の活躍の場が用意されていた。Cが警察と手を組み、全世界の敵・田中晃次と対決する。そして、最大の謎が…

    シリーズ全巻を通して読むと、如何に綿密に構成された壮大な物語なのかが分かる。登場人物の抱える過去、秘密が少しづつ明らかになるにつれ、物語の中の世界が広がるという面白い構成である。登場人物の誰が悪で、誰が正義なのかも混沌としており、読み進むと読者の予想は大きく裏切られる。これだけのボリュームの書き下ろしシリーズとなると、巻を重ねる度につまらなくなる作品が多いのだが、この作品は面白さが増すという稀有な例だろう。

  • 八年前、自分の家族全てを惨殺された美結。武器商人・田中晃次から、犯人の正体を知らされた彼女は復讐に我を忘れ、警察組織から離脱する。一方、全世界を影響下に置く強大な敵・田中と戦うべく、日本警察と佐々木兄妹たちは、逮捕したサイバーテロリスト“C”と手を結んだ…。すべての秘密が明らかになる。

  • 特命担当・一柳美結シリーズの4冊目「シュラ」

    全4巻のまとめ、説明的な内容を踏まえて、物語をまとめて行きます。ちょっとクールダウン的な第4巻。

     世にあふれる「警察小説」でも、まだまだこう言う面白いものが出てきますね。

    読んで良かったです。

  • ん?これで完結?全世界を支配下に置くその皇帝と、敵対する天才サイバーテロリスト坊主、さらにはそのテロを阻止せんとするチームの女子留学生、彼らが実は親子兄妹だったりする。壮大な宇宙スペクタルのスターウォーズも確かそんなんだったっけ。ちわ喧嘩。憎悪と忠輔が唱える正義との葛藤、こののっぴきならない状況下で、美結は手も無く彼此それぞれの提唱者に懐柔されてしまう。そして次々と繰り出される殺戮兵器によって東京は大混乱、してるはずなんだけど、結局は警察機構の中での大騒ぎに終わっちゃったような鬱積あり。

  • 何か物足りない終わり方。読者に結末を預けるのはいかがなものか。悪と善は相対的なもの。バランスが折り合えばいいけど、悪が絶対的質量をもった瞬間、善は悪に引きつけられ、逃れられない。読者に考えろ!と問いたいのか?まさに、Never ending Story.

  • シリーズ完結編。
    美結を取り巻く仲間たちのチームワークの良さ、互いを思う気持ちは強い。
    警察と一丸になって悪に立ち向かう大学講師の忠輔は、犯罪者とて殺さずに罪を償うことを強く訴える。
    ただ、それによって周りの人間は次々と命を落としていく。
    確かに殺しあいばかりしていても…というメッセージはおるんだろうけど、後半は少しくどかったかな…
    ちょっと読み疲れした部分あり。

    2023.5.20

  • 06月-03。3.5点。
    一柳美結シリーズ、完結編。黒幕田中から、家族殺害の犯人を知らされた美結。復習に向かう。佐々木先生、警察は「C」と手を組み田中確保を狙う。。

    完結編はアクション少なめ、論理のぶつけ合いが多かった。でもスピード感はあり。ラストは良かった。

  • 3.0

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著者プロフィール

沢村鐵
一九七〇年、岩手県釜石市生まれ。二〇〇〇年 『雨の鎮魂歌(レクイエム)』でデビュー。著書に「警視庁墨田署刑事課特命担当・一柳美結」シリーズ、「クラン」シリーズ(以上、中公文庫)と、その番外編『ゲームマスター 国立署刑事課 晴山旭・悪夢の夏』、「極夜」シリーズ(以上、祥伝社文庫)のほか、『あの世とこの世を季節は巡る』、『はざまにある部屋』(以上、潮文庫)、『謎掛鬼 警視庁捜査一課・小野瀬遥の黄昏事件簿』 (双葉文庫) などがある。
ウェブサイト〈沢村鐵のフィラメント〉http://www.t-sawamura.net/

「2023年 『世界警察4 悠久のフロスティグレイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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