- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130633505
作品紹介・あらすじ
ダ・ヴィンチが残した飛翔機械の絵、デカルトが考えた人体の仕組み、ヒマラヤから送られた植物のスケッチ、ゲーテが賛美した雲の形態学、顕微鏡下に現れた雪の結晶…29の興趣尽きないエピソードとともに。
感想・レビュー・書評
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自然の様子や技術・機械などの図解の歴史を紹介。
言葉を尽くすより図解することで理解が早まるし、図が残ることでその知識を広めることにもつながる。
日本では精密画がなかったが、歴史資料としても重要である。 -
サイエンス・イコノロジーの世界
科学・技術は図像によっていかに伝承されてきたか。
科学・技術の発展に図像が果たした役割は大変大きい。日本の職人の風景では、刀匠の仕事場ではどのように刀が作られているかが描かれ、宮大工の仕事ぶりが紹介されている。アグリコラによる鉱山開発の方法、灯台の土木工事、ダ・ヴィンチのアイデアスケッチなどが紹介される。
また科学の世界でも天体や動植物の記録やアイデアを補足するうえで、図像の存在は欠かせない。文章だけでは伝えきれないイメージを固定させる意味で、図像の果たす役割は大きかったと言える。
普段、仕事の中でも他人への説明に図像を使う利便性は感じている。パワーポイントのようなプレゼンツールが流行るのも図像の分かりやすさを誰もが認識しているからだろう。
この本で気になった記述があった。
顕微鏡の発明者レーウェンフックは絵が下手で助手に書いてもらっていたらしい。「動的平衡」の福岡教授は、同じ時期にデルフトに居たフェルメールではないかと推測している記述があったが、これは実は既に結論が出ていて、トーマス・ファン・デァ・ヴァルトとその子ヴィレムと判明している。専門外の福岡教授の推測も面白いかれど、科学史を研究している専門家の世界は、一歩先を行っているように思った。