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- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130603096
作品紹介・あらすじ
自由に空を飛翔できる飛行機の登場は,たくさんの人びとの胸をときめかせた.一方,戦争という足音が聞こえ始め,各国の飛行機開発は急速に進展していく——飛行機登場から第二次世界大戦前の空気力学研究と飛行機の発展史を,豊富な写真とともに鮮やかに描く.
感想・レビュー・書評
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主に1910年代以降のイギリスの航空工学事情を探り,また戦前日本の空力受容をたどる。 アンダーソン『空気力学の歴史』や『飛行機技術の歴史』とは違ってアメリカは脇役。日本に関しては敗戦による書類散佚や占領期の航空禁止の影響で史料が乏しい中,谷一郎による層流翼の研究を中心にまとめている。
動力飛行の実現以降,航空機技術への関心はイギリスにおいても深まる。航空諮問委員会が立ち上げられ,活発な意見交換のもと,機体の安定性の理論など重要な仕事が多くなされた。あのNASAの前身NACAもイギリスのこの組織をモデルに作られたという。
戦後の航空技術においてイギリスがアメリカに大きく水をあけられたのは,戦争被害や国力もさることながら,ドイツ人技術者の受け入れの有無も大きかったようだ。プラントルの境界層理論や翼端渦などドイツ発の知識の吸収には熱心だった航空研究委員会も,会員はイギリス人に限定されていた。それに対してNACAは技術の中身にとどまらず,ブラウンやカルマンなど優秀な人材を積極的に登用,宇宙開発にまでつなげていく。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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