村上春樹翻訳ライブラリー - 冬の夢 (村上春樹翻訳ライブラリー f- 5)

制作 : 村上 春樹 
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 381
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (353ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784124035339

作品紹介・あらすじ

天衣無縫に、鮮やかに、そして痛切に-八十年の時を越えて今も読む者の心を打つ、二十代の天才的作家の瑞々しい筆致。フィッツジェラルドのベスト短篇の一つに訳者が挙げる表題作ほか、来るべき長篇小説の原型を成す「プレ・ギャツビー」期の五篇をセレクトした"若き日の名作集"。

感想・レビュー・書評

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  • 五つの短編が収録されておりそれぞれに村上春樹さんからの注釈が付けられている作品。表題作とメイデーはとても読み応えがあり満足感も高かったが、残りの罪の赦し、リッツくらい大きなダイアモンド、ベイビーパーティーは時代背景や私の理解力のなさもあるだろうが十分面白かったもののいまいち要領を得なかった。
    ただ、風景描写や心情描写はとても美しく訳者との相性も合っていたと感じた。描写の美しさのためだけにでも読む価値はあると思う。どことなく作者はメイデーのようなマルチプロットが得意なようにも思えた。また仕方ないことなのかもしれないが個人的には訳者が「華麗なるギャツビー」との比較やそれに向けてということをしつこいくらい書いていることに少し嫌気が差した。

  • フィッツジェラルドのそれぞれの短編に、村上春樹のコメントがあり、ノートが導入となって読み始めることができる。
    ガイド付きで鑑賞できるのがいい。

  • およそ100年前の小説。美しい少女が女性になり、翻弄される主人公の物語。といってしまえばそれまでなのだけれど、自然現象や生き物の営みの中で現れる、ほんの一瞬のきらめきを捉えて、それが失われたことを知る心の動きが描かれていた。男女のことに限らず、人生のほんの短い間でしか出会えない理解できない出来事がある。それに遭遇できただけでも、この主人公は幸運だったのかも。

  • 面白い。表題作『冬の夢』は、まんま『グレートギャツビー』の原型のような作品。
    『リッツくらい大きなダイヤモンド』は、意外と大衆的な、ロマンチックなお話。
    全体的に『ギャツビー』の要素が散りばめられたような作品が多く、これを読んだ後また『ギャツビー』を読みたくなった。

  • 共感できない

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/719178

  • グレート・ギャツビーしか読んだことなくて、それも10年以上前。
    この短編集を読んで、もう一度読んでみようと思う。他の作品も。
    「メイデー」を読んだのが偶然にもメイデーだったことに驚きつつ。

  • カーヴァーよろしく、作品毎に村上春樹氏のコメントがついており、合わせて楽しめました。

    収録作品では『冬の夢』『メイデー』が良かったです。『メイデー』にかんしてはシェルショックの観点から描かれた論文などもあり、人によって解釈が変わる作品だと感じました。面白かった。

    感想メモ。表題作『冬の夢』だけ

    デクスターはジュディー・ジョーンズにたいして深い愛情を抱き続ける。すべてを投げ打ってでも尽くし続ける。
    でもかれが愛したのは、人間としてそこにいる彼女ではない。

    彼の、完全な理想の具現として。青春そのものとしての彼女を愛した。だからこそデヴリンのことばで、あんなにも深い喪失感を得た。それは、一過性の失恋の痛みとは比べ物にならないだろう

    これは男と女の恋物語ではなくて、男の夢とその挫折の物語なのかもしれない。限られたページ数で描ききるフィッツジェラルドの筆力に舌を巻く

  • 自分にもジュディー・ジョーンズのような人がいた。若さゆえの一時的な感情の彩りだったのか、今はわからないし、きっと確かめたくはない。僕は失ったことで得た彩りを"更に"は失いたくないから…(でも死ぬ前に一度会いたい、いややっぱりやめとく、、 でも、、)

  • 『グレート・ギャツビー』の前あたりにかかれたものをあつめた短編集。フィッツジェラルドの全盛期にあたる作品集とのこと。表題作「冬の夢」は主人公とヒロインにギャツビーとデイジーが重なる。

  • 冬の夢 ★4.5
    メイデー ★4
    罪の赦し ★2.5
    リッツくらい大きなダイアモンド ★4
    ベイビー・パーティー ★3

  • 表題作を含む5つの中・短篇を収録。いずれもフィッツジェラルドの初期、概ね『ギャツビー』に先行するもの。この時期、フィッツジェラルドは既に流行作家となっていたが、ここに収められたのは商業誌に「売られた」ものではなく、彼が作家として書きたかったものが集められている。ことに「冬の夢」と「メーデー」には、作家の生い立ちの影が濃い。ミネソタからニューヨークへ、そしてまた東部の(「メーデー」ではイエール大学)エリート子弟たちの生活と、そこに至ろうとする夢。あるいは、そうした世界から排除された者たちを鮮やかに描く。
     私は表題作よりも、当時の社会と痛切にリンクする「メーデー」こそが、この時期のフィッツジェラルドを代表する作品だと思う。

  • カポーティとフィッツジェラルドが、僕の中では、最も美しい文章を書く作家である。そしてフィッツジェラルドは、このうえなく乾いた、美しい文章を書く。

  • もしかして、ここに集められている短編のどれかは高校時代に図書館で借りて読んだかなと思って見てみましたが、どれも読んだことのないものでした。さて、ちょうど最初の短編「冬の夢」を読み終えました。これは本当に1920年代に書かれた小説なのかというのが、第一の印象です。高校時代のとき、フィッツジェラルドの小説について、具体的な印象は残ってなかったのですが、大人になって読んだから受け止め方が違ったのかも知れませんね。あらいる描写表現が自分のツボのようで、どうやらこのような文章が今は大好きなのだということがわかりました。古い作品にこんなに心が揺さぶられるとは。今度はぜひ、原文で読んでみたいと思いました。

  • フィッツジェラルドの世界観が色濃く表されている。

  • 描写の美しさに呻る。村上春樹は、関西出身で東京で苦労したのではないかと、また経済的に人生において腹を括って何かを成し遂げたことがある人(店の借金などで?)ではないのかと思った。フィッツジェラルドへの惚れ込みぶりを見ていて。

  • グレイトギャツビーを読むための準備として購入。
    海外の小説は、翻訳された方の文体との対決になってしまって、いまいち内容が入ってこないこともあるけれど、村上春樹の翻訳は、彼の作品に慣れ親しんだ僕らの世代には染み込みやすい、そういう文体で書かれているように感じます。

  • 描写の仕方が独特で美しい

  • フィッツジェラルド短編の村上春樹訳。
    収録されている5作のうち4作は他の訳にて既読であったが、やはりフィッツジェラルドは何度読んでものめり込む。

    唯一の初見だった「リッツぐらい大きなダイアモンド」には、話のあまりの「ぶっ飛び」具合に度肝を抜いた。作者はあくまで現実味を帯びた作風の小説しか書かなかったのかと思っていたが、これはほとんどお伽噺話(と訳者も語る)。
    しかしその中にもやはり引き込まれる何かがあるのがフィッツジェラルド流である。

    しかし自分としてはやはり「メイデー」「ベイビー・パーティー」くらいの話が好み。
    訳者がベスト3に入ると語る表題作「冬の夢」も良いは良いのだが、思い入れの強さからか、訳者のちょっとした「力み」が感じられるのは気のせいだろうか。

    各作品の冒頭に訳者の解説が載っているのだが、かなりネタバレになっているので、その話を読んだ後にページを戻って解説を読むのが良いと思う。
    作品そのものに不満はないのだが、このへんは装丁というか、本としての構成がもっとなんとかならなかったのか、という不満点。

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