スカル・ブレーカ - The Skull Breaker (中公文庫 も 25-11)
- 中央公論新社 (2015年3月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122060944
感想・レビュー・書評
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ヴォイド・シェイパシリーズ第三弾。今回も色々な人と出会い別れを繰り返すゼン。相変わらずゼンの求める強さとかそういうものの答えは出ないものの少しずつ何かは成長していく。今作ではゼンの正体というか過去の謎が明かされるがまだはっきりとした事はわからない。それでもゼンは旅を止めずにまた誰かと出会い別れを繰り返して成長していくのだろう。ゼンがどんな終着点を見つけるのか、今から楽しみである。
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緊張感のある映像が浮かんでくる感じ。かっこいいシーン多かった。わりと予想通りの展開。
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相変わらず世間に興味津々のゼン。
しかし、学ぶことは自分の内にあると諭される。
そのどちらもが強さには必須。
剣によって己を磨き、自己の純度を高め
しかしその一振りで人の命を奪う。
活人剣と殺人剣はそのどちらもが本質。
相対するどちらもが真実。
「空の青さと葉の赤さは、対決するような鮮やかさだった」
否定ではなく、すべてを内包する器の大きさをゼンは徐々に獲得しつつある。
そしてうどんにハマったり、風呂の湯の熱さにぶつぶつ言ったりする。 -
立ち寄った村で、人違いで城へ連行されたゼン。当初は横暴な扱いを受けたが、何故か城主と面会することに。城の実権を握るという殿様の姉でたるククに呼び出されたゼンは、自分の過去の片鱗を知る。
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剣豪シリーズ3作目
今回のテーマは何かね?
「正義」とは?とか「力」とは?かな?
剣を振るう事だけが正義ではないと
太平の世になって力を持っているのは武力ではなくお金
となるとお金を稼げるor持っている人が何でもできてしまう
もしくはルールを作る人、守るべき人がお金を稼ぎやすくなると
またゼンさんより強い人が出てきたね
やはり本当に強い人は自分が強いことを隠すのがうまい
それでいて戦いを避けて、避けようもないときには力を発揮するという、シリーズの最初から一貫して本当の強さの基準は変わってない
あと、ゼンさんの出自が明らかに
ショウグンの兄弟?
ってか、侍の立場や社会の仕組みとかから察するに、江戸時代とも言えなくなってきたな
その辺をモチーフにした異なる世界観ということですかね -
最高です。
解説にあったように、吉川英治の「宮本武蔵」、藤沢周平「蝉しぐれ」に匹敵する面白さ。
このシリーズは自分のバイブルのひとつになる可能性あり。
話はまたもや哲学的な問答とゼンの剣を通しての成長譚。
ゼンの出自が明らかになる。
3冊めにして、ゼンが感情を持つようになる。後半、笑うゼンに成長の兆しを発見! -
前作は決闘場面が多く、息つく暇がないくらい展開が早かったが、本作はゆったりした印象。
城下で二人の侍と知り合い、その後、何故か城へ連行されてしまうゼン。
ゼンを「神様が雲の上から降りていらっしゃたような」という城の侍女(?)の言葉やシリーズ中で着かず離れずのノギとの嚙み合わない会話にホッとさせられる。
そして、稽古として一人剣を抜く場面。
(引用)
敵がいないとき抜く刃は、自らを清めるものだ。
静かに鞘から抜き、真上に立て、月の光に刃を当ててみる。
息を細く吐く。(中略)
己の剣は、ここにあるのだ。
そう‥‥。
立ち向かおう。
いつも、命を懸けて、ただ剣を振ればよい。
生きているから、恐くなる。
しかし、剣を持てば、もはや怖くなくなる。
森先生の文章のこの緊迫感に痺れる。
ゼンの剣は凄いが、決してスーパーマン的な剣豪としては描かれない。偶然や他からの助けを得て絶体絶命を生き抜けている場もある。これも森先生らしいということかな。
ゼンは剣のことばかりでなく、人や世の中の不思議にも思索を続けていく。その歩みに合わせて同行する読書だった。
本作では貴種流離譚の色が出てきた。さあ、次はどうなるかな。 -
大好きなシリーズ三作目!
ゼンの正体に少し触れます。
鎧屋の親父との話が良いと思いました。
上質な鎧と、鎧の意味、ゼンが思う鎧に対する自分の見解等等。
何故強くなるのか?何故金持ちになるのか?強くなる事で守らなければならない事など現代に生きていく上で学べるモノもあります。
ところで、時代小説とはいうモノの何時の時代の何処の場所なのだろうかと考えさせられます?
その辺も徐々に明かされていくのでしょうか?
いずれに致しましても、次作が楽しみです!