- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130633352
作品紹介・あらすじ
デジカメの時代にわざわざ生き物のスケッチ?いえいえ、じつはそれが大切なのです。自然観察の達人「ゲッチョ先生」が生き物の見方、描き方を伝授します。さぁ、フィールドノートとペンを持って、生き物たちの観察に出かけよう。
感想・レビュー・書評
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2015年2月新着
「絵を描くなんて」「絵心ぜんぜんないんです」「写メすればいいので」というカンジで、まったく絵を描く気がないなら別に本書はお呼びじゃないかもしれませんが、ちょっとだけ「描ければいいなぁ」と思っている方、それも「生き物」「植物」などを描きたいなぁ、と思っている方、しかも「習うとかはめんどくさい」という方、本書はオススメです。著者は「自分は不器用で、必ずしも絵がうまいわけではない」と最初に念押ししているようなタイプの方で、でもどうやって描いてきたか、それを披露してくれています。
小動物、植物、昆虫、鳥など、絵が好きな方は見るだけで楽しいかも。ロットリング(懐かしいな!)やトレーシングペーパーなどを使ったアナログな手法。それもまたよし。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
スケッチをする事は「ウソをつきとおすこと」という冒頭の言葉にあるが、物を描く事は「自分はこれをこう見る」という発露であると思う。
その物に対する好奇心、探究心、深い知識、世界観などが、一枚の絵の中に込められていて、読み物としてもグイグイ引き込まれる面白さだった。
ロットリングのペンを駆使してるのも、親近感を抱くところ♬ -
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99448787 -
わかっているようで分かっていない動植物の姿、形。描くいてみると、わかってくる。そして、姿・形が分かると、なぜそのような形に至ったのか、その動植物の「れきし」と「くらし」が分かる。
<目次>
はじめに
1 生き物の見方
1−1 わかるということ
1−2 「れきし」と「くらし」
1−3 メガネをかけよう
1−4 長靴をはこう
1−5 トーテムをつくろう
1−6 アタックしよう
1−7 もう一つの「れきし」
2 フィールドノート
2−1 フィールドノート
2−2 フィールドノートn鉄則
2−3 クモとテントウムシのスケッチから
2−4 ノートの種類
2−5 筆記具の種類
2−6 ロットリング
2−7 フィールド
3 生き物スケッチの技法
3−1 通信の作成
3−2 「伝えることと」と「伝わること」
3−3 描きたいものを描く
3−4 下絵の描き方
3−5 ペン入れ
3−6 描きすぎないというコツ
3−7 スケッチの三法則
3−8 三法則の具体例
3−9 実体顕微鏡
4 生き物を描くーフィールドの式
4−1 春のスケッチ 花を描く
? 植物の「歴史」
? シダのスケッチ
? 八重の花の秘密
? 野菜に見るもう一つの「歴史」
?「かわりだね」の花
4−2 夏のスケッチ 昆虫を描く
? 嫌いな虫の分類
? 昆虫ルール
? 脚と顎の共通性
? 「かわりだね」の昆虫
? 昆虫スケッチの技法
コラム:昆虫の多様性?
コラム:昆虫の多様性?
4−3 秋のスケッチ キノコを描く
? 「キノコ」の二重性
? 毒キノコの謎
? キノコと昆虫
? キノコから「つながり」を探る
4−4 冬のスケッチ 鳥を描く
? 鳥たちの「くらし」の断面
? 胃の中身に見る「くらし」
? 胃石と「れきし」
? 鳥のスケッチの技法
5 人と自然の関係・・・まとめにかえて
おわりに
参考文献
<メモ>
ヒトも含む哺乳類は、複雑な構造を持つ歯を発達させ、咀嚼能力を身につけ、そのため消化力がアップし、そのため消費力がアップし、大量のエネルギーを消費する恒温性を持つに至ったと考えられている。つまり切歯、犬歯、臼歯などに分化した発達した歯を持つ頭骨は、哺乳類のものであるというわけだ。⇔爬虫類であるワニの歯は相対的に小さく分化していない。(11)
一般のイメージと異なって、ニホンリスはほとんどドングリを食べないことがわかった。(23)
科学を一部の専門家の手にゆだねることの危険性は、現代の環境問題の根本に潜む問題点であるように思う。
2013.03.05 くまざわ書店で見つける -
この人の本、読んだことあるかも。ケンタのフライドチキンを食べて鶏の骨格標本作ったという話。
車に轢かれたタヌキの解剖とか、そういう話を読んだ記憶がある。それとも生物学者はみんなそうなんだろか。
以下、虫の話と絵なので、苦手な人は回避。
昆虫の足の節図解を見て、どうしても自分で確かめたくなった。
転節ってのがあるよ! 関節じゃなくて、駆動用のパーツだよ!
根元に近い方から、基節、転節、腿節、脛節、跗節(クビス。フ。常用漢字外ぽい)
しかし通常の図鑑では背中側から見た図しかない。これでは基節がわからない。
ときは9月末。もう少し前に読んでいれば、セミが拾い放題だったのに! もう抜け殻も転がってないよー!
と思ったらば。
あー、あれも昆虫じゃん。昨晩家の外で殺虫剤を撒いた黒い奴。
ちょうどよくひっくり返ってるし。
と、早朝に写真を撮りに行ったら、携帯の画面の中で、足が動いてものすごく驚いた。昨晩から7時間は経ってるよ!?
とっくにご臨終かと思ったのに……一晩苦しめてしまった。かわいそうなことをした。殺虫剤撒いておいて何をか言わんやだが、苦しめる必要はない。
ということで、昔の名前は油虫なゴは動いてしまって写真がブレて、よくわからず。殺虫剤をさらに吹きつけてから写真撮影という気にはなれずで、しょんぼりしながら歩いてたら、セミの抜け殻発見!
バッチリだ!
前脚と後脚どちらも同じ構造らしいので、これでいいんだろうなあ多分。
腹側に基節がしっかり太くついて立ち上がっているのがよくわかった。なるほどねー
アリは胸が細いので、アリの図なら上からでもわかりやすい。 -
生き物の描き方は、生き物と自然の見方でもある。冒頭の骨の話からぐいぐいと引き込まれる。世界の秘密と不思議は、見る目がなければ秘密でも不思議でもない。気づかない。
ぼくたちは見ているようで、見ていないんだなあ。 -
絵心のない僕には無縁の本かな、などと思いながらも、サブタイトルの「自然観察の技法」に惹かれる。骨を例に生き物のれきしとくらしを見る、という導入部。メガネをかけよう、長靴をはこう、トーテムをつくろう。これらは比喩だが、なんとも期待が高まるではないか。
観察眼の準備ができたところで、スケッチの技法が出てくる。もともと著者は不器用だといい、絵心に自信がない人に、という風に書いてくれていて、もしかして描けるのでは、という気にもなってくる。心構えと技法の両面で素晴らしい。ありがとうございます。