五つの証言 (中公文庫 マ 15-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122064454

感想・レビュー・書評

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  • 特にマンの文章について、2割くらいしか理解できなかった。また来年の8月に再読しようと思う

  • 中公文庫 「五つの証言」

    トーマスマン 渡辺一夫 らが 戦争や暴力が 人間の本質である精神の自由や寛容を奪うことに対して、文学者として 抗議した文書集。ユマニスム(ヒューマニズム)という理想に基づいて抗議している


    戦争そのものより上昇して権力に到達した大衆を批判したトーマスマン「ヨーロッパに告ぐ」は 温厚的なユマニスムのイメージを変える。狂信主義に阻害されないために 戦闘的ユマニスムという言葉が出てくる


    「専門外のことにも耳を傾けてこそ、専門の奴隷にならずにすむし、機械にならないですむ」という言葉が印象に残る








    「ヨーロッパに告ぐ」
    戦争のために物質的および精神的に際限のない荒廃が生じた〜文化の失格は大衆の上昇と権力への到達にある


    渡辺一夫「文法学者も戦争を呪詛し得ることについて」

    血みどろの理想は 理想ではない〜生存競争、弱肉強食の法則を是正し、人類の文化遺産の継承を行うのが、人間の根本倫理である

    渡辺一夫「人間が機械になることは避けられないものであろうか?」

    自分の専門研究が人間社会、人間文化において占める位置について常に反省し、専門外のことにも耳を傾けてこそ、専門の奴隷にならずにすむし、機械にならないですむ

    やむを得ぬ戦争という概念に捕らわれるより、戦争は罪悪というイドーラに捕らわれる方が、はるかに人間的である

    人間の利便幸福のためにつくられたものが、多くの人間を不幸にするところまで硬化した以上、進んでこの制度を変えるか、棄てるかしなければならない。人間がこの制度の奴隷となって、この制度の必然的結末である戦争まで起こすことは 笑うべき愚挙である

    ヒューマニズムとは、人間の機械化から人間を擁護する人間の思想である


    渡辺一夫「寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容になるべきか」

    結論は〜寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容たるべきではない

    寛容と不寛容の問題は〜人間性をお互い想定できる人間同士の間のことであって、猛獣対人間、天災対人間の場合は論外


    秩序は守られなければならず、秩序
    をみだす人々に対しては、社会的制裁を加えてしかるべきであるが、その制裁は、あくまで人間的でなければならない


    寛容の武器としては、ただ説得と自己反省しかないのである〜寛容は不寛容に対するとき、常に無力であり、敗れ去るものである〜不寛容な人々に対しては、説得のチャンスが皆無ではない

    不寛容に報いるために不寛容を以ってすることは、寛容の自殺であり、不寛容を拡大させるにすぎない















































































  • 第二次大戦前夜、戦闘的ユマニスムの必要を説いたマンへの共感から生まれた渡辺による渾身の訳業。寛容論ほか渡辺の代表エッセイを併録。〈解説〉山城むつみ

  • 自分自身に嫌気がさした時に渡辺一夫の「白日夢」(講談社)、「渡辺一夫 ちくま日本文学全集58」(筑摩書房)、「渡辺一夫評論選 狂気について」(岩波書店)を繙くのですが、この本が一番薄くて、持ち運びに向いてるかも、、、

    収録されているのは、
    トーマス・マン『五つの証言』に寄せて
    五つの証言 トーマス・マン
    文法学者も戦争を呪詛し得ることについ
    人間が機械になることは避けられないものであろうか?
    中野重治・渡辺一夫往復書簡
    寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容になるべきか

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    第二次大戦前夜、戦闘的ユマニスムの必要を説いたマンへの共感から生まれた渡辺による渾身の訳業。寛容論ほか渡辺の代表エッセイを併録。〈解説〉山城むつみ
    http://www.chuko.co.jp/bunko/2017/08/206445.html

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著者プロフィール

【著者】トーマス・マン(Thomas Mann)1875年6月6日北ドイツのリューベクに生まれる。1894年ミュンヒェンに移り、1933年まで定住。1929年にはノーベル文学賞を授けられる。1933年国外講演旅行に出たまま帰国せず、スイスのチューリヒに居を構える。1936年亡命を宣言するとともに国籍を剥奪されたマンは38年アメリカに移る。戦後はふたたびヨーロッパ旅行を試みたが、1952年ふたたびチューリヒ近郊に定住、55年8月12日同地の病院で死去する。

「2016年 『トーマス・マン日記 1918-1921』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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