世界の歴史 (16) ルネサンスと地中海

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784124034165

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  • 2017.05―読了

  • 14世紀初頭(1401年)のハレー彗星の来訪に始まる、新しい時代の知らせから始まる記述。ルネサンスがどのような時代だったのか、反キリスト教というべきものではなく、キリスト教の絵画にも影響を与えている。実は古代の遺産は西洋のルネサンスを待たず、ビザンチンとイスラムに引き継がれていた。当時の人たちの肖像ということでの短文を集め、読みやすく、ルネサンスがイタリアに生まれた背景を解説しているので、最近いろいろと読んできたルネサンス時代の整理に役立ちました。

  • ●構成
    1 新しい時代への眼
    2 ルネサンスの春
    3 イタリア、地中海の焦点
    4 見えるもの、見えないもの:ルネサンス精神の夏
    5 くらしのなかのルネサンス
    6 ルネサンス、実りの秋
    7 かなたへの旅
    8 空間と時間をこえて
    終章 日本からの発信
    --
    イタリアに興ったルネサンスの潮流は、次第にヨーロッパ全土を覆い尽くしていく。古典古代の再生を掲げ、絵画、彫刻、建築、文学など様々な分野において、およそ14世紀から16世紀のヨーロッパの人々は古典に酔い古代を懐かしんだ。
    とはいえ、ルネサンスがヨーロッパのすべての人々に等しく影響を与えたかというと、必ずしもそうとは言えないであろう。イスラム教徒など「異教徒」や、あるいは庶民、特に農村地域の人々には縁遠きものではなかったか。
    それでも中世を経て近代に到るまでの狭間に、ルネサンスというひとつの文化的潮流が存在していたことは事実である。本書はこのルネサンスなるものを、地中海世界を舞台の中心に据えて通観する。北方ルネサンスもあったが、本書は大航海の時代を除けば地中海から基本的には離れることなく、この海の周りでの文化の移ろいを追う。
    本書の特徴は、図版がすべてカラーであることだろう。絵画や彫刻、建築、人物像までがカラーで示され、ルネサンスの世界を捉えやすくする。一般的な通史書として、勃興、深化、完成そして急落へと変化していくこの時代の雰囲気を本書で味わうことができる。

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著者プロフィール

 印刷博物館館長。東京大学名誉教授。専門は、西洋中世史(フランス中世史)、西洋文化史。
 1941年東京都生まれ。1965年東京大学文学部卒業、1968年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1969年京都大学人文科学研究所助手。1976年東京大学助教授、1990年東京大学教授、2001年退官。この間、文学部長(1997年4月〜1999年3月)、史学会理事長(1999年6月〜2001年5月)を歴任。2001年国立西洋美術館館長を経て、2005年10月より現職。2005年紫綬褒章受章。
 東京大学在学中は、日本における西洋史学研究について、その文明史的な存在意義を主張して西洋中世史研究の「中興の祖」とされる堀米庸三の下でフランス中世史を学ぶ。12世紀中葉からの北フランスに勃興した大聖堂などの宗教建築様式で知られる「ゴシック」を生み出した中世思想をテーマとして研究者歴を刻む。次第にその後、研究領域を西洋文化史全般へと移行させていったことから、おのずと対象とする時代も拡張されて近世・近代にもおよぶ。風土や町、身体や美術、とりわけ絵画などを題材とすることにより、斬新な視点から西洋史の読み取りに挑戦していく。こうした新しい歴史記述の試みは、その平明な記述とあいまって、研究者だけでなく多くの一般読者にも支持されている。

「2015年 『ヨーロッパ近代文明の曙 描かれたオランダ黄金世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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