- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122061705
作品紹介・あらすじ
民主制と市場システムという二つの装置をいかに使いこなすのか。求められるのは、その欠陥を認識しながら、粘り強く修繕し続ける知恵である。自由・平等・秩序を維持するために、社会は、人は、どうあるべきか。経済思想・労働経済学の第一人者が問う。読売・吉野作造賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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章ごとに難易度が異なる気がする。最初の部分は少し難しいが、あとになるにつれて一般的になる。ドイツについては、著者の体験が多くエッセイの様である。それは高等教育と経済学の章でも同様である。
学生が読むとしたら自分が読みやすいと思ったところから読む方がいいと思われる。
どこかで推薦された本である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【版元】
初版発行日:2015/9/25
判型:文庫判
ページ数:296
定価本体:800円(税別)
ISBN:978-4-12-206170-5
手放しの競争礼讃は20世紀の教訓を忘れていないか。競争原理の激化に警鐘を鳴らし、公共利益の必要性を説く。読売・吉野作造賞受賞作。
〈http://www.chuko.co.jp/bunko/2015/09/206170.html〉
【目次】
目次 [003-009]
プロローグ 013
I 民主制をめぐって
第1章 リベラル・デモクラシーをめぐる5つの論点 020
直接民主制と代表民主制 021
多数決原理と経済厚生 023
「丸太ころがし」と投票のパラドックス 026
官僚と民主制 030
自由とモラル 032
参考文献 035
第2章 リーダーシップの衰退 037
日本人はリーダーを望んでいるのか 037
国際政治の場―― G7とIMF 042
国際金融機関の中の日本の声 047
参考文献 052
補記 053
第3章 日本国憲法と経済政策 055
専門性の問題 055
外形標準課税の場合/功利主義的計算を/金融政策の場合
政策決定のスピード 066
参考文献 071
補論(1) 自己統治とガヴァナビリティー 072
参考文献 078
II 市場経済の力と限界
第4章 競争社会の二つの顔 080
経済競争を封じ込めようとした計画経済 082
二つの競争と人間の自由 089
一元的システムの不十分さ 095
参考文献 102
補記 103
第5章 視野の短期化と公共の利益 104
森林に象徴されること 104
人材の育成と評価 106
短期資本という乱暴者 111
研究開発の体制 114
人材の供給体制の見直しを 116
専門性の尊重/専門家の数/長期的利益と公共の利益
参考文献 123
補記 123
第6章 市場経済を中間組織で補完する 124
民主制の弱点 124
市場機構の弱点 126
中間組織のcommonという概念 129
参考文献 135
補記 135
補論(2) 官僚批判の行き過ぎは危険だ 136
官僚は叩かれるもの/機械的削減より再分配を/公的部門の規模/「政」だけで公共の利益は護れるのか
III 戦後日本の合理主義
第7章 高等教育と経済学 146
競争という「装置」 146
平等社会の野心 149
もうひとつの「教科書問題」 153
学問下地に専門性の向上を 157
非定型の判断力 160
参考文献 163
第8章 古典の喪失と知性の衰弱 164
知性の積極性 164
変化への対応力 168
思考には「形」がいる 172
参考文献 177
第9章 ドイツの場合――その多様性と連続性 178
マールブルグでの経験 178
統一後の問題 183
過去とのつながり 186
参考文献 192
補記 192
補論(3) 「少子化」という選択 194
合理性の逆説/家庭内労働の経済学
参考文献 203
補記 204
IV 国際社会の中の日本
第10章 グローバリズム――日本にとって何が問題か 206
事実と幻想 206
世界競争は「言葉の戦い」へ 211
技術競争と論争力の較差 215
参考文献 221
補記 222
第11章 言論の役割 223
知識の高度化と拡散 223
知識人と世論 226
過去の言論を評価する 230
言論の自由とは 234
参考文献 236
補記 237
第12章 アメリカ・ヨーロッパ・アジア 238
アメリカの漂流 238
ヨーロッパの連合 243
カール大帝からサン・シモンの夢想へ 247
アジアの経済統合と国際協力 250
参考文献 257
補論(4) 貿易と所得分配 258
UNCTADの南北対立/WTOとNGOの対立/貿易と所得分配/中間層こそ社会の要
参考文献 267
エピローグ 268
「好感度」という危険な尺度/統治される能力/ただシステムを変えればよいわけではない/自己統治なくして改革はなしえない
謝辞(二〇〇一年五月 著者識す) [279-280]
文庫版あとがき(二〇一五年夏至 著者識す) [281-282]
解説 二〇世紀を振り返る英知の書(宇野重規) [283-290]
公共性・中間団体・専門家
市場と民主主義を何とか使いこなす -
手放しの競争礼讃は20世紀の教訓を忘れていないか。競争原理の激化に警鐘を鳴らし、公共利益の必要性を説く。読売・吉野作造賞受賞作。〈解説〉宇野重規