- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140018316
作品紹介・あらすじ
なぜ、あなたはスカートではなくジーンズを身に着けているのか?あなたをスタイルの選択へと赴かせる「力」とは何なのか?-今世紀初頭、わたしたちのファッションは社会的規制から解放され、市場経済システムという「力」の下に委ねられた。衣服における性差の消滅を促進した2つの大戦を経て、パリからアメリカ、そして泡沫経済下の東京へ…この見えざる「力」の移動の軌跡を追いながら、ポール・ポワレから川久保玲、三宅一生にいたる、衣服に反映された時代の意識と欲望のあり方をあぶり出し、わたしたちの「ファッションの20世紀」の意味合いを問い直す。
感想・レビュー・書評
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18世紀後半のパリから、1980年代の日本におけるDCブランドの隆盛まで、20世紀のファッション史をたどりながら、近代資本主義という差異のシステムの運動の実相を解明している本です。
少し前から1980年代論が活況を呈していますが、『〈私〉探しゲーム』を執筆した上野千鶴子が小沢雅子の指摘を受けて、「階層分化型差別化」に代わって「横ナラビ差別化」の社会が実現したという意見を訂正したのはすでに旧聞に属することで、消費資本主義の自律的な運動という枠組みの中でファッションを論じるという本書の構図にはあまり新鮮さを感じられないように思います。
もっとも、20世紀のファッション史を簡潔に整理して見取り図を示すところに本書の意義があり、上のような指摘は「ないものねだり」に類するものだということは理解しているつもりですが、もう一歩踏み込んだ考察がほしかったように思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まぁ読むに苦労しない本ですかね。
内容は近代以降のファッションに関することについて。副題にある都市・消費・性が主なテーマですかね。
ファッション史の考察ということで単調さは否めませんが、ファッションが市場に絡み取られる事実を感じることができるでしょう。
差異=新さという考えのもと、市場(大衆社会)に反抗すること・ものが新たなカルチャーとして市民権を得始めると、今度はその文化の論理に沿って市場が形成される。つまり、市場への反発が市場のマジョリティになり、あらたな反発(マイノリティ)を生む原因になってしまうというジレンマがあることを著者は指摘しています。
またファッションの機能性・関係性・広告性についても言及しています。
ファッションに対する見方が厚みを増したものにはなりました。