子どもに伝えたい<三つの力> 生きる力を鍛える (NHKブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140019283

作品紹介・あらすじ

引きこもる小学生。算数のできない大学生。他人と会話できず、すぐにキレてしまう若者。彼らの「冷えた身体」を暖め、「生きる力」を鍛えるために必要な「三つの力」を、教育学の俊英が、授業実践に基づき提言する。高い関心を集める「斎藤メソッド」の試みを紹介しながら、子どもたちのアイデンティティをどう育てるのか、レスポンスできる「動ける身体」をどう作るのかを考える。自信を失った日本と日本人に活を入れる、注目の書。

感想・レビュー・書評

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  • 筆者が提案しているコメント力、段取り力、まねる盗む力の三つは社会人になってからも非常に重要なスキルだと思う。それを子供の頃から意識して教育することは非常に大事で自分自身が小さい頃にこのような教師に会えていたら最高だったのになと感じた。

  • 本書で提唱されている「子どもに伝えたい三つの力」とは、「コメント力」「段取り力」「まねる盗む力」です。著者は、これら三つの能力を伸ばすことが教育の重要な役割だと主張し、その重要性と授業などの実践的な試みのなかで「技化」し、さらに子どもたちのアイデンティティの形成へとつなげていくことへ向けての展望を語っています。

    「あとがき」に、「私にとってこの本は、自分の教育学の一般向けの主著という位置づけを持っている」と述べられており、著者の教育学の成果がさまざまなエピソードとともにわかりやすく説明されています。

    おなじく、著者の教育学の根幹的な思想が述べられている本として、『教育力』(岩波新書)があります。これも、本書の「あとがき」で言及されている「教育欲」という概念を展開したもので、ある意味で本書の続編と位置づけることができるように思います。

  • 【いちぶん】
    学ぶことは他者のあこがれにあこがれることである。

  • コメント力、段取り力、まねる盗む力。生き抜くために。

    要約力のないものに対話力なし。
    C1337

  • 生きる力=3つの力
    1.コメント力
    ①要約力
    ②質問力
    ③コメント力
    2.段取り力
    3.真似る盗む力

    授業における段取り力の基本
    =時間と空間をマネジメントすること
    ①授業時間を、1人で考える時間・グループワークの時間・クラスでの時間 に分け、うまく組み合わること。
    ②授業の前準備を大切にすること
    ex.川をきれいにしたい→川はなぜ汚れたのか

  • 再読。

    子どもに伝えたい力を
    ①コメント力
    ②段取り力
    ③まねる盗む力
    の3つにまとめ、それこそが生きる力である、と説く。

    特に共感したのは、p24「学ぶことは、他者のあこがれにあこがれること」であり、教師自身が強いあこがれを持つことが、子どもの興味関心を引き起こすという主張。
    フェルメールの絵を例に出して、「一枚の絵に込められた莫大な意思と情熱と技術が、エネルギーの固まりとなって、見る者の身体に流れ込み、あこがれを引き起こす」という感覚は、私自身、指導の現場を見ていて感じるところがある。

    子どもの無限の可能性を伸ばす上で、教師自身があこがれの対象となること、必要な能力を具体的な三つの力として定義することは、非常に重要であると感じた。

  • 生きる力をコメント力、段取り力、まねる盗む力と大別し、それぞれの根拠がよく書かれている説得力のある一冊。コメント力がいまいちよく分からなかったが、本文を読んでいくうちに腑に落ちていった。換言すれば、コメント力とはレスポンスや質問することでコミュニケーションを円滑に進めていく力。コミュニケーション力と言うと曖昧なのでコメント力にした、と説明されていたが、正直コメント力も結構曖昧ではないか?授業をしていく上で特に注目したのがまねる盗む力だが、現状を考えると、今自分が子どもに大きく望むのはコメント力だということに気付いた。反応の薄さ、寒い身体反応。残念なのは、このそれぞれの力を養っていく上での具体的な手法がさほど多く提示されていない点。まあそれくらいは自分で考えろよ、ということなのか。アイコンタクトプレゼンテーションは面白いと感じた。

  • 「声に出して読みたい日本語」(草思社)という本がベストセラーになった。なんでこんな本が売れるのかなあ、と思っていたが、ちょっと自分でも声に出して読んでみたいなあと、つい買ってしまった。書店では声に出せないから。その本の著者の実践記録が本書の最終章に記されている。本当は、本書を読んで著者の考えにひかれて、「声に出して・・・」を購入したのだけど。著者は生きていくのに必要な力を以下の3つにまとめた。コメント力・段取り力・まねる盗む力。私自身以前はよく講演会に参加した。話を聞きながらかなりのメモを取った。その中で質問する内容を考えていった。それが思いつくとドキドキしたものだ。講演が終わって、司会者が訪ねる。「何か質問はありませんか?」まわりを見渡す。手が挙がらない。そこで私はすっと手を挙げる。自分がした質問に対して、講演者がうれしそうに答えてくれたら、こちらもうれしくなる。質問によってさらに話が盛り上がっていく。ところがときどきこういう人がいる。自分の考えを延々としゃべって、結局何を質問したいのか分からない。それでは講演した先生に申し訳ない。コメント力とは、本を読んだり人の話を聞いたりして、それを要約し、自分なりの考えを述べる、あるいは質問するというような力のことだろう。そのためには要領よくメモを取る、取りながら質問内容を考えるなどの訓練が必要になる。段取り力を身につけるには料理をするのが一番いいようだ。できるだけ短時間に、複数の作業をこなし、最も効率よく仕上げていく。段取りを間違うと、食べるときにはすでに冷めてしまって、まずくなってるやも知れない。また、受験勉強も訓練になる。いつまでに何を仕上げていくのか。自分にとって何が今必要なのか。受験の日までどういうスケジュールですすめていけばよいのか。これら1つ1つを自分で考えていく。親や先生に言われるままではなく。実は算数・数学の学習過程でこの段取り力が養われる。論理的に物事をすすめていく。私は算数で最も大事な考え方は、もしこうしたらどうなるかを考えることだと思っている。おかしなことになるなら、なぜそうなるのかを考える、そこに解答への糸口が見つかる。まねる盗む力は芸術家や芸人や職人の世界ではよく言われる。教えてもらうのではなく、師匠・先輩から盗んでいく。どんな仕事についてもそうなのだろう。上司や先輩の良いところを見習っていく。何もかも教えてもらえるわけではない。学校教育ではあまりにも教えられることに慣れきってしまっている。教えてもらわなければ自分から学ぼうとしない。もっと簡単なことを言うと、算数・数学の授業ではたいてい例題を先生が説明し、類題を生徒に解かせようとする。だいたい類題は数字が変わっているだけだ。同じ要領で解いていけばできるはず。それがすぐできる子とできない子がいる。できる子が減ったような気もする。その原因を究明するのが私の仕事でもある。ちなみに私自身は、それが非常に得意だったという記憶がある。本書の中で一番面白いのはやはり実践記録である。自分も一度参加してみたいし、自分でもできることは実践してみたい。

  • 齋藤先生が本を書く速度は、読者が先生の本を読む速度より速い??学生生活に使えるハウツーが満載です。

  • 2014/08/15購入
    2014/08/16

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著者プロフィール

岐阜聖徳学園大学教育学部教授

「2024年 『「憲法上の権利」の体系』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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