カレワラ神話と日本神話 (NHKブックス 855)

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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140018552

作品紹介・あらすじ

北欧フィンランドに伝わる美しい叙事詩カレワラと古事記、日本書紀等の日本神話に共通するモチーフを抽出する。宇宙卵、課題婚、呪的逃走、再生、宇宙樹、異族女房、天体解放、児童神、兄妹相姦等々。これらのモチーフをさらにギリシア、中国、ロシア等、広くユーラシアの神話と比較し、その起源と系統的関係を確かめて、日本神話とカレワラ神話を読み直す。また両者の構造を比較し、神々や英雄たちの三機能の共通性を発見する。比較神話学の死角をつく好著。

感想・レビュー・書評

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  • 神話の比較と派生。または為政者による改ざんの検証など。<br><br>この神話のこの部分は日本神話、あるいはほかの国の神話でも<br>類似点があり、どこかからの派生が推測される。<br>といった内容の割とライトな本。<br><br>簡単にさくさく読みました。<br>元から神話比較の類は好きなのです。<br><br>カレワラはフィンランドの英雄叙事詩と言われてますが<br>そう言われても、じゃあフィンランド。という国が<br>どういう個性なのか。<br>パっと思い浮かべられる人はなかなかいない気がします。<br><br>たとえばムーミン。<br>トーベ・ヤンソンはスウェーデン語で書いてますが、フィンランドの作家です。<br>どうもフィンランド語というのはたいそう難解らしく<br>実際にフィンランドに住んでいる人でさえ<br>例えば英語などに慣れてしまうと、フィンランド語を使うのが<br>難しく感じるらしいです。<br><br>文学と語学、そして民族的な個性というのは<br>おそらく深く結びついているのだと思いますが<br>伝統的な言葉や個性が国際化の波にかき消され<br>単一的なものに統合されてしまうと、本来そこにあった真実みたいなのが<br>隠されてしまうような気がします。<br><br>フィンランドに限らず、北欧ではそういった所があるのかも知れませんが<br>このカレワラでは、たびたび、物語の中で<br>本来あったものが、キリスト教の力のもとに歪められたような部分が<br>端々に見て取れます。<br><br>その蹂躙されるさまが、フィンランドの物語では<br>かなりはっきりと描かれているような気がします。<br>「ほしのひとみ」なんかでもトペリウスは異民族差別や<br>キリスト教の権力について、かなりあからさまな形で書いていますし<br>ムーミンの話でも、権力みたいなものに対する批判は<br>全くオブラートに包んでいない書き方をしています。<br><br>そういった意味で、ヨーロッパ中央部が<br>さまざまなものに侵略され、都合の良い改変をされ<br>その大本といったものが非常に見えにくくなっているのに対して<br>北欧という土地柄は、もとからある部分と後から来た部分が<br>あまり完全に混ざっていないところがあって<br>非常に研究しやすい対象なのかなあという気がします。<br><br>カレワラに関しては<br>民間で歌い継がれてきた詩歌を編纂したということがあって<br>比較的、昔の形というのがよく保存されているような気がしますけど<br>一般に文学的な形で流布されているカレワラは<br>収集者のリョンロートによってつじつまが合うように改作されてしまっていて<br>それはそれで文学的には面白いと思うが<br>神話的な比較を試みる際には、逆に邪魔になる。としていて<br>そういったことも含めて、見ていくと面白いです。<br><br>原始宗教――アニミズム――の傾向が似ているのか<br>その後の世界宗教の影響の仕方が似ていたのか<br>形を変えていても、同じような習慣が日本にもあったということが<br>たびたび指摘されていて<br><br>いくつかの概念について――たとえば宇宙卵についてとかとか――<br>これはどこか一カ所で考えられていたものが<br>このように伝わっていたのではないかとか<br>あるいは生活習慣や、その時世界で同時に起きていたことからの影響なのか<br>離れた場所で同時多発的に起きたのではないかとか<br><br>人類が、最終的には七人ほどの母親(分類のしかたなのか二十三人という説もある。確かそれもすべては一人になるという話だった)から派生した。<br><br>という現実から考えても<br>より古いものは民族の移動とともに遥か遠くまで伝わっていたのだろうし<br>新しいものに関しては、どんなに場所が離れていても、ある一定の知識のある人間が同じようなものを見て、同じように感じるということでもあるのだろうし。<br><br>いろんな神話を知っている人は<br>かなりいろんなところが網羅されているので、その点でも面白いだろうし<br>そんなに深いところまでと混んでるワケではないので<br>ひどくマニアと言うわけでもなくても楽しめる気がします。<br><br>カレワラの部分だけ取り上げると、少々少ないような気がして<br>物足りないので、それに関してはほかの本を読むということでー。<br><br>この辺。
    <br>この辺。<br><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4861100348?ie=UTF8&amp;tag=clearoccasiob-22&amp;linkCode=as2&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=4861100348" target="_blank"><img src="http://images.amazon.com/images/P/4861100348.09._SCMZZZZZZZ_.jpg" style="border: 0px none ; width: 100px; margin-top: 3px;" title="アマゾンで買う?"><br></a><a href="http://www.amazon.co.jp/gp/product/4861100348?ie=UTF8&amp;tag=clearoccasiob-22&amp;linkCode=as2&amp;camp=247&amp;creative=1211&amp;creativeASIN=4861100348">カレワラ物語―フィンランドの国民叙事詩<br>キルスティ マキネン/荒牧 和子 訳</a><img src="http://www.assoc-amazon.jp/e/ir?t=clearoccasiob-22&amp;l=as2&amp;o=9&amp;a=4861100348" alt="" style="border: medium none ! important; margin: 0px ! important;" border="0" height="1" width="1"><br>これが本屋でほしかったやつ。

  • まとまりなし、暇潰しにはなるが生憎忙しいので

  • 未読

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