化学探偵Mr.キュリー6 (中公文庫 き 40-7)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 578
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122064119

作品紹介・あらすじ

四宮大学にアメリカから留学生が来ることになった。彼女は十六歳で大学に入った化学の天才エリー。沖野の研究室で天然素材「トーリタキセルA」の全合成に挑むことになるが、天才コンビ沖野&エリーにしても最終段階で合成に失敗してしまう。原因を調べていくと、大学内でのきな臭い事情が絡んでいることが見えてきて?シリーズ初の長編登場。

感想・レビュー・書評

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  • クイーン・オブ・おせっかいの七瀬舞衣の面目躍如たるお話だ。アメリカから四宮大学に留学にやってきた16歳のエリーのお世話を全力で行う。当然、Mr.キュリーこと沖野は巻き込まれてしまう。指導教官でもあるのだが、それ以上の世話を焼いてしまう。舞衣の影響には違いない。このシリーズの視点の中心は舞衣だが、沖野の心境の変化の物語でもあるかもしれない。元製薬会社の研究員の著者らしい化学の研究の話だが、素人にも大枠は分かるように書かれている。例えがいろいろ出てくるが、ちょっと面白い。最後はお約束の展開かな。

  • 化学探偵シリーズ初の長編でした。
    主人公である沖野の研究室にエリーという天才留学生がやってきて、トーリタキセルAの全合成に挑戦するという物語。

    エリーを通じて、沖野自身が研究者としての自分を確立していく様が描かれており、研究者という生き方に好感が持てる内容でした。

    また、沖野と舞衣との関係がとても良好なものになっており、今後の展開を期待させる内容でした。続きも読みたいと思います。

  • シリーズ初の長編、ということで今までのように賑やかな感じではなく、この、著者の別の作品に感じるような透き通った静かな気配のする話でした。トーリタキセルA、海外からの天才留学生と、二見という元学生、最後の方はオカルトサークルや、これまで登場した人たちが次々に姿を表して、なんだか物凄く感動した。

  • 初の長編、アメリカから留学の若き天才女子が秘めた問題解決をしながら、才能や化学への情熱、研究課題などいろんな問題への追究が進むのが面白い。有機化学の面白さも伝わってきて尚楽しい一冊。

  • 初の長編とのこと。科学を使った謎解きは、理屈がはっきりしちゃってるから、あっさり終わらざるを得ず、長編との相性はそんなによくないのかもしれないなぁと思う。

    となると、登場人物の心の葛藤とか人間ドラマが中心になるわけで、科学を武器に愉快?痛快な解決劇とはならず、少し間延びした感じになったというのが正直なところ。登場人物の秘密も「秘密」にするほどの特徴か?という気がして、そこにも間延び感はなくはない。

    あと、過去の登場人物が勢揃いする勢いででてきたから、これで最終回なのかと思っちゃったよ(笑)

  • 自分に化学の楽しさを教えてくれた日本人学生を追ってくるとか情熱的

    読む前はもっと舞衣とバチバチ火花を散らすのかと思ったけどそんなことはなく、凄く平和的でよそよそしい所がある姉妹みたいだった
    美味しいショートケーキを食べた時のエリーが可愛くて好き

    それに大人の身勝手な事情に巻き込まれた二見くんがまた前を向けるようになってよかった

    今まで出会ってきた人達が協力して二見くんを探してくれたり、沖野先生を可愛がってる偉い人が圧力かけたり、氷上さんが協力してくれたり胸熱展開でした

  • 初の長編。
    四ノ宮大学にやってきた留学生、16歳の彼女は飛び級で大学に入り、そして研究の為に日本に来た。
    その理由とは。
    その留学生の面倒をみることになり、相変わらずのお節介をする庶務課の舞衣。
    そしてメインテーマの決まらないMr.キュリーが恩師に頼まれその留学生の受け入れをすることに。
    文系ヒロインの為の理系の人々による例え話がどれもわかりやすいのが理解を助けてくれるので気楽に読める。
    教授たちの悪役になる人が皆わかりやすく悪役教授なのが笑いどころになってきてる気がする。

  • シリーズ第六弾。初の長編。
    探偵役は沖野春彦准教授だけど、主役は天才エリーと
    エリーに有機化学を教えた学生。
    七瀬舞衣が、留学生受入れ担当として、飛び級で
    大学に入った天才エリーの面倒を見る事になった。
    そしてエリーの研究担当になるのが沖野春彦准教授
    しかし、その研究の裏に隠されたきな臭い事件とは?
    いつになく緊張感漂う進行にドキドキしましたよぉ

    「何の為に生まれて、何をして生きるのか、
     答えられないなんてそんなのは嫌だ」

  • 天然化学物質の全合成を研究しているストーリー。正しいと思っていた物質の構造が実は間違っていて合成の失敗が続いていた。当たり前に正しいと思っていた事実が誤っていたことによって引き起こされたことだった。物事の定義自体を疑うことも必要だということを伝えてくれた。

  • シリーズ初の長編。
    四宮大学に初めての留学生を迎える。
    彼女は化学の天才であり、大学では恩人が
    失敗した研究に挑むが、そこにはある事情が
    絡んでいた。ってな感じかな。

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著者プロフィール

喜多喜久

一九七九年、徳島県生まれ。東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了。大手製薬会社の元研究員。第九回『このミステリーがすごい!』大賞にて優秀賞を受賞、二〇一一年受賞作を加筆した『ラブ・ケミストリー』でデビュー。主な著書に『青矢先輩と私の探偵部活動』(集英社)、『桐島教授の研究報告書 テロメアと吸血鬼の謎』、「化学探偵Mr.キュリー」シリーズ、「死香探偵」シリーズ(中央公論新社)がある。

「2022年 『死香探偵 真心は捧げられた死と香る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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