ユーゴ内戦―政治リーダーと民族主義

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著者 : 月村太郎
  • 東京大学出版会 (2006年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130301404

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ユーゴ内戦―政治リーダーと民族主義の感想・レビュー・書評

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  •  ムヅイ・・・ユーゴ紛争ってこんなに複雑だったのね。月村さんは政治家に焦点を当てると言うけど、1)国際社会がコーカサスの紛争等と比し、かなり関与しているので国際社会側の対応とその背景ももっと取上げるべき(→但し、この点については冒頭にそれは論じないとしているので仕方ないが。佐原さんの本で取上げられているらしいのでこっち読めばいいかも知れんけど)、2)旧ユーゴ紛争では様々な武装勢力の関与とその影響力が主張されているので、これら下位国家武装勢力と民族指導者の関係性等々についてもっと明示的に調査、論じないと政治レヴェルの闘争と社会レヴェルでの武力闘争を表裏一体にしていいいのか疑問が生ずる、3)一つの民族に一人の代表的民族指導者がおり彼らが政治的に大きな役割を果たしたのはその通りだが、内部の多様な政治アクターや下位アクターをどのように扱うのかが紛争研究における政治指導者の責任分析では重要になると思う。その意味で月村さんも個別の指導者の名前をかなり出しているので、クロアチア、セルビア、ボスニアの代表的指導者(大統領)や彼らの取り巻き、あるいは各自治共和国大統領だけではなく、彼らと異なる意見を持つ指導者や穏健派の動向と具体的取組み、そしてその後について、もっと取上げてそれらの役割と影響力を考察すると、より多角的な視点から紛争を政治指導者を通して考察する事が出来るのではないかと思う。4)紛争理論について、その構造的要因を与件のように扱っているが、そもそも構造的要因に関して取上げている要素が少なすぎるし一般論でしかなく、具体的なデータや証拠が明示されているわけではない。そのような状況下で政治指導者のリーダーシップが大きな影響を及ぼす前提に構造的要因を持ち出すという事は、実証の出来ていない仮説の上で議論を展開する事に等しく、その点は本書の中で最も納得出来なかった。特に紛争を政治指導者の責任に帰す事はそれ自体議論を鮮明にするし、非常にわかりやすいのではあるが、構造はアクターに規定される側面とアクターを規定する側面とがあるので、従って構造要因も紛争過程で変化する。これらの要因は、一義的や、前提的なものとして取上げるのではなく、時期ごとに扱う必要がある。また構造要因は少なくとも紛争理論による質的、量的抽出に基づいているので、個別のケースにおいてそれらを用いる事が出来るのかどうかの点に留意しつつ、当該地域のデータを用い確かめる作業が不可欠になるのである。
     ただ、それにしてもユーゴ内戦は実に複雑だ。コーカサスの紛争も複雑さではユーゴに劣らないし、歴史的な重層性もかなりあるが、個人的にそれに慣れた事もあるのだろうけど、この本の内容を完全に理解するのは初読では無理だと思う。ユーゴ内戦については新聞記事的知識とKaldorのNew & Old Wars、それからイグナティエフの『民族はなぜ殺し合うのか』で読んだ事はあるけど、この本はついて行く事だけでかなり必死な思いをした。

  • 日経書評061112

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ユーゴ内戦―政治リーダーと民族主義の作品紹介

なぜ悲劇は起こったのか?ユーゴ内戦が発生、激化・拡大し、泥沼化していったのは、単なる民族間の反目によるものではない。各民族の政治リーダーが果たした役割が決定的であった。

ユーゴ内戦―政治リーダーと民族主義はこんな本です

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