死を超えるもの: 3・11以後の哲学の可能性

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  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130101240

作品紹介・あらすじ

東日本大震災とりわけ原発事故を目の当たりにして,われわれは何を思考できるのか.書物や建物といった遺された物のなかに,世代を超えて築かれる共同世界の可能性を探り,原子力テクノロジーの問題を人間世界の存続という観点から問う.ハイデガー、アーレントらを手がかりに,現代日本における哲学をひらく力作.

感想・レビュー・書評

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  • 「3・11」の衝撃を受け止めつつ、アーレントの語った「世界への愛」に生きる道を探究する哲学的思考の集成。「原子力時代」に、人間がみずからの世界を作り上げてきた技術の手を自然の内部深く侵入させると同時に、宇宙的な自然力を世界のなかへ引き込むことによって、みずから「破滅への共同存在」と化しつつあるのを見据えながら、「物を労わる」ことをつうじて世界を愛する道を探る思考が、建築保存運動などの実践と結びついている点が感銘深い。ハイデガーの技術論やアーレントの戦争論の解釈は示唆に富む。核を手にした人間は、地球をみずからの絶滅収容所に変えつつあるのだろうか。期せずして、西谷修の「世界内戦」論とも接続されうる視点も見られる。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784130101240

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著者プロフィール

1962年埼玉県生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了、同博士課程中途退学。東京大学文学部助手、東京女子大学文理学部専任講師、助教授、教授を経て、現在、東北大学大学院情報科学研究科教授。博士(文学)。専攻は近現代ドイツ哲学、現代における哲学の可能性。著書に、『死と誕生──ハイデガー・九鬼周造・アーレント』(東京大学出版会、第21回和辻哲郎文化賞・学術部門受賞)、『死を超えるもの──3・11以後の哲学の可能性』(東京大学出版会)、『世代問題の再燃──ハイデガー、アーレントとともに哲学する』(明石書店)、『現代の危機と哲学』(放送大学教育振興会)、共編著に、『ハイデガー読本』『続・ハイデガー読本』(法政大学出版局)、訳書に、ハイデッガー『ブレーメン講演とフライブルク講演 ハイデッガー全集第79巻』(創文社)、アーレント『活動的生』(みすず書房、第52回日本翻訳文化賞受賞)、ニーチェ『愉しい学問』(講談社学術文庫)、など。

「2018年 『ハイデガーと哲学の可能性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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