戦略の歴史(上) (中公文庫 キ 6-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (419ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122060821

作品紹介・あらすじ

先史時代から現代まで、人類の戦争における武器と戦術の変遷を、石・肉・鉄・火という文明の主要な構成要件別に著述、戦闘集団が所属する文化との相関関係を解読する。制約・要塞・軍団・兵站などについても科学的に分析した戦争の世界史。上巻は「戦争とは何か?」という問いに始まり、人類の歴史と戦争について概観、原初形態から詳述する。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史書には二つある、読み易いのと読みたく無いの

  • 『A History Of Warfare』を『戦略の歴史』としてしまう許しがたい邦題をさておいたとしても、翻訳のつたなさを超える読みにくい文体。時系列に沿わず、数百年を行き来する構造。表もグラフもないままに筆者の印象でまとめられる独特の項目。横道にそれるが具体的すぎる余談の多さ。
    改善の余地は多いのに、それでも抜群に面白い。

    本書で『戦争』を考察するにあたりまずもって足がかりとされるのが、クラウゼヴィッツの 「戦争は政治の継続である」という戦争史観。
    イラクで、アフリカで、日本で、イースター島で。クラウゼヴィッツが見逃してきた、またはあえて見ようとしなかった政治の域を超えた戦争を題材に、戦争は政治の継続ではないとすれば何なのかを考察する。
    この第一章の中で参照されるのが、ナポレオン、マルクス、アダム・スミス、ヴォルテール、ケネディ政権、毛沢東、チトーなどなど。エピソードの多少に差はあるが、脇道に没頭しすぎるて本題を忘れがちになるので注意したい。

    続く石の章では、原始的な戦争の実態としてヤノマモ族、マリング族、マオリ族、アズテック族を。
    肉の章では、アラブ人、モンゴル人、マルムーク騎兵などの騎馬民族の長期的な戦略の無さについて語られる。

    主題以外の項目は"戦争の制約"、"要塞"、"軍団"など。"歴史"という言葉でまとめるには文量が不足しているが、それでも興味深い歴史的事実とその考察を楽しめる。

    下巻の章は"鉄"と"火"という鉄板の題材であり、個人的に気になっている"法"についてはどこまで言及してくれるのか。
    役立てるには骨が折れるが、楽しめることは間違いないだろう。

  • 『戦略の歴史』という題名から想像したのとはだいぶ内容が違ったので困惑している。というか、なんだこれは…上巻て序章なの?前提なの?戦略論じゃねえし、文化論っぽいような違うような。そして、武士階級について述べてる部分については違和感もあるし、文体の相性もあまり良くない。果たして下巻を買うものか迷う。(たまたま買ってなかったらしい)

  • クラウゼウィッツの戦争論の否定から入る画期的で刺激的な戦争論。
    和訳されていない人類学や考古学などを活用し、戦争を著述しているが、年代の流れやテーマからの飛躍し過ぎた具体例など、読みづらく、疲れた。
    下巻のみだけでもいいのかと思う。

    先に読んだマクニールが、いかに、体系立てて、分かりやすかったのかと、再評価してしまった。

  • 「戦略」というと誤解しやすい。争いが発生する根源や、歴史が下るに従って、争いの形態がどのように変わってきたかについて、古今の思想・哲学古典や世界各地の民族歴史の有名なトピックスを下敷きして、講義する本。

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著者プロフィール

軍事史家。オックスフォード大学卒業後、サンドハースト王立陸軍士官学校で戦史を教える。1986年退官後『デイリー・テレグラフ』で国防担当記者Defence Correspondent として活躍、著書に『戦争と人間の歴史 War and Our World』(井上堯裕訳 刀水書房 2000)、『戦略の歴史 A History of Warfare 上・下』(遠藤利國訳 中公文庫 2015)、『チャーチル Winston Churchill 』(富山太佳夫訳 岩波書店 2015)『戦場の素顔 The Face of Battle』(高橋均訳 中央公論新社 2018)他多数.

「2018年 『情報と戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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