数学の基礎: 集合・数・位相 (基礎数学 14)

著者 :
  • 東京大学出版会
3.53
  • (3)
  • (3)
  • (11)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 165
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130629096

作品紹介・あらすじ

本書は数学科むきの教科書ないし自習書である。数学科の学生はがっちりした実数論をまなぶ必要がある。ところが、実数体の存在証明、すなわち有理数体からの完備化による実数体の構成をきちんとかいた本は意外にすくない。そこで、本書ではくどいくらい丁寧に実数論を展開した。また、実数論の入りくちとして自然数論には公理を提示し、直観にたよらなくても、公理からすべてが演繹されることを示した。これにより、付録の公理的集合論で定義される形式的自然数から、全数学が展開されることがわかる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 請求記号 410/Sa 25

  • この本は集合・位相の本ではないことをまず断っておく。それに関する部分ももちろん語られているが、実数体の構成等、本来の意味での現代数学の基礎に重きが置かれていることに注意されたい。

  • 2352円購入2009-12-21

  • 集合・位相が主体の本であるが、特に実数体の構成に力をさいている。最後の付録には、公理主義的集合論ZFC(ツェルメロとフレンケルの選択公理を採用した標準的公理系)を載せて自然数を構成している。

    前書きでいわく、日本の本で、実数論をがっしり書いている本はほとんどないとのこと。また、公理主義的集合論もほとんど教えられていないということ。

    前半では、集合一元論的な態度、自然数から整数環、有理数体、実数体の構成などがある。有理数体からの完備化、完備化の一意性などなど。

    後半は、位相に入り、開集合系、閉集合系、閉包、開核、近傍系によるそれぞれの位相の定義と同等性などから始まり、距離空間、ハウスドルフ空間、稠密、コンパクト性、連結性などなど。

    一番最後に論理式の導入から公理系の記載、自然数の構成など。

    「この本の内容は数学者志望の人向けであって、自然科学者や工学者志望の人がやるのは時間がもったいない。これを知らなくても立派な数学者や自然科学者になれる。現に知らない数学者はけっこういる。」とか、「これから群・環・体の定義を示すが、ここで代数論をする気は全くない」とか、「複素数体の構成を示すが、これは有理数体の構成同様、少しめんどくさいが難しいことはない。しかし全くおもしろくない。」とかいったような内容のことが書いてあって、おもしろいなって思った。

    少々変わった本かも知れないけど、説明はかなりわかりやすい。また、完備化や切断のアイディア、位相空間論の斬新な概念、集合の濃度のことなど、非直感的な概念・定理であふれているこの世界はかなりおもしろい。

    そして、新しい数学は無限との闘いだったのだ!ということを知りました。ポイントと思われるところ(例えばちょっと同じに見える開集合系と閉集合系の定義の違い)に必ず無限が!

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

齋藤 正彦 (さいとう まさひこ) 東京都立松沢病院名誉院長

「2023年 『認知症の人のこころを読み解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

齋藤正彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
松坂 和夫
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×