- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130430173
作品紹介・あらすじ
意見を異にする人々の社会が一つの選択を迫られたとき,どういう「きめ方」が望ましいか.本書は,投票のパラドックス,アロウの一般可能性定理などを楽しい具体例と簡単な図表で説き明かし,倫理社会の構築をめざす社会的決定理論を意欲的に提言する.
感想・レビュー・書評
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個人の選択を集約して集団としての選択を決める「決め方」に関する議論が、網羅的にかつ精緻にまとめられています。投票のパラドックスやアロウ一般可能性定理など、素朴な仮定から直感に反する結果が導かれることに衝撃を受けました。
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投票のパラドックスについて
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0円購入2005-00-00
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361.4||Sa
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学術的書籍
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より良い社会的決定を導くための理論を提供する良書。
アロウ、セン、ロールズらの議論を踏まえ、人間は利己的ではなく倫理的生き物足りうることを主張している。
具体的には「不平等社会を肯定しつつ、長者は万燈を、貧者は一燈を社会に提供することで豊かな社会が実現できる」と述べられている。
公平的評価によって人が活きるということが、ここまで精緻に主張されているのを初めて読み、感動した。 -
普通の感覚で生きてたら違和感を覚えるような決め方のパラドクス。
投票は平等、というある意味思考停止された理想を打ち砕いてくれる。
それぞれの決め方は単に道具としてあり、有効な使い方がある。
そういう話を述べた後で、社会が持つべき決め方はそれぞれの思いやりであったり自己主張であったりという著者の持論を展開している。 -
今の時代に珍しいような「普通に良著」。
「意志を決定する」という心理的プロセスを、社会という存在に当てはめた場合に生じる諸々の問題について、
実証的に解説している。実に正統な社会心理学の本だと思う。 -
選択の理論については、やはり難しい…。
簡単に言えば、「平等と不平等」の違いを理論的に考える一冊です。
???
しかしながら、理論は脇に置いて読むことができ(失礼 xx;)、
実は、私たちはすべて個人の観点から選択をして、たくさんの異なる人の中で調和して毎日をすごしていて、
私たち一人ひとりが物事を選択することで「自分を知ること≒個としての存在」を表現し、
そして、一人一人の異なる選択をいかに1つの方向性を持って決定していくのか?
つまりそれは、「社会性≒集団の中の個の存在」であることであると分かる。
興味深い考え方の視点があって、たとえば・・・・
●私たちは選ぶという行為を通して、自分が正しいと思うコトや、自分が善いと思うコトを、他人の正しいと思っているコトや、善いと思っているコトと突き合せてみようとしているのである。
まさに選択とはコミュニケーションの素なのである。
●人々はベルトコンベアーで無意味な作業をして歩合給をもらうより、給与に反映しないけれども作業の意味がわかり、事故の作業の重要性が全体の中での位置づけを知ることや、自分たちの工夫で他の人に貢献できることを無上の喜びとする。
人がなぜ仕事をするのかを知ることができないだろうか?
●一見、なりふり構わぬもうけ主義のような商業活動も、もうけることを主眼としているというよりは、取り残されることへの恐怖に駆り立てられていると考えたほうが当たっているようである。
あ~~~、クレームをなくすことがビジネス成功のカギと聞いたことがあるが、そこにつながるように感じる。
●しかし、本来、公正な社会政策というものは、知られざるところを知られざるものとして、可能性に駆けるところがあってよいはずであろう。くだらないと思えることの中にも、もしかしたら素晴らしいものが隠れているかもしれない。長期的にじっくりと育てていけば、いつか、予想もしない素晴らしいものが出てくるかもしれない。従来誰も知らなかった異質の喜びがどこかにあるのかもしれない・・・・・。
これは。。。想定外の状況を乗り越えるときのエネルギーの種かもしれないと思うのです。
個人と全体のバランスを作る視点、つまりは豊かな人生を生きるために大切な視点であるように思うのです。
そして、これは仕事においてなくてはならない”リーダー”の素質ではないだろうか? -
わかり合えやしないってことだけをわかり合うのさ。