臨床認知心理学 (叢書 実証にもとづく臨床心理学)

  • 12人登録
  • 4.50評価
    • (1)
    • (1)
    • (0)
    • (0)
    • (0)
  • 2レビュー
制作 : 小谷津 孝明  丹野 義彦  小川 俊樹 
  • 東京大学出版会 (2008年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130111232

臨床認知心理学 (叢書 実証にもとづく臨床心理学)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 幾分か「どっかで読んだお話(CBT絡み)」を含みつつ、
    精神分析や認知リハビリテーションと認知心理学との関連が
    明確&熱意を持って書かれていて秀逸。
    特に、4章、6章。

  • 「実証にもとづく臨床心理学」シリーズの5冊目。テーマは、臨床心理学で扱われるさまざまな現象を「認知」という視点から捉えなおそうという、とても斬新な試みです。
    本シリーズ全体に共通して存在している認識として「現在の日本では基礎的心理学と臨床心理学との交流は希薄だ」という問題意識があります。私も全く同感ですが、では、両者のインターフェイスを構築するには何が必要か。本書は、基礎と臨床の双方が互いに歩み寄る必要性を指摘します。その上で本書は2部に分けられ、前半では臨床が基礎に歩み寄る途として「認知心理学的視点を踏まえた心理療法研究」が、後半では基礎が臨床に接近する途として「精神病理への認知心理学的研究」が、ぞれぞれ紹介されます。
    前半では5種類の心理療法についての認知心理学的アプローチが取り上げられます。しかしその内容を実際に読んでみると、もともと基礎領域との理論的結びつきが強い認知行動療法や認知リハビリなどと精神分析学とでは、やはり基礎領域に対する姿勢に温度差があるような感があるのは否めません。また紙幅の都合からか、ロジャーズを始祖とするパーソン・センタード・アプローチやエンカウンターグループ、さらに言えば子どもを対象とした心理療法などは本書の考察から外れています。こうした課題は今後確実に取り組まれるべきものだと思いますが、心理療法の効果が生ずるメカニズムなどを実証的に検討しよう、という動きが出てきたことは大きな前進だと思います。何よりも、森田療法が思いのほか認知心理学的研究との親和性が高いことには驚きです。
    一方の後半では、「精神病理への法則定立的アプローチ」とでも言うべき研究法が紹介され、とても興味深いものでした。本書の中で取り上げられる、先天盲開眼者の体験世界や聴覚障害者の言語発達といった研究を読んでいると、一見従来の「神経心理学」となんら違わないように思えます。しかし本書が唱える「病態心理学」には「観察によって得られた成果を、障害を持つ当事者だけでなく広く人間一般の心的機能の解明にも役立てる」という大きな特徴があります。そしてそれは基礎領域に新しい知見をもたらすと同時に、臨床領域に「実証性」をもたらしてくれるものとなるでしょう。
    私が読んできた本シリーズの他巻と比べると、本書の内容は「実証性への志向」からややトーンダウンしたな、という印象を受けるかもしれません。しかしそれは、臨床心理学を認知心理学するという試みがまだ生まれて間もない動向であることに理由がある、と思いたいものです。この研究領域のこれからの発展に大いに期待したいですね。

    (2010年3月入手・9月読了)

全2件中 1 - 2件を表示

臨床認知心理学 (叢書 実証にもとづく臨床心理学)を本棚に登録しているひと

臨床認知心理学 (叢書 実証にもとづく臨床心理学)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

臨床認知心理学 (叢書 実証にもとづく臨床心理学)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

臨床認知心理学 (叢書 実証にもとづく臨床心理学)を本棚に「積読」で登録しているひと

臨床認知心理学 (叢書 実証にもとづく臨床心理学)はこんな本です

ツイートする