サーカス団長の娘

  • NHK出版
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140054758

感想・レビュー・書評

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  •  ストーリーテラーの天才・ペッテルが、自分の考えたお話を作家たちに売りつける……といったおはなし。ゴーストライターというのとは、ちょっと違う。警句を除いて、彼が売るのは基本的にプロットで、完成は作家にまかせる。
     とても贅沢な小説だった。入れ子になっている梗概のひとつひとつをとっても、面白い小説が書けそうなくらいだ。職業作家がこの小説を上梓したということ自体、ほとんど驚くべきことのように思える。

     ペッテルの行為はべつに犯罪ではない。しかし、彼はあまりにも他人を侮っていたと思う。自分だけが特別だと思い込んでいた。こないだ読んだ、伊坂幸太郎『マリアビートル』の王子や、貴志祐介『悪の教典』の蓮実のように、他人の心を弄んでいる――彼の創造した物語の一部であるかのように。
     それに思い至らなかったから、ペッテルは、みずからの糸に絡めとられてしまう……。
     結末のできすぎ感は否めなかったが、それでもじゅうぶん価値がある作品だと思えた。

     ペッテルは非常にいけすかないヤツだと思うのだが、彼の発する言葉にははっとさせられる。
     これを、作家は、また作家志望の人はどう読むのだろう? と興味を持った。

    原題:Sirkusdirektørens datter

  • ペッテルの溢れる才能と人を惹きつける力、隙のない経営力そして影のある存在感がたまらなく読んでいて楽しかったです。これを読んでから売れてる作家さん達ってペッテルからネタ買ったのかな~なんて想像してしまいます。読み進めてページが減って行くのが惜しいと感じる一冊でした。

  • 記憶に残る本の一冊になると思う。

    キーワードは「三歳」。

    何となく、最後は娘と再会するんだろうな、この女性が娘なんだろうな、とは思っていたけれど、娘は幸せな人生を送るものかなと思っていた。

    一番最後のペッテルの昔の記憶はありきたりながらもゆるやかに胸が締め付けられた。
    それまでの彼の人生を読んできたからかと思う。
    三歳の時迷子になったペッテル少年は、どこに辿り着くのか。元の場所に戻れるのか。最早もう遅いのか。

  • 臆すること無く幾重の物語を紡ぎ、終いにそれに絡め捕られていく主人公。才能を少しだけ分けて欲しい、作家志望には堪らないお話。(笑)
    表紙絵も魅力的でお気に入りの本です。

  • 購入済、未読。

  • とても奇妙な小説です。
    極上のエンターテイメント!

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