本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
- / ISBN・EAN: 9784124001075
感想・レビュー・書評
-
ロック「寛容についての書簡」について。
本著作(以下、「書簡」)は、現代の政治哲学でもしばしば取り上げられるなど、寛容論として古典的な位置を占めている。しかし、内容としてはそれほど目新しいものではない、というのが率直な印象である。「書簡」の中心的主張は「教会と国家の分離」であるが、これは歴史的には17世紀イングランドにおける英国国教会からの独立派の分離、さらには16世紀大陸における再洗礼派的諸分派において、既に歴史的に実現していた事柄である。内容的にも、「書簡」において慣用の対象として除外された無神論者やカトリック教徒をも寛容の対象とした、ロジャー・ウィリアムズの方が、「教会と国家の分離」や「信教の自由」の保障の必要性と緊急性を、はるかに徹底したかたちで主張している。
しかし、ウィリアムズは後年クェーカーとの抗争で「寛容の基盤」の問題を突きつけられることになる。その点で、ロックが当時の政治・社会状況に鑑みて設定した「寛容の限界」の方が、現実的妥当性を持っているのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示
全2件中 1 - 2件を表示