新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く

  • NHK出版
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本棚登録 : 1201
感想 : 105
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140807439

作品紹介・あらすじ

インターネットの弱点、エイズの急速な広がり、マイクロソフトのひとり勝ち、アルカイダの組織など、ついに複雑系の姿をとらえた話題の書。

感想・レビュー・書評

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  • 以前に読んだ「『複雑ネットワーク』とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ」と内容的にはほとんど同じで、新しい発見は少なかった。(バラバシのほうが先だけどね)

    が、基本的には同じ話なのに、圧倒的にこちらのほうが、面白い。それはさまざまなエピソードがわりと丁寧に紹介されていることもあるけど、著者のストーリーテリング能力が非常に高いことによると思う。

    複雑系でいう自己組織化がなぜ生じるのか、というのは、まだまだ解決不能な難問なのだが、ネットワークをいろいろ研究していけば、どうにかなるのではないか、という幻想をしばし抱かせてくれる。

  • (2006/6/29)
    研究者のみならず,世の中で話題になっていたので,読んだ人も多いであろう.

    内容的にはバラバシさんがネットワークの複雑性について,語っている.

    べき乗則,パーコレーション,ランダムネットワーク,「ハブ」,統計力学との関連性,くりこみ群.

    長らく複雑系の周辺でさまよっている僕にとっては決して新しい話ではなかった(100%理解は出来てないにしろ)が,語り口の平易さに「さすがアメリカ研究者」と思った.

    日本人の書く科学の書はとかく難しくなりがち,それに対し英語の書物にはわかりやすいモノが多い.数学関係などはわざわざ英語で読んだ方がわかりやすかったりする.

    本書の初めでバラバシさんがシステム研究の意義について良いことをいっているので,引用しよう.

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    ここで読者に,決して新聞記事にならない秘密の話を教えてあげよう.
    われわれは宇宙をバラバラにしてしまい,どうやって元に戻せばいいのかわからないでいるということだ.前世紀,われわれは何兆ドルもの研究資金を注ぎ込んで自然をバラバラに分解したが,今はこの先どうすればいいのか手がかりの無い状況なのである—-何か手がかりがあるとすれば,さらに分解を続けていくことくらいだ.
    -------------------------------

    特にバイオロジストはこの感覚を理解してもらえたらうれしい.要素還元主義ならぬゲノム還元主義は分解して還元するだけでは十分じゃないし,また,ゲノムへの還元は多くの場合,個体発生というマッピングが潜在的に持つ非線形性の為に通常健全には行えない.

    この辺りのフィーリングはカウフマンの「自己組織化と進化の論理―宇宙を貫く複雑系の法測」などを読んで欲しい.

    今はネットワーク研究はSNSの隆盛,GoogleのAPI公開などもあいまって,隆盛を極めておりますが,本著者が物理学出身であるということからもわかるように,現在のところの成果はきわめて数理物理学的です.まだ,どれだけ,この手のネットワーク研究にパイがのこっていることやら・・・.それはわかりません.

  • ノードとリンクで表されるネットワーク・トポロジーの世界の歴史と今を教えてくれる本。
    自分にとっては文句なしに新しかったし、分かりやすかった。
    理解すればものの見方がひとつ増えることは間違いない。

    複雑な世界をリンク・ノードというトポロジーで表現してしまったこと、
    法則などないようにみえる複雑なその世界をクラスターができる、という現象にまとめてしまったこと、
    ネットワーク内の任意の2点の最短距離をはかるという手法を考えたこと、
    現実のネットワークは静的でもないしランダムでもないと認めたこと、
    そのひとつひとつの積み重ねの上に著者がいうスケールフリー・ネットワークモデルがある。
    それを武器に世の中の現象を見てみると
    面白いほどさまざまなネットワークがスケールフリーに則っている。
    そのモデルの中核は自己組織化により成長するネットワークの世界、
    優先的選択によるリンクで育てられていくハブ(めちゃリンクをもっている子)だ。

    個人的に、無意識にこうやってネットワークを作ってるなと思うのはプログラミングをするときだ。
    新しく書くとき、どこかで同じことをやっているメソッドがないかを探す。
    見つけたらその関数を呼び出すように書く。
    便利なメソッドはそうやってリンクを増やしていく。
    (のだけれど、そうやってハブ化したメソッドが実は
     ものすごく効率が悪かったりしても影響範囲が広すぎて
     ちょっとづつしか移行できなかったり、あとで問題も多発するんだよなあ、とか。
     だからこそ、人間のつくるものは対症療法的でどんどん複雑になっていくのかな、とか。)
    ぱっと思いつく限りでも例が身近にあるのだから
    この本の威力がどれほどのものか分かるだろう。

    総じて、読む価値ありです。

  • インターネットに関してだけでなく、ネットワークをいろいろな角度から述べている。
    ネットワークの構想がベキ法則やスケールフリーネットワークを生み出し、80:20のパレート深めた。
    今までのランダムネットワークにはなかったハブの存在をネットワークは明らかにしたそう。

    今では情報の集まりにハブがあることは周知だが以前はそうではなかったのかもしれない。ネットワークの概念ができるまでは。。

  • ネットワーク理論についての入門書

  • 約2年かけて執念の読了。学術書は本当にやる気でないし、なかなか読み終わらない。内容に関してはかなり興味深く、多岐にわたる分野を横断した、ネットワーク学とでも呼べる内容だろう。現在の社会において、このネットワークが果たす役割、インパクトの大きさが分かったし、世界を理解するのに不可欠な要素であると感じた。世界は複雑だが、丁寧に読み解いていくと、そこには普遍的な法則があるのだということを知ることで、世界を見る視点がより多角的になれた気がする。

  • 岡本さんに勧められて読んだのだけど、30%も理解していない気がする、、、

  • 304

  • ネットワーク理論であれば、別の本で良いような気がした。
    無駄な話も多いように感じるが、2002年に書かれたと考えればすごいのかもしれない。

  • Amazonで評価が高かったので購入。

    自然界に存在するネットワークは、ランダムにリンクするノードが多数だと思われていた。しかし、実はリンクが少ないものから、多いものへと、冪乗で減少する分布を持つことがわかった。この構造は、大半のノードを取り除いても壊れることはないが、圧倒的に存在が少ない、リンクを多数持つノード「ハブ」を取り除くと、非常に早く消滅する。本著では、何故、自然界のネットワークが、このような構造となるかと、この構造を理解することの利点を説明する。

    ウェブ、生物、経済と、多くの場所で発生するネットワーク構造であるため、自分の分野にも活かせる可能性は高いと感じた。

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