窯変源氏物語 Tome5

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784124030051

作品紹介・あらすじ

千年の時の窯で色を変え、光源氏が一人称で語る橋本源氏-絢爛豪華に登場。横文字由来の片仮名言葉を一切使わない心理ドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 「蓬生」「関屋」「絵合」「松風」「薄雲」

  • 源氏物語より「蓬生」から「関屋」「絵合」「松風」「薄雲」までのお話。

    この5巻で爽快だったのは「松風」での明石の尼君の長台詞です。

    源氏にとって唯一の娘を産んだのは良いが、このまま自分の手元においておけば母の生まれの低さから娘に傷がついてしまう。
    養母紫の上の元で育てられれば中宮とも皇后ともなれる身である娘。
    しかし手放してしまえば次いつ会えるとも一生会うことも叶わぬこともあるゆえ明石の君はいつまでもぐずぐずと心が決められません。
    そこへ母明石の尼君の長台詞です。
    源氏の代弁ともとれる内容ですが、祖母である立場からまた変わり者の夫に嫁いだが為に明石という田舎で暮らさねばならなくなった妻の立場から、びしばし爽快に言って放ちます。

    まぁ読者からすれば後に明石の君こそ自由に幸せになれることを知っていますので余計に「いつまでもぐずぐずとめんどくさい女だな(´Д`)」と思ってしまうのですがw
    この後明石の姫君が入内の際には尼君と共に宮中へ上がり生涯娘のそばに侍り続けることが出来るし、源氏との恋の闘いからも「女」を捨て「母」となることで「いちぬけた」して心も自由になります。
    誘拐されてから死ぬまでずっと恋の闘いから逃れられることなく、出家も許されず恋の闘いのさなかに押し込められていた紫の上よりよっぽど幸せな人生です。

    そんな思いもこちらにあるせいか明石の尼君のびしっとばっさりとズバババっと言い切る長台詞は爽快でしたw

  •   末摘花のお姫様に、泣き笑いしてしまいました。憎めない人だ。

     明石の人ってもっと聡明なイメージだった。そして明石の巻からずっとなんだけども、この人に対する光る君の残酷なモノローグときたら。
     子をなして、愛する人がいて、亡くなった方の思いを知って、でもまだ光る君は足るということを知らない感じ。

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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