映画と国民国家: 1930年代松竹メロドラマ映画

  • 11人登録
  • 5.00評価
    • (2)
    • (0)
    • (0)
    • (0)
    • (0)
  • 1レビュー
著者 : 御園生涼子
  • 東京大学出版会 (2012年5月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130802161

映画と国民国家: 1930年代松竹メロドラマ映画の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  •  小津安二郎『非常線の女』、清水宏『恋を忘れて』、島津保次郎『家族会議』、野村浩将『愛染かつら』などの作品分析を通じ、〈メロドラマ〉の潜勢力の解放を目指した一冊。同じ指摘のくり返しが多く、90分の映画を130分見せられたような感がなくもないが、たんに映画だけでなく、1930年代の文化を考えるうえで重要な著作であることは間違いない。

     著者の分析は、「昭和10年代」では、文学よりも映画の方が複雑な話法を展開できる技術的な蓄積があり、オーディエンスにもそれだけの厚みがあったことを教えてくれる。そのうえで、気になった点を二つほど。
    (1)本書の主な対象は松竹の洗練されたメロドラマで、それはそれでよいのだが、ここでの分析が他の映画会社の作品とどうかかわるかは気になった。例えば、東宝が満映=李香蘭と組んで撮った「大陸映画」などで、同様の主張は議論できるのだろうか。
    (2)筆者は、映画の観客が消費主義的な「大衆」とナショナリスティックな「国民」という二つの力の間で揺れ動いていた、と論じる。とすれば、まさにその境界領域だった植民地や外地での映画受容が問題となるはずだ。筆者は、そうしたいわば社会学的な分析には禁欲的な姿勢で一貫しているが、このテーマを追いかける以上は、必ずしも「国民」に同一化できない日本映画のオーディエンスの存在は、決して無視できないのではないか?

     

全1件中 1 - 1件を表示

御園生涼子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

映画と国民国家: 1930年代松竹メロドラマ映画を本棚に登録しているひと

映画と国民国家: 1930年代松竹メロドラマ映画を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

映画と国民国家: 1930年代松竹メロドラマ映画はこんな本です

ツイートする