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- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140812327
感想・レビュー・書評
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主人公(アレクサンドル2世)の曾祖父母の代から物語が始まるのはやや冗長に感じるが、ロマノフ家という大家族と、皇帝がいともあっさり殺されてきた黒い歴史を語る上では必要なことなのだろう。強権を持つニコライ1世と主人公が皇太子として登場してからはドストエフスキーなど著名なロシアの作家たちが絡み、徐々に面白くなってくる。
アレクサンドル2世の偉大な功績である農奴解放令の発布後にロシアの青年たちがそれを称えるのではなく、むしろ過激思想に染まり「”改革”ではなく”革命”を」=「皇帝暗殺がそのきっかけになるべき」という信念が時代の潮流となってテロリズムが台頭していく。
最初の暗殺を試みたカラコーゾフの事件における「なぜ皇帝直属の秘密警察である第三部は不穏な予兆に気づかなかったのか?」という冷静な指摘が興味深い。そして側室制度のないロマノフ王朝の慣例を破り、アレクサンドル2世が愛人エカテリーナ・ドルゴルーカヤに「公女」の地位を与え、彼女が”誰もが知っている秘密”として公然と宮廷の寵姫になっていく過程が描かれる終盤に盛り上がりを見せる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
農奴改革を実施したアレクサンドル2世の生涯を描く。ロシア史はとっつき難いイメージがあったのだが、その印象を見事に払拭してくれた本。皇帝自身の生い立ちや性格、プライベートな事柄を述べつつ、1917年のロシア革命の萌芽が生まれた社会情勢の変化をとても面白く書いている
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