- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140019405
作品紹介・あらすじ
子どもたちは今、小説をどう読めばいいのか。ここ数年の高校入試問題から、太宰治の「角力」、大岡昇平の「少年」、浅田次郎の「卒業写真」、重松清の「エイジ」、椎名誠の「三分間のサヨウナラ」などの必読小説を扱った過去問20を厳選し、国語の隠されたルールを暴き、アイデンティティを確立する小説の読み方を探る。気鋭の近代文学研究者による、意欲的挑戦の書。
感想・レビュー・書評
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期待していたのとは少し違ったのですが、「学校で求められる生徒像に合わせた望ましい解答の仕方」という印象でした。
高校入試で扱う国語を通した小説の読み方入門みたいな内容だと思っていたのですが、どうも違ったようです。
入試でどうしても小説の正解の仕方がわからない人には良書でしょう。
問題数も多く、解説も詳しいのですが、個人的には興味をそそられないというか、こういった「学校に求められる道徳的価値観」に拒否反応が出てしまうので、あまり読んでいて気持ちよくなかった。(筆者は何も悪くないです。)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書の目的は、高校受験に出題される問題をリアリズム小説とした時に、その約束ごとを明らかにすること、高約束事を元にして校入試国語の解法を学ぶことの2つであると冒頭で明言している。
零章と序章では、フィクション/リアリティ、科学(宗教)/リアリズム小説、作者/語り手、ストーリー/プロット、小説/物語などの違いを説明しし、隠されたルールを明らかにすることによって、受験問題に向かうようにしている。
その後の実際の受験問題を例にした10章では、テーマとして、父と子、母と子、老人と孫、兄弟、大人と子供、友情、いじめ、恋、自己、皮肉の典型的な例題を通じて、小説の暗黙のルールとルール等を使った解法が書いてあった。
俗に受験の国語の問題を解ける人は、読書が多い人といわれるが、これは暗黙のルールを自然と理解しており、国語の点数が高いと考えられる。また、これが入試国語の限界でもあると感じた面もあった。零章・序章は特にルールの解説であり、面白かったと思う。 -
問題の選択と解説、試験制度と時代の解釈の双方に舌を巻く。高校入試の小説問題を俯瞰してみることで、日本の今が透けて見えてしまう。恐ろしい本である。
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リアリズム小説の定義も簡潔だし、わかり良いのだが、結局それとは別の回路を使って入試問題を分析しなければならず、どこか空しさというか、詮無さというかそういうものが漂う。
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早く読みたい
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高校入試に出される小説を読み解く中で、小説を読む練習をしていく本です。参考書としてはもちろんですが、一方で、大人が読む価値も感じさせます。選ばれている小説も良質なので、問題を解かずとも読み物として面白いです。