- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140812518
感想・レビュー・書評
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Tumblrで目にした引用が心に残っていたので購入。結局好きな箇所はみんな引用投稿で目にした文章ばかりだった。
とはいえ、面白くて(82歳とは思えない軽妙な文章。翻訳の金原瑞人氏のおかげ?それからブラックユーモアを交えた自国批判なども)、温かな本だった。ヴォネガットの愛情を感じる。
ヴォネガットの本はまだ「スローターハウス5」と「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」の2冊しか読んでいないけど、これからももっと読んでいこう。
(心狭いこと言うけど、帯の推薦文に有名人を連れてくるのはあまり好きではない。特に、嫌いな人が推薦文だったので、折角の素敵な装丁なのに!と思ってしまった。心狭いけど。)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カート・ヴォネガットの遺作。邦題は「国のない男」。入籍して、ちょっとして、で、読み始めたのだけど、読み終わって、作者プロフィールをよく見たら、ヴォネガットは11月11日生まれで吃驚した、という。アメリカを悲観しながら、たぶん、それでも、ヴォネガットはアメリカを信じていたんだろうな、と思う。(12/6/3)
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読んで良かった。各章の結文で、都度、ニヤッと口角があがる。おもしろい。
で、面白いだけでなくって、ちょっとホロッとくる文章も散見したりするし、
泣いたし。著者の憤りを交えた指摘も、頷きながら得心する。何というか、
何というか、偉人だなぁと思った。化石燃料中毒。私は軽症ですよ。だって、
自転車っ子ですから。 -
アメリカの作家、カート・ヴォネガットの、自伝的要素も見て取れるようなエッセイ。
昨日図書館で偶然手にとって、即座に借りることを決めた。爆笑の嵐である。ユーモア、というか頓知が効いているというか。そして人間としての「まともさ」を感じさせる、社会批判に考え込む。これを知性と呼ぶのだな、と思わせられる。インテリなどではない、注意深く生きるそのセンスにもとづくもののような。
84歳で逝去した著者の、82歳頃に書かれていた最後の作品ということらしい。
全部読むのが楽しみなような、もったいないような。 -
他の主要作品を読み、彼の思想をある程度理解した上で読むと、より良かったのだと思う。
エッセンスだけを取り出したような作品。
(2011.7) -
2009年4月29日、1回目読了
2010年5月21日、2回目読了
再読しました。
やっぱり彼はわたしがこうありたいと思う大人そのもので、アメリカ批判・現代文明批判・社会主義的なところ、すべてに共感するし、何よりその絶え間ないジョークが好きでたまりません。
アイロニックで、ちょっとシリアスで、でもすごくあったかくてやさしい、人に対する愛が根底に溢れるすてきなユーモアたち。
こんな風に生きたい。こんな人でありたい。
あと1年と少しだけ長生きしてくれれば、ブッシュではないアメリカを彼が見れたのに…と思うとすごく残念です。 -
社会派のエッセイ集。
ブッシュ政権へ言及した現代文明批判にはじまり、独特の世界観や音楽への愛など、ヴォネガット独特の語り口で軽妙に語っている。家に文庫の積読本が何冊かあるので、どれか読んでみたいなと思った。 -
80を過ぎてこのセンスのよさと気骨。素直にリスペクトである。
90過ぎてもど真ん中から清く正しい説教を大量投下するヒノハラセンセイのパワーもすごいが、自分はやっぱり、同じパワーなら、パンキッシュで、でもまっとうな叫びのほうが好きだ。
[more]<blockquote>P71 起きて、外に出て、何かするというのは素晴らしいことではないか。われわれは、この地球に住んでばかばかしいことをするために生まれてきた。これに関してはだれにも違うとは言わせない。
P82 無防備な家族を大量に殺すことで、軍事的あるいは外交的優位を得ようとするのはあまり賢いやり方ではない。そんなやり方でうまくいくだろうか?うまくいくと主張する人々やその同調者たちは、我々にとって目障りな国の指導者たちが国民を哀れむ情を持ち合わせている、と信じているのだ。(中略)そんな理屈を信じる人ならで誰でも、サンタクロースや歯の妖精を我々の外交政策のアイドルにするに違いない。
P99 (ゼンメルヴァイスは)ハンガリーの田舎の病院で生涯を閉じる。そこで人間を見限る-われわれを見限り、情報に頼るばかりで考えることをしない人々を見限り、最後は自分自身を見限った。(中略)悪しき指導者たちは絶大な力を持っていた。そして彼らはふたたび勝利したのだ。まさにばい菌だ。(中略)彼らにとって重要なのは耳を傾けてもらうことだ。素直に聞いてくれる人がいる限り、それがどんなに愚かな内容であっても、彼らの考えはどこまでも続いていく。もし彼らが憎んでいるものがあるとすれば、それは賢い人間なのだ。だから賢い人間になろう。そしてわれわれの命を救い、みんなの命を救ってほしい。誇り高くあってほしい。
P140 おじさんの、ほかの人間に対するいちばんの不満は、自分が幸せなのにそれがわかっていない連中が多すぎるということだった。(中略)幸せな時には幸せなんだなと気付いてほしい。叫ぶなり、つぶやくなり、考えるなりしてほしい。「これが幸せでなきゃ、いったい何が幸せだっていうんだ」と。</blockquote> -
ヴォネガットの読者にとっては殊更持ち上げるような書でもない。でも、ヴォネガットらしさが溢れかえっていて、旧作を強烈に読みたくさせるし、もし、初心者の方が読んだなら、是非この回りくどいジョークばかり言ってると思ったら、強烈に響くパンチラインをサラッとぶっ込むこのおっさんの作品を読んで欲しいと思う。きっと今読み終わったあなたは読みたくなってるはずだ。これが幸せでなくて、何が幸せだってんだ!
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爆笑問題の太田さんがこの作品を好きな理由がよくわかる。
ユーモアと辛辣な皮肉。