笑うハーレキン (中公文庫 み 48-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122062153

作品紹介・あらすじ

経営していた会社も家族も失った家具職人の東口。川辺の空き地で仲間と暮らす彼の悩みは、アイツにつきまとわれていることだった。そこへ転がり込んできた謎の女・奈々恵。川底に沈む遺体と、奇妙な家具の修理依頼。迫りくる危険とアイツから、逃れることができるのか?道尾秀介が贈る、たくらみとエールに満ちた傑作長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 物語が思い切り展開するので伏線かなぁと思いつつ読み進めたら終わったのですが、登場人物の何かが何となく残ります。家具の裏の隙間が未だにわからない…

  • ミステリーでもないし、どんでん返しもないけど面白かった!
    登場人物のキャラもみんないい感じ。
    少し前向きになれた気がする

  • ちょっと合わないというか、期待外れ。
    ぴんと来なかった物語
    多分、主人公の再生の物語

    ストーリとしては、
    幼い一人息子を失い、妻とも離婚、経営していた会社も失い、ホームレスとして出張家具職人となった東口。
    ホームレス仲間と暮らす中、弟子にしてくれと現れた謎の女性の奈々恵。
    さらに、疫病神との会話

    そんなホームレスとしての生活の中で、起きた事件。
    同じホームレス仲間が水死体で発見。
    さらに、ヤクザが絡むと思われる奇妙な家具修理依頼。
    狙われる自分たち。
    いったいどうなる?
    といった展開です。
    後半の家具修理依頼からの脱出が唯一の盛り上がり。
    そして疫病神の正体とは?

    主題のハーレキン
    誰もが仮面を付けて生きているというメッセージにつなげています。

    ちょっとすっきりしない感じ(笑)

  • 冒頭からの暗い雰囲気のストーリーかと
    思っていたが、主人公の東口には、不幸
    な過去があり、わだかまりを抱えて、ホ
    ームレス仲間と暮らしている。
    東口と関わることになった奈々恵にも、
    暗い過去がある。
    ラストに向けて、人生を変えていこうと
    気持ちが切り替わるあたりで、ホームレ
    ス仲間を巻き込んだ事件に遭遇。
    ハーレキンという意味が途中で、明らか
    になり、世の中の人は、大なり小なり、
    皆、ハーレキンのようだと思った。
    数ある道尾秀介作品の中では、印象に残
    る作品であった。

  • ハーレキンって何。

    やっと わかりました。

    誰でも 多かれ少なかれ 仮面をかぶっているんです。

    でも そのうちに 仮面をかぶっている自分が

    本当の自分のように 錯覚してしまうですよね。

    疫病神さん いい感じ出ていました。

    今回は 道尾作品としては ちょっと 自分には 会いませんでした。

  • 題名が気になって買った一冊

    人生を立て直す話だった。

    人生のどん底のような感じで生きている主人公
    疫病神に取り憑かれ、謎の女が弟子入り、川に死体、奇妙な家具修理、あらすじだけ読めば面白そうな展開だが、奇妙な家具修理が終わりそうになるまで、あまり盛り上がりがない展開で予想と違った。

    ラストは急に展開が変わって大騒動

    淡々とした話だったが、人生を立て直し進んでいこうとする主人公は良かった。

    奇妙な家具についての謎がいくつか残った。
    なぜ奇妙な家具を40センチ手前に出す?
    空いたスペースは何に使う?
    綺麗した家具なのに猫が傷つけてもかまわない?

    家具の謎が残った小説でした。



  • 「道尾秀介」の長篇作品『笑うハーレキン』を読みました。

    「道尾秀介」作品は、昨年3月に読んだ『ノエル―a story of stories―』以来なので、約1年振りですね。

    -----story-------------
    あいつはいつも、ここにいる。

    経営していた会社も家族も失った家具職人の「東口」。
    川辺の空き地で仲間と暮らす彼の悩みは、アイツにつきまとわれていることだった。
    そこへ転がり込んできた謎の女「奈々恵」。
    川底に沈む遺体と、奇妙な家具の修理依頼。
    迫りくる危険とアイツから、逃れることができるのか?
    「道尾秀介」が贈る、たくらみとエールに満ちた傑作長篇。

    これはミステリーなの?サスペンスなの?
    謎の組織まで現れ、アクション映画さながらのスリリングなカーチェイスまで。あー面白い!/「小泉今日子」
    -----------------------

    40歳の「東口太一」は、東京・荒川沿いのスクラップ置き場で、都会の片隅に吹き寄せられたホームレス仲間の「ジジタキさん」、「モクさん」、「チュウさん」・「トキコさん」夫婦、犬の「サンタ」と暮らしている家具職人… 息子「笙太」を川の事故で喪い、不況の波に飲まれた取引会社の家具商社・イザワ商事の倒産により、経営していた家具製造会社・トウロ・ファーニチャーが連鎖倒産、その後、妻「智江」からは離婚を言い渡され、家具の修理道具一式とともにトラックの荷台で寝起きし、夜な夜な亡き息子を映したホームビデオを見返して生活している、、、

    そのスクラップ置き場は持ち主の「橋本」が住む場所として提供してくれており、「東口」を始めとするホームレスの5人は、「橋本」が所有するアパートの一室を共同で使用させてもらい、そこを住民票の登録住所にして、トイレ、お風呂、物置用の場所として使わせてもらっていた。

    そんな「東口」のもとに、弟子入り志願の若い女性「西木奈々恵」が押しかけてきてから、「東口」の周辺で不穏な出来事が続き、息子の事故死後から「東口」にだけ見えるようになった疫病神からは、不吉なことばかりを告げられる… そして、ある奇妙な修理依頼をきっかけに、「奈々恵」や仲間たちの秘密が明かされていく、、、

    ドロップアウトした男が一歩を踏み出す姿を、ユーモアを交えて軽快に描き出す感動的な作品でしたね… どんどん先を読みたくなるような展開で、登場人物に感情移入して、一緒になって這い上がり、そして、エンディングでは自分自身も救われたような感覚を得られる作品でした。

    誰だって、自分や家族や仲間を守るために、素顔を仮面で隠して生きているんですよね… 生きていくうえで必要なことだと思うけど、どうせならポジティブな仮面をかぶった方がイイなぁ と感じさせらましたね、、、

    終盤、息子を撮影したビデオの秘密が明らかになるとともに、「東口」の過去が明らかになり、物語の味方が一変するところが印象的だったし、巧いなぁ と思いました… じーんとしちゃう作品でしたね。

    ちなみに、タイトルにも使われているハーレキンとは、道化師のことだそうです、、、

    顔に笑顔の化粧をして、人を笑わせるけど、濃い化粧の下の素顔は見えない… 苦痛に歪んでいても、涙を溜めていても、笑顔の仮面をかぶっているのがハーレキンなんですよね。

  • こんな状況になって本を読む時間が取れない…やっと読み終えたのだけど、私的にタイムリーな内容だった。思う様にならない事が殆どだし、色々な事をお面で隠して笑って耐えてる。頑張らないとね!「カラスの親指」 みたいなほっこり感を感じた。がんばれー東口!

  • 友人Kからお下がりでもらった一冊。

    読み始めの印象としては、「これまで読んできた道尾秀介の小説とはちょっと色が違う」だった。

    特に前半は大きな波があるわけでなく、緩やかに時間を読んでいるような感覚。

    後半(後ろ1/3くらい?)に差し掛かり、物語はぐらっと動きを見せた。

    そこからのテンポ感に「これこれ!」と思わされ、一気に最後のページまで読み切った。

    謎の館の謎の人間たちが一体何者なのか、思ったほど詳しく描かれることはなかったけれど、そのファジーさが物語の広がりを作り、そんな世界がこの世界のどこかにあるように感じる。

    生きているのか死んでいるのかわからない登場人物達の「生きていく」姿が明るくて心地よかった。

  • 長い人生、仮面を被って生きなきゃ行けない時もあり。仮面を取って壁を乗り越えなきゃ行けない時もある。分かってはいるが逃げたくなる時あるよね。

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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