オスカー・ワイルドの生涯: 愛と美の殉教者 (NHKブックス 873)

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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140018736

作品紹介・あらすじ

貴族趣味、個性の演出、閑暇、美的生活-ダンディズムを標榜したワイルドは、紳士と階級の国イギリスで時代の寵児になり、同性愛の告発によって永久追放の身になり果てた。罠にはめられた「国家の敵」ワイルド。そして百年後、二十世紀末に文豪として公式に復活する。ヴィクトリア時代の偽善的道徳と効率主義を軽蔑し、愛の純粋性と自由と美を求めた。ワイルドの生涯とその時代を新資料で読み直す好著。

感想・レビュー・書評

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  • 『ドリアン・グレイの肖像』のラストに衝撃を受け、『幸福な王子』では
    つばめの自己犠牲に涙した。ヘルムート・バーガー主演の映画版
    『ドリアン・グレイ』を観たのは遥か昔。

    オスカー・ワイルド。アイルランドに生まれた作家にして詩人。そして、
    ヴィクトリア朝の道徳観と階級主義の人身御供になった人。

    彼の生涯を追ったのが本書なのだが、同性愛の罪で裁かれた
    「ワイルド裁判」に重きを置いているようだ。

    そこへ辿りつくまでの章は、彼を取り巻く人々や、その時代の思想・
    風俗・文化の描写で寄り道が多い。まぁ、バック・グラウンドを知る
    にはいいのだが、ワイルド本人を知りたくて手に取ったのでちょっと
    物足りないかなぁ。

    同性愛と、下層階級との付き合いを問題視されたワイルド。裁判で
    は有罪を宣告され、ダンディズムを貫いた彼は投獄される。

    数々の著作と、アメリカでの講演で時代の寵児となったワイルドも
    出獄後は貧困と病に悩まされる。

    大英帝国を離れることを余儀なくされたワイルドは、パリで病に
    倒れ帰国すること叶わず他界した。46歳だった。

    朦朧とする意識の中で、自分を追い詰めたイギリスへ帰ることを
    望んだワイルドが哀しい。それにも増して切ないのが、彼の妻
    であったコンスタンスだ。

    資産家の娘であった彼女は、ワイルド裁判の後、ワイルドを名乗る
    ことを止めたが破滅した夫の身を案じ、自分の死後も夫に幾ばくか
    の金が渡るように手配している。

    あと100年、ワイルドが遅く生まれていたら裁判にかけられることも
    なかったのだろうな。でも、100年遅く生まれていたら、時代の寵児
    になっていたかは分からないけれど。

  • 19世紀後半に生きた有名な戯曲家。
    アイルランド生まれ。最初に生まれたのが男の子ので母親はオスカーワイルドを妊娠した時、女の子だったらと願っていたようだ。そのため5歳になるまで女の子のドレスを着せられて大きくなる。
    そのせいかどうかはわからないが、結婚した後同性愛に目覚めてしまい、そのことで裁判沙汰になり、名声を得ていたのにイギリスをさて、パリの安宿で46歳の若さで死んでしまう。
    オスカーはセレブだったので絶頂期には王室のファミリーや著名な人々との付き合いもあった。書いた戯曲は大ヒットし、たくさんのお金も得た。
    ところがオスカーはお金があってもすぐ使ってしまい借金をしても返さない。これを読んで野口英世に似てるなと思った。
    2人の共通点は、天才、借金、浪費、名声、早世である。
    オスカーの思想、生き方、美意識は少し時代の先取りをし過ぎた。死後100年経ってロンドンのトラファルガー広場に銅像が建てられた。

  • とても分かりやすくワイルドの生涯が書かれてて、一足踏み入れるのに助かった。
    サブタイトルの通り、本当に愛と美の殉教者だなぁ…と思った。生き方がすごいし、内面的なものもすごい。アクティブだけど、ちゃんと中身も伴っていて、頭も良い。05-10

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著者プロフィール

愛知県精神医療センター 臨床心理士 公認心理士

「2022年 『心理療法家になる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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