- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140015728
作品紹介・あらすじ
イエスはゴルゴタの丘で礫刑されて、三日後に甦った。この復活からキリスト教が起こり、爾来二千年もの間、人種、言語、文化を超えて、世界の歴史形成に及ぼした影響力は計り知れない。そのキリスト教を理解するためには、聖書を通してイエスの実像に迫り、イエスが何を考え、何をしようとしたかを知らなくてはならない。本書は、新約学の権威が、最新の聖書神学の研究成果を踏まえて、ナザレ人イエスの生きざまを読者とともに追体験しようとする、意欲的な試みである。
感想・レビュー・書評
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第1部 イエスの実像を求めて(たったひとりの生涯から;イエスのはたらきかけ;イエスの教え;イエスの神の国運動;神の国とは;神の国と国家;イスラエル回復の鍵;神への懐疑と希望;イエスの使命;イエスと弟子たち;十字架への道;復活とは?)
第2部 神と人間のかかわりを問い直す(生ける屍としての人間;聖書と奇蹟;聖書と聖書研究)
著者:松永希久夫(1933-2005、名古屋市、神学)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イエスのいわゆる「神の国運動」についてよく理解できました。
旧約時代の背景がよく分かると聖書もぐっと読みやすくなりますね。
とくに旧約聖書の預言書はなかなか歯ごたえがあると思いますが、本書でイスラエルの歴史と預言者たちの性格ついて知った上で読めばだいぶ理解しやすくなるのではないかと思います。
イエスの贖い(わたしたちの罪を代わりに背負ってくれる)、復活(弟子たちが神の国について真に理解するよう生まれ変わる)の意味についても腑に落ちました。
信仰の視点に立った書物ですので、教養文庫的な内容を求めている方にはぴんとこないかもしれません。
しかしユダヤの人々は流浪の民ですね……歴史を知ってますます実感しました。 -
とりあえず、歴史や輪郭を少なからず識ることができた点は、なかなか面白いと思えた一冊でした。
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本書は「NHK市民大学」の講義テキストを加筆した第一部「イエスの実
像を求めて」と、この第一部の補足である第二部「神と人間とのかかわりを問い直す」に分かれている。歴史的イエスの問題は聖書学の一大テーマであるが、さすが元東神大学長を務めた聖書学者だけあって、学問的な厚みに裏付けられているがゆえの穏当な解説が為されている。一般向けに分かりやすく、なおかつ学問的薄さから免れているような著作が求められていようが、本書はその一つの代表例である。