魔法飛行 (中公文庫 か 81-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122060791

感想・レビュー・書評

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  • 川上未映子さんの文章は浮遊感がある。本書はエッセイだけど、小説と同じように何処かに連れていかれるような不思議な読み心地だ。旦那さんは作家の阿部和重さんでなんてオシャレな…と初めて知ったとき痺れた。たまに猛烈に読みたくなる川上作品。タイトルまでもオシャレなんだからセンスの塊みたいだなと常々思っている。

  • 川上未映子が食べ物を作るところや食べるところを書いていても、食べ物が美味しそうと思わない、取り留めない思考の草原に引き込まれるだけなのだけど、そこも、好き。乳と卵に使わなかったシーンを読めたのも、よかった。

  • 「ーー思いすぎると足が痛く、思いですぎると独りになって、薄暮はゆくーーあんな青、黄色だって青になる、何度だって笑ってしまう」
    これは1冊目「発光地帯」の続編になっている。"一応"食のエッセイ。魅力的な散文詩もあれば、詩もあり言葉を紡ぐことを楽しんでいるような著者に出会える。

  • 日頃思っていたことを、著者が代わりにうまく言ってくれているところがいくつかあった。言葉がまとう空気や響きが心地よくて、夜読んだら、その日はよく眠れそう。温かいお茶を飲むとほっとするような感覚になった。
    『安心毛布』も好きだけど、本書も素敵。タイトルの由来がシャガールからきているのも魅力。

  • 1冊目の発光地帯よりもさらに心地よく読み進めることができた。言葉の流れが美しく、本当に心地よい。エッセイ嫌いの私も川上さんの魔法にかかってしまったかのよう。この頃、川上さんのお腹に赤ちゃんがいたとのことで、そのあたりも今の私に共感を運ぶ一つの理由だろうか。

  • 16/08/21
    川上氏の文章がたまらなく好き。好きという言葉で表すのが野暮なくらい、実感として好き好き大好き。感傷的でひりひり。でも好き。だからこそ好き。

    ・自分も「そういったおたのしみに用がある人間なのだ」と思いたいし、それに、おたのしみのほうからも「こちらもおまえに用があるのだ」と思われたい(P120)

    ・春だ。涙もろくなる季節がやってきた。
     あまりに涙もろいので、わたしが泣いているのではなくて春が泣いているのではないかと思えるほどだ。(P168)

  • 読んでいて気持ち良くなる。料理、思い出、感傷。本人が側にいて、とめどなく、親密に、語り続けてくれているような気分。
    川上未映子のこの独特の文体にはいつも影響されてしまう。

著者プロフィール

大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。2019年、長編『夏物語』で第73回毎日出版文化賞受賞。他に『すべて真夜中の恋人たち』や村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』など著書多数。その作品は世界40カ国以上で刊行されている。

「2021年 『水瓶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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