化学探偵Mr.キュリー3 (中公文庫 き 40-4)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122061231

作品紹介・あらすじ

体調不良を引き起こす呪いの藁人形、深夜の研究室に現れる不審なガスマスク男、食べた者が意識を失う魅惑の"毒"鍋。次々起こる事件を、Mr.キュリーこと沖野春彦と庶務課の七瀬舞衣が解き明かす-が、今回沖野の前に、かつて同じ研究室で学び、袂を分かった因縁のライバル・氷上が現れた。彼は舞衣に対し、沖野より早く事件を解決してやると宣言し!?

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第三弾。
    4篇を収録。
    流れとしては、庶務課に相談事が持ち込まれ、
    舞衣が意見を聞くべく沖野の元に向かうって感じですが
    今回は、沖野が前にいた大学のライバル:氷上が登場
    その時の苦い思い出が回想からわかる。
    少しずつ登場キャラのキャラの過去が明かされる?
    今回も色々と楽しめました。

  • 理学部准教授、ちょれえ。

    ……というのが、キュリーシリーズを初めて読んだ時の感想でした。だってさぁ、上目遣いくらい自然にできますよ男女の身長差があれば。「結構好きですよ」「さすが沖野先生です!」くらいなら舞衣さんでなくたっていくらだって言えますよ舌動かすのはタダだもん。なのにカップがっちゃんと取り落とすほど動揺しちゃってあらまぁ。
    でも理系の男性には多かれ少なかれそういうところがある気がします。イケメンで優秀でも、男子校育ちで理工系の学部に行っちゃったりなんかすると女性と触れ合う機会がほぼ皆無なので、ものすごーくハイスペックな割に信じられないくらい初心な方が一定程度散見されます。しかし逆に女子校育ちの文学部女子はちゃっかり彼氏作ってる子ばっかりだったけどあれはどういうことだろう……というのは置いといて、そのあたりうまい感じにデフォルメされたキャラだと思います沖野先生。

    そんな理学部准教授は、3巻でもやっぱりチョロかった。
    そんなさぁ、手作りクッキーなんてさぁ。お菓子たまに作りたくなるんですよ一部の女性は。だけど一人分なんか作れないんですよ、どうしたって余るんですよ。それをまあ、追いかけてくるほど執着しちゃってニヤニヤ。脳裏に甦る記憶――そういえばバレンタインに手作りチョコ余ったから工学系の研究室にばらまきに行ったら女神のように崇め奉られたことあったな。皆けっこうなイケメンで優秀な研究者の卵でモテそうだったのに。

    と思ってたら。
    さらにチョロそうな人が来た。

    新キャラ氷上先生。
    沖野先生の兄弟子にあたる方らしいのですが、沖野先生に負けず劣らずツンデレ。何だろう、村雨研究室はツンデレ養成所でしょうか。村雨不動大先生はツンツンツンデレなおじいちゃん先生を期待しちゃっていいんでしょうか喜多先生! 思えば沖野先生の研究室の聖澤女史もクーデレだし、氷上先生の教え子の服部君(新キャラ)はちょっとヤンデレチックだったけど……受け継がれるデレ気質。
    氷上先生はオムライスがお好きと。ギャップ萌えですか。わあますますチョロい。
    いやもちろん、真面目なキャラクターですからチョロいといっても色仕掛けで単位もらえたりメイド喫茶ばりのオムライスにケチャップハートでおいしくなぁれ♪ で喜ぶとは思いません。しかし、夜遅くまで研究室に残っている氷上先生のためにオムライスにラップかけて冷蔵庫に入れておいて『お疲れ様です。あまり無理しないでくださいね』とかメモを添えておけば涙目で食べてくれるタイプだきっと絶対間違いない(独断)。

    ↑ここまで、6/23予約取り寄せにて購入し読了後の感想。

    そして本日6/24再読。に先立ち、喜多先生が「沖野の母校は東大イメージ」とおっしゃっていたので、授業終了後ぶらっと自転車で半周してみました。
    キュリーシリーズの大学描写は妙に東大を彷彿とさせます。
    いえわかってます。四宮大学は、私大です。
    理学部、工学部、薬学部、医学部、農学部と理系だけでも旧帝並のバリエーションを誇っていようと、現代日本の私大は早慶ですら理系は理工学部にまとめられていようと、小さな私大なのです。
    正門入ってまっすぐ奥が講堂という描写に、ファミマの前に立って信号待ちをしている時の、本郷通り沿いの白い正門の奥に見える安田講堂がありありと思い浮かべられても! 四宮大学は小さな地方の私大なのです。
    などと思いながら正門前からスタート。「沖野の母校は東大をイメージして書いています。(弥生門のあたりとか)」との喜多先生のお言葉を思い出し、弥生門から出て右へ。おお、本書第4話『化学探偵と見えない毒』で沖野先生がカバン引ったくられたのはこのあたりかーと思いつつゆるい坂を下る。池之端門から再び構内に入り、龍岡門方面へ。本部棟を右に見つつ、舞衣さんのいる事務棟はここかしらんと考えて自転車ツアー終わり。自習室に引きこもって刑法の復習に取り掛かりました。
    これがまずかった。何せ、本日の授業は財産犯。窃盗、強盗、エトセトラ。頭が疲れてきたところで息抜きがてら本書再読。
    脳裏に甦る刑法担当S教授の声。
    『単なるひったくりは、窃盗と考えられています。しかし、被害者がバッグを奪われまいと抵抗し、なお強奪すれば強盗となります』
    ……沖野先生は抵抗しなかったからこの段階では窃盗だな。
    『事後強盗は、通常の強盗とは違い窃盗の後に暴行・脅迫が行われるもので』
    ……ん? 服部君(新キャラ)、引ったくられた沖野先生のバッグを取り返そうとして引ったくりに殴られたよね。
    『しかし、その暴行・脅迫は窃盗の犯行現場又は窃盗の機会の継続中に行われなければならないのですが、この判断について判例・裁判例を見ますと、窃盗行為から30分後、現場から1キロ離れた地点で被害者が犯人を発見し取り返そうとして犯人に暴行された事例については事後強盗を肯定、一方現場から200メートル離れた地点で職務質問された場合について否定』
    ……てことは、沖野先生のバッグが引ったくられたあと服部君が夜通し犯人探してついに見つけて暴行されたこの事件は、事後強盗致死事件になるのか? それとも窃盗の機会の継続が認められずに、窃盗と傷害致死の併合罪になるのか?
    とここまで考えて首をひねる。はて、私は息抜きのために本書を再読していたはずだが。

    苦笑しつつ本を閉じました。
    日記のような内容になってしまいましたが、キュリーシリーズはキャラクターが魅力的でこの巻もツンデレが非常に楽しかったので大満足です。
    久しぶりに初版本というものを予約取り置き購入しましたが、296ページ5行目、おそらく「服部」とすべきところが「氷上」と誤植されているのも初版本の醍醐味ですね。
    ただ、毎度毎度扉に描かれている構造式は、ネタバレではないのかなぁとちょっと思ったり。高校まで理系で文転した私のような人間にはちょうどいいバランスなのですが、理系の方にはすぐネタがわかってしまいそうだし、文系の方には解説があってもぴんとこないのではないかといらぬお節介が胸をよぎったりもしました。
    個人的には化学とミステリとストーリーがちょうどいいところにハマっているので大好きなシリーズです。読者層として、私個人がニッチに過ぎないことを祈ります。

  • シリーズ3巻目。

    そろそろだれてくるかな?という心配は不要でした。
    このシリーズの好きなところは
    化学という結果・答えがはっきり出るものを
    扱いながらも、登場人物たちの感情のような
    曖昧な部分が自然に描写されていて、
    いい具合に物語の中でバランスがとれているところです。

  • 四宮大学庶務課に勤務する女性職員、七瀬舞衣が学生の悩みや問題を
    理学部科学科の准教授の沖野春彦を巻き込んで科学の知識で、
    解決へと導く連作短編の第3弾。

    今回は、呪いの藁人形、により苦しむ学生。
    真夜中に実験を行う学生。
    犬の病気を助けたいがために奮闘する小学生。
    とあるサークルで起きた問題と七瀬と沖野の間での出来事。
    この4話で構成されていて、3話と4話は展開が熱かったかな。
    特に、4話の七瀬と沖野の関係が・・・ってな展開は、
    5巻以降にどう影響するのかなって言うちょっとしたハラハラドキドキ感を
    与える感じもあったりなかったり。

  • まずまず面白いんだが、どうしてもガリレオと比較していまう。最後まで先が読めない位の話の深さがない所が少し残念。まだまだシリーズとしては続いている様ですが、読むかどうか微妙かなぁ(^_^;)

  • より一層、学園ラブコメっぽくなってきた。七瀬さんのソフトボール、沖野さんの過去など、主要キャラの味付けも。
    長編も読んでみたいな。

  • 主人公の一人、七瀬真衣ちゃんがソフトボールのピッチャー!さわやかだわ。。

    さいごに、沖野先生との関係が?!みたいなのもあり、シリーズの先行きも気になる展開。

  • 大学化学科准教授とその大学庶務課事務員コンビが謎を解決する短編集。

    恋のお悩み相談も増えつつ、将来有望な化学少年等も登場したりだいぶ楽しめる内容になっております。
    准教授の過去も少しずつ見えてきてシリーズの深みが増してきてます。

    庶務課事務員のガツガツした感じがそろそろうっとうしく思えてきたので、今後あまりひどいようだと脱落してしまうかもしれないな・・・・。

  • 20210225読了

  • 読書録「化学探偵Mr.キュリー3」3

    著者 喜多喜久
    出版 中央公論新社

    p204より引用
    “「意識してそうしたつもりはないが、研究
    を続けていれば、多少はコネらしきものがで
    きる。最善の結果を得るために、使えるもの
    を最大限に使う。……まあ、そういうことだ」


    目次より抜粋引用
    “化学探偵と呪いの藁人形
     化学探偵と真夜中の住人
     化学探偵と科学少年の奮闘
     化学探偵と見えない毒”

     優秀な化学者と大学職員を主人公とした、
    短編連作ミステリ。
     小学校の授業中、日付の数字遊びで問題の
    回答を指名された男の子。しかし彼はあがり
    症のようで…。

     上記の引用は、とある薬を手に入れた主人
    公・沖野春彦の台詞。
    どんな仕事でも、長く続けていくうちに、人
    間関係は出来ていくものなのでしょう。いざ
    という時、頼れる知人がいる状況になるよう
    に、あまりにも頻繁に職を変えるのは考え物
    かもしれません。
    まあ、あまりに待遇が悪い仕事場は、早めに
    見切りをつけたいところですが。
     ミステリ色も残しつつ、ラブコメの波動が
    強くなってきているように思われます。ハラ
    ハラするようなミステリ作品を求めるのなら、
    少し物足りなさを感じるかもしれません。そ
    ういうところを狙って書かれている作品では
    ないのでしょうが。

    ーーーーー

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著者プロフィール

喜多喜久

一九七九年、徳島県生まれ。東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了。大手製薬会社の元研究員。第九回『このミステリーがすごい!』大賞にて優秀賞を受賞、二〇一一年受賞作を加筆した『ラブ・ケミストリー』でデビュー。主な著書に『青矢先輩と私の探偵部活動』(集英社)、『桐島教授の研究報告書 テロメアと吸血鬼の謎』、「化学探偵Mr.キュリー」シリーズ、「死香探偵」シリーズ(中央公論新社)がある。

「2022年 『死香探偵 真心は捧げられた死と香る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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