ライプニッツ: なぜ私は世界にひとりしかいないのか (シリーズ・哲学のエッセンス)

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (123ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140093047

作品紹介・あらすじ

世の中に、まったく同じ2枚の葉は存在しない。では、「唯一」とはどういうことか。天才ライプニッツの思想を"自分"を手がかりに解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • ライプニッツ 哲学の本。

    筒井康隆 「 モナドの領域 」でわからない所があったので 図書館で借りて読んだ。筒井康隆は 天才であることが わかった

    この本の副題「なぜ私は世界にひとりしかいないのか」に対する著者の答えは「それは謎です。謎のままがいい」という展開に ズッコケてしまった

    ライプニッツ三大思想(モナド、予定調和、最善説)は 面白い

    ライプニッツ 三大思想
    *モナド=分割できない実体、世界の構成要素=単位
    *予定調和説=全てのモナドが調和し、予めプログラム済
    *最善説=この世は最善

    ライプニッツのメッセージ=自分とは謎である
    *謎において重要なのは答えではない〜答えを求る方法、過程、問いの成立条件を問うことが重要
    *謎は謎のままあり続けるべき〜謎が解明されてしまうのは 謎を問う人間が存在しなくなったとき

    ライプニッツは デカルトのように「思考する私」から出発しなかった

    モナドの特徴
    *モナドには窓がない=モナドは相互に物理的影響関係を及ぼさない→モナドには物が出入りできる窓がない
    *対応関係は神を介してしか持つことができない
    *モナドは孤独

    区別不可能=同一の原理
    *識別できないものは同一である=存在するものは 全て 差異がある

    唯一性とは
    *他が可能であったにもかかわらず、そういう多面性を前提とした上での唯一性
    *唯一性は 初めから与えられのでなく、自ら形成するもの

    偶然性とは
    *人間の意思の自由の前提となり
    *神以外の被造物が背負うべきもの
    *神の存在を除外して、それ以外の存在者は 全て 偶然的

    なぜ今ここにいるのか
    *今ここ 以外ののころにいることも可能
    *私が今ここにいるのは 偶然のこと

  • モナド論、偶然性、理由律の肝は分かった。しかし、私は哲学に切実さを求める。その意味で、少し物足りなかった。分かりやすさは、このシリーズ共通の折り紙つき。

    ・事実に対して「なぜ」と問うことは、事実は別の地平に立つことである。:P107
    ・「なぜ私は世界にひとりしかいないのか」を問うとき、この〈自分〉は、世界に埋没して存在するのではなく、唯一性を反省する限りで、その唯一性が意味を持つような存在者としてある。:P108

  • かなり参考になったが、予定調和をやや軽視し過ぎではないか。

  • 個体は二つとして同じものはあり得ず、ゆえに世界は成り立っている。逆もまた真である。個体が、なぜ「いま・そこ」に存在しているのか、についてはすべて理由がある。その理由とはまさしくその個体が内包しているその個体性である。
    というところまで分かったように思うが、個体の空間的・時間的な存在理由がすべてその個体に帰属しているならば、それは必然であると言えるはずだけど、ライプニッツの思想のポイントはそれは偶然であるというところ。
    言ってることは分からないが、僕もそれを支持したいような気分。
    世界のすべては演算によって計算しつくしてしまえるはずだけれど、それをあえて偶然と呼ぶのは、現代SFの命題の一つでもあるんじゃないかな。もう少し精度をあげてライプニッツの思想を読んでみたい。

  • ライプニッツの哲学に「触れる」ことができた感じがする。
    後半は唯一性(なぜ私は世界にひとりしかいないのか)についての著者の哲学に展開していくが、この内容もなかなか興味深いものだった。

  • [ 内容 ]
    世の中に、まったく同じ2枚の葉は存在しない。
    では、「唯一」とはどういうことか。
    天才ライプニッツの思想を“自分”を手がかりに解き明かす。

    [ 目次 ]
    1 モナドの哲学(ライプニッツの時代;“自分”という謎;モナドの思想 ほか)
    2 個体性をめぐって(無差別の不可能性;モナドの絆;モナド相互の関係と交通 ほか)
    3 “自分”の唯一性(“今・ここ”にあること;二種類の唯一性;世界にたったひとりの“自分”)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 読み物としておもしろかった。ライプニッツのことが分かるかと言うと、そうではないような気がする。

  • モナド論についてわかりやすく解説されていた本である。<br />Leibniz自体は、数学では注目を浴びるが哲学者としてあまり着目されない事もあるので一読の価値がある。

  • 予備知識として助かりました。

  • モナドというものは、合成体に含まれている単純な実体のことである。単純な、とは部分がないということである。一なるもの、すなわち単純な実体のうちで、多なるものを含み、これを表現する推移的な状態がいわゆる表象に他ならない。

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著者プロフィール

山内 志朗(やまうち・しろう):1957年山形県生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。慶應義塾大学名誉教授。専攻は哲学。著書に『天使の記号学』『存在の一義性を求めて――ドゥンス・スコトゥスと13世紀の〈知〉の革命』(以上、岩波書店)、『ライプニッツ――なぜ私は世界にひとりしかいないのか』『〈つまずき〉のなかの哲学』(以上、日本放送出版協会)、『普遍論争――近代の源流としての』(平凡社ライブラリー)など多数。共編著に『世界哲学史(全8巻、別巻1)』(ちくま新書)などがある。

「2023年 『中世哲学入門 存在の海をめぐる思想史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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