アルビン・トフラー「生産消費者」の時代 (NHK未来への提言)

  • NHK出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (109ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140812181

感想・レビュー・書評

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  • アルビン・トフラー、田中直毅『アルビン・トフラー 「生産消費者」の時代』(日本放送出版協会、2007年)は未来学者のトフラー氏と評論家の田中直毅氏の対談である。トフラー氏は情報化を農業革命、産業革命に続く第三の波と表現した。この情報化によって消費者と生産者の壁が低くなり、生産消費者という新しい個人が台頭する。
    変化のスピードはアクターによって様々である。時代の先端を走る企業を時速100キロメートルとすると、家族は時速60キロメートル、官僚機構は僅か時速25キロメートルである。家族は電化製品などの変化に対応するため、意外と速い。どうしようもないものが官僚機構である。民間感覚が大切である。
    一方で先進的な企業のスピードは速いとしても多くの企業、特に日本企業のスピードは遅いと言えるのではないか。昭和の業界意識に浸かっている企業よりも家族の方が速い。消費者感覚が大事である。不動産業者のマンションだまし売りを契機としてインターネット上で不動産業者への批判が高まり、炎上と報道された(「ウェブ炎上、<発言>する消費者の脅威-「モノ言う消費者」に怯える企業」週刊ダイヤモンド2007年11月17日号39頁)。そこには消費者感覚と比べて後進的な不動産業者の感覚がある。
    タイのバンコクでは老朽化したバスは日本製、新しいバスは中国製が目立つ。バンコク在住10年目の林田浩二さんは以下のように指摘する。「バンコクの街ではここ数年、中国製のバスが走るようになりました。車体も新しく近代的で、エアコンも完備した天然ガス利用のクリーンエネルギー車です。片や日本のバスは、車体が古い上に窓ガラスもなく、黒い煙を吐く車両もあります。いかにも”斜陽の日本”を思わせるかのよう」(姫田小夏「バンコクを走る“奇跡”の路線バス、象徴するのは日本の「強さ」か「斜陽」か」ダイヤモンドオンライン2019年9月20日)。経済大国日本という発想が時代遅れになりつつある。

  • 短かったけどよかった。次世代の機能拡張された「人間」とは今の人間とは違う文化なり人間性が必要だろう、ということね

  • Thu, 03 Jun 2010

    始めに言っておくと,
    とりあえず「富の未来」をよみましょう.

    アルビン・トフラーは未来学者なんていわれるけれど
    情報化社会なんてことばを始めに言ったひとだとか.

    第三の波,生産消費者という言葉も彼の言

    この本は,NHK「未来への提言」 という番組を書籍化したものだが
    経済評論家 田中直毅氏 と アルビン・トフラーの対談形式で
    進んでいく.

    内容的には富の未来で記述されることを,再度語った形だが,
    時間を経て,2006年現在の状況から読み解いているので,日本の政策に対する
    トフラーの考えも分かって面白い.

    アルビン・トフラーの考えを折に触れて 参照するのは,特に私達 情報学人材,知識労働者にとっては重要だと思う.

    第三の波によってやってくる社会は,規模の経済からスピードの経済へと移行する.
    スケールメリットの崩壊は,社会構造自体を変化させるのだが,
    今の時代を動かす,高年齢層の多くは,多分その感覚に気づいておらず,
    もしくは,気づいても行動として反映できず,今も,スケールメリットを追い求め,
    企業統合,大企業化に対して無批判の信任を与えている気がする.

    いや,これは,就職活動を行なう若年層も同じだ.

    もちろん,いつの時代も一定のバランスで一次産業,二次産業,などは残るので,
    そこではある種のスケールメリットは残り続ける.
    # しかし,それも生産の技術に依存するので,なんともいえないが・・・ 

    本書は,アルビン・トフラーをしらない人が,ちょっと読んでみるにはいいかもしれない本である.

    とはいえ,
    個人的には,いきなり「富の未来」を読むことをオススメするが.

  • NHKの対談をまとめた本.背景知識の少ない私にとっては,本としてはまとまりに欠けてしまい,わかりづらい部分が多い.

  • トフラーさんが以前から唱えている「生産消費者」という概念をさくっと簡単に知るには最適。対談形式なので、読みやすい。「生産消費者」について深く考えるには物足りないので他の著書で補う必要がありそう。

  • トフラーは学生時代「第三の波」が話題になっていて読んだことがある。今回は「生産消費者」という新たな言葉で未来を予測しています。予測というよりすでに「生産消費者」は色々と出現してきている(リナックス、カレントTV等)

  • 時代の動きがわかる。

  • 「第三の波」で有名な未来学者トフラーと田中直毅の対談。

    最近のトフラーの考えについて興味があったので(といっても2年前の本ですが)読んでみました。

    が、新しいアイデアというよりは、これまでの考えを引用した話が多かったです。
    この本はNHKの特番をまとめたものなので、必然的にそうなってしまうのでしょうが。

    でもまあ、よい本です。
    トフラーのことがよくわかります。

    「アラブ諸国は原油から得た利益を、貧困を撲滅して先進的な経済をつくるためには使いませんでした。ですから、世界が急速な変化を遂げているのに、30年たってもアラブ世界の経済はほとんど変わっていないのです」

    「(金銭経済に対し)金銭には置き換えられない価値に基づいた『非金銭経済』という考え方が生まれている(=生産消費者)」

    「血圧測定のために病院に行って、医師にその代金を支払う必要がなくなりました。血圧計を買えば、自分で測れるからです。つまり、これまで誰かに支払っていた仕事を自分でするようになったのです」



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