ドゥルーズ: 解けない問いを生きる (シリーズ・哲学のエッセンス)
- NHK出版 (2002年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140093016
作品紹介・あらすじ
いま必要な哲学とは何か。「問いが解けない」という事態をどうとらえるか。生命科学の時代に対応するドゥルーズ哲学の核心をクリアに描く。
感想・レビュー・書評
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イメージの力に溢れた本。力強さも繊細さも、概念的厳密さも批判的な視点も、横溢している。ベルグソンという源。デリダという対照。フーコーとの共鳴。簡単ではないが難解でもない。個体という概念の魅力と射程の深さ。三つの時間も興味深い。
現代における切実さと切れの良さではこのシリーズ最高作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
僕が数年前から言いたかったこと以上のことをドゥルーズがすでに語ってくれていることだけは理解した。個人の中の多様性を積極的に発現させようとするのは、ある程度狂気を含まざるをえないことなのかもしれない。
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本文100ページくらいのドゥルーズの入門書。
入門書と言っても、100ページなので、ある視点を設定して、切り込んでいく形になる。この本では、ベルクソンの批判的後継者という観点でのドゥルーズ解釈がなされている。
で、その視点は、すごく説得力がありし、ナラティヴ・セラピー的なものを理論的な親和性が高い感じがした。 -
何年も前に書店で、青い表紙とタイトルに一目惚れした本。満を持して(うそ)、ひもといてみた。周辺哲学の知識に乏しく、書かれた内容の多くは理解できてないが、潜在的な多様体(p28)という「卵(ラン)」の概念に、ワクワクが止まらない、、!
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哲学書を読んだことがなかったのでサブタイトルに惹かれ読んでみたが、メインタイトル通りドゥルーズという人のことを紹介した本だった。
論理学的な言い回しに大学の教科書を読んでいるようで、内容は全然分からなかったけど面白かった。 -
たいへんかっこいい。こういうのをバリバリやれるのもいいななど思った。小伝に具体的な伝記的な話が全くないのだが、いまは浩瀚な伝記も出ていてちょっとみてみようかと思う。文庫化されるとのことだが、15年以上昔の本なんだ。お写真もだいぶお若い。
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ドゥルーズの歴史的な立ち位置、特にベルクソンの時間・生物学的な概念から影響を受けた部分や、ニーチェ、カントからの位置付け、フーコーとの生の哲学としての共通点、外部に根拠を求めるデリダとの対比が、概念の解説と共にわかりやすく簡潔に示されている。また、読書案内として読み進めるべき著作を、哲学史、単独著書、ガタリとの共著に分け紹介しており、ドゥルーズを学ぶ導入として良い。
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ドゥルーズの思想の根っこの部分に焦点を当て、その一点を何とか伝えようとする入門書。ニーチェの「力への意志」とは結局何なのか。それをどれだけ厳密に、雲を掴むような話でなく語れるか。ドゥルーズの取り組んだことはそういうことだ、と理解したが、これでいいのだろうか。
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小著ということもありなんか書ききれていない感じがある。1つは、論証が済んでない、要点だけ書かれている(とくにデリダ=ネガティヴィストのあたり)。2つに、最後クライマックスに到るかと思いきや、なんか歯切れの悪い感じで終わってしまっている。生命と倫理への問題意識は著者の『ヴィータ・テクニカ』あたりに結実していくのだろうけれど、入門シリーズの一著作としてこの終わり方はどうかなーと思う。(これがまた難儀な注文なのだけど)。
ただ、終盤にいくにつれて面白くなっていくのは確か。ドゥルーズの読み方がまた増えたね!
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ドゥルーズ「解説書」を何冊か読んで、三者三様の解釈があるらしいことが分かり、困惑している…
(追記)
以前感じたほど読みは多様ではない。この本では、著者が後書きに記したとおり、生命の跳躍に重心をおいたドゥルーズが書かれている。ガタリを取り込む以前のベルグソン=ドゥルーズ。
国分が主張するには、ガタリ後のドゥルーズでは跳躍モデルからの変転があるとかなんとか。 -
あまり哲学に詳しくない人がドゥルーズを知りたいと思ったらまずこれ。
高校で倫理をやっていた程度の知識量しかない私でも、なんとか読み進めることができた。
過去の哲学者の思想をカットしないで丁寧に説明しており、また、哲学用語(たとえば、脱構築など)にも丁寧な注釈が入る。
これを機にがんばって哲学を学んでみようという気にさせる本だ。
薦めてくれた子に感謝。
この次は同じく檜垣さんが著者であるちくま文庫の『ドゥルーズ入門』に手を出すつもりだ。