NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか 天才数学者の光と影
- NHK出版 (2008年6月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140812822
感想・レビュー・書評
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1228円購入2011-02-28
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本書は、数学について書かれたものではなく、数学者という特殊な生き物について書かれたものである。したがって、「100の難問(ポアンカレ予想)」についての解説はほとんどなく、これを解いたペレルマンおよび、その関係者について焦点があてられている。 この方法は、決して悪いわけではなく、むしろ、ポアンカレ予想とは「3次元ホモトピー球面は3次元球面に同相」であり、これは・・・などと数学用語を並べたてるよりは良いのかもしれない(数学を学んだこと、特にトポリジーが大好きだった私にとっては若干ものたりないが)。 というわけで、この本は、謎の数学者ペレルマンに肉薄しようとする。しかし、このペレルマン、数学以外に興味がなく、外界との接触も断ち、母親と隠れるように生活している。数学者なら誰しも憧れるフィールズ賞まで拒絶し、数学ミレニアム問題を解いた者に与えらる100万ドルさえも拒否。どこまで、変わっているのか、天才もここまでくれば狂人と区別がつかない。このような人の人物像に肉薄するためには、一緒に過ごしたことのある人か、ペレルマンと同じ志を持っていた人に当たる以外手がなく、実際にそうしている。 そのインタビューの中、ある数学者が、「このような難問に一人で立ち向かうことは、なにより恐ろしいまでの孤独と立ち向かわなければならない。その厳しさが、明るく快活だったペレルマンをあのようにしてしまったのではないか」というようなことを言っていた。その時、10年解けなかった問題に取り組んだ日々のことを髣髴とした。ああ、そうだった。数学とはそういうものだった。覚醒と狂気の狭間にあるその断崖に一人立ち、深淵ともいえるその狂気に引き込まれる恐怖と、引き込まれたい願望との葛藤。これこそが、ペレルマンをしてポアンカレ予想を克服させ、と同時に人格を破壊させた。数学の本質とはかくも厳しいものである。
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NHKスペシャルを書籍化した本なので、とても読みやすい。
テレビだったら、さらにわかりやすかったんだろうな。
ポアンカレ予想とそれに挑戦する数学者について、何となく触れることができた。 -
ペレリマン博士。ロシアの天才数学者。ポアンカレ予想を証明した。フィールズ賞を受賞したが拒否した。100年の間解かれなかったポアンカレが予想した問題(単連結な三次元閉多様体は三次元球面と同相である)がどうして解かれたかを追った内容。面白かった。
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NHKスペシャルが元である。数学のミレニアム問題にもあげられているポアンカレ予想がついに証明された。一般向けのため数式はもちろんほとんどない。したがって数学者以外にはこの難問がどう難しいのかさえわからないが、この難問に挑んだ数学者の数々のドラマが推理小説並みに面白い。
著者の春日真人氏は東大大学院理学研究科を卒業したディレクターである。おそらく製作者に数学の要素がなければこの人間ドラマにスキャンダラスな面を強調しただけの全く面白くなかったであろうことは想像に硬くない。 -
2007年に放送されたNHKスペシャルの内容らしいが、番組は観ていない。
本書は番組の内容を取材の様子を交えながら、一冊の本に書き下したものである。フランスの数学者であり、物理学者でもあるアンリ・ポアンカレが提起した超難問「ポアンカレ予想」に関して、これを解決したグリゴリー・ペレリマン博士に迫ろうというドキュメンタリーのような内容だ。
内容は、ポアンカレ予想とはどんな問題かというところから始まり、時間を追ってその難問に挑戦した数学者たちの成果や苦労などが描かれている。数学についての詳細な記述はもちろん出てこないが、専門用語などは注釈にしてわかりやすい解説になっていると思った。
数学の話も、先生方が語るたとえ話をもとに、丁寧な説明でおもしろい話になっていると感じる。ペレリマン博士の具体的な結果については理解するのが難しいが、それでもどんなことをして、そこがすごいのかはなんとなく伝わってきた気がする。
残念ながら、最後の下りではもう一度博士と再会することもなく、賞金の辞退やロシアにこもってしまった理由などは不明のままになったが、「間違いなく何かに挑戦し続けている」という文面が非常に印象に残った。また博士の新しい論文がarXivなどに現れることがあるのかもしれない。 -
よくわからない。
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あたし、数学が好きな人フェチかも。
でもこの本は、
数学ができる人には物足りないと思う。
微積がわかんないあたしくらいバカちんで、
数学好きが好きな人くらいが読んだら丁度いいかも。
読み終わった時に、春日真人さんを始め、取材クルーの皆さまに心の中でお礼を申し上げた。 -
ポアンカレ予想と、それを解決したペレルマン博士について追ったTVのドキュメンタリの書籍化。TVが元ネタなので、非常にわかりやすい説明がなされている。主題はポアンカレ予想よりもペレルマン博士について。数学者というものを、非常に真剣に理解しようとする姿勢が良い。