計量政治分析入門

  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130322096

作品紹介・あらすじ

政治の世界をデータで読み解く。ExcelとSPSSを使って分析を追体験できる自学自習対応のテキスト。基礎から平易に解説、レポートや論文を書くための実践的ガイド。

感想・レビュー・書評

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  • 政治の計量分析をするのにちょうど良い。

  •  計量政治学の入門書。類書がない中で価値はあると思うが、大いに不満。

     計量政治学をやる以上、統計や数量分析に対して一定の理解があるというのは前提なのかもしれないけど、もう少し丁寧にこの辺を説明して欲しい。これは無いものねだりの不満なので、読者である私に負い目もあるのですけど、以下は本書の欠点。

     第一に、用いているデータソースが既に典拠ウェブサイトにない。データを用いている以上、そのデータのミラーをとっておくなりなんなりして、著者たちは自分たちのウェブサイトでDLできるようにすべき。あるいは、別のサイトで保存されているのならば、それを案内すべき。

     本書では作業しながら学ぶとしている手法をとっているのだから、当該データを読者がすぐに入手できないというのは致命的な欠点。普通、ネット上のデータソースの場合、往々にしてこういう事態は想定できるので、データをCDで同封するか、あるいは万が一の場合を考え、著者が自分のウェブサイトで公開するのが最低限のマナー。本書で用いているデータが本書で記載されているウェブサイトで既にDLできず、しかも著者たちも自分のウェブサイトでデータを一切公開していないという事は通常では考えられない。

     第二に、本書はエクセルで作業ができる計量と、専用ソフトSPSSを用いた方法の二つを紹介している。しかし、後者の初学者には聞き慣れないソフトについての本書内部での説明やDL方法は全く記述されていない。

     通常、シュミレーションだろうと統計だろうと、初学者が取組む上で、出版されて数年経っても有用な書籍が入門書というものである。数年間、限定でしか有用ではないものは、もはや入門書とは言い難い。同じ様にコンピュータを活用した統計入門書や、あるいはIRでも山影氏らのマルチシュミレーションなどはソフトが附属しているか、少なくとも簡単にダウンロードをできる方法を記載している。同じ環境で作業学習が出来ないのであれば、そのような予見される近い将来の状況を加味した上で教科書を執筆する必要がある。

     以上のような点で、本書の不親切さには、ガッカリである。

  • 社会科学全般(特に法律・政治学)を対象にした計量分析のハウツー本。統計的に忠実であることよりも、読者にとりあえずキーボードを叩かせて分析させることを念頭に置いた内容だ。私も打ち込んでみようと思ったがMacしか持っておらず、Excelもいれていないので流し読みだけで済ました。もし統計学を知らない人がいるなら何か他の本で一度全体を学んでこの本をまたとってもらいたい。東大の統計学入門なんて王道だろう

    読んでいて気がついた点としては一般的な経済学とは分析&演算の前段階で一線を画しているところだ。経済学では計量分析のおりに前もって必ずモデルを定義しなければならないが、この本は必ずしもその準備を強制していない。
    というのも政治や法律を計量しようとした場合、それが往々にしてすでにモデルの体を呈しているからだ。所得への影響が学歴か物価か景気に起因するものかなど考えなくていい。各制度が現実にある以上変数はあらかじめ決まっている場合が多い。しかし法律や政治を分析対象に選ぶ際の注意事項としては用語の定義の幅を知ることだ。各国ごとの地方公共団体の税収と人口成長率の相関を調べるに当たって、例えばPrefectureの指定する領域を知らないとまたGRP(域内総生産)にも大きく誤差が生まれてくるに違いない。

    計量経済学という名を冠する通り統計学を積極的に応用しようとする姿勢は社会科学の庭では経済学が一番多く見受けられる。しかし消費性向や弾力性や貨幣乗数を求めても、日銀や財務省でもない限りそれは示唆的以上の価値を持たなかった。そういう意味では行政を数量的に把握させる力を身につけさせることに務める本著は実践的なものであり、昨今のビッグデータの波にも立ち向かっていける良著である。

  • 計量政治の入門書としてはかなり有用。中身はわかりやすく解説されている。日本語で書かれたテキストは少ないので、その意味では価値がある。

    ただし内容は、統計の知識がある程度ないと理解できないだろう。だが、使われている手法はそれほど難しいものではない。
    個人的には、計量分析を基にしたリサーチクエスチョンの見つけ方を知るのに役立った。

  • とてもわかりやすく解説されている。
    学部生が卒論やゼミ論で計量分析に挑戦しようという際に読むにはいいと思った。

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著者プロフィール

増山 幹高
増山幹高:政策研究大学院大学教授

「2015年 『立法と権力分立』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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