フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140814048

作品紹介・あらすじ

なぜ、一番人気のあるコンテンツを有料にしてはいけないのか?なぜ、ビット経済では95パーセントをタダにしてもビジネスが可能なのか?あなたがどの業界にいようとも、"無料"との競争が待っている。それは可能性の問題ではなく、時間の問題だ。そのときあなたは、創造的にも破壊的にもなり得るこのフリーという過激な価格を味方につけることができるだろうか。

感想・レビュー・書評

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  • ある日、旦那に「ポートフォリオサイトはtumblrでいいんじゃない?無料だし、クオリティの高いテンプレートもたくさんあるし。」と持ちかけたことがあった。すかさずあった返答は「無料?なんで無料なの?」。その後も「どこがやっているのか」「どこで収益をあげているのか」といった純粋な疑問をいくつかぶつけられたが、自分はそんなこと考えるまでもなく使おうとしていた。


    ■ フリーが当たり前すぎる20代

    プロローグにもあるように、フリー(無料)については、年代が上にいくにつれて懐疑的になり、若い人ほど疑うこともなくホイホイ使うものだと思う。しかし、続けて「無料の周りに世界規模の経済がつくれるというアイデアは、彼ら(20代のグーグル世代)にとっては自明すぎる事実であって、わざわざ書くまでもないことなのだ。」とあるが、これはそうでもないと思う。少なくとも自分はそうだった。無料であることが当たり前すぎて、無意識に使うあまり、そこでどんな経済効果が生まれているのかについては意外と超・鈍感だったりする。LINEやFacebook、あるいはtwitter、google、youtube...これらを使っている20代で、自分が「経済効果をもたらしている」なんて思いながら使っている人なんて稀なんじゃないだろうか。

    そういう点でも、フリーがどんな力を持っているのか、そこでどれだけのお金が動いているのかを知る、とても面白い本だった。


    ■ 他人の手によってフリー(無料で自由)になっていく世の中で

    youtubeで人気のアーティストのMVを、公式チャンネルから綺麗な画質で楽しめることも当たり前になってきた。情報がすぐさま、他人の手によってフリー(無料で自由)になっていく世の中で、クリエイター自らが作品をフリーにする。ちょっと前までは考えられなかったことだけど、気持ちのよい太刀打ちの仕方だなと思う。

    本書の中でも、成功したフリーの事例がいくつか挙げられている。古くはレシピを無料にしゼラチンを売った「ジェロ」の話や、カミソリの替え刃で儲けた「キング・ジレット」の話。その他、現代での新しい「フリー成功事例」と法則がまとめてある。

    シェアやいいね!が当たり前の今、ものを作る人達の側が、生み出した作品をどう扱うかが問われている。これから先、何か新しいことを始めようと思ったとき、たくさんの人に見てもらいたい作品ができたとき、出方を考えるためにこの本を開いてもいいかもしれない。


    ■ ブラよろの事例もあるわけですし、

    ちなみに、経済の本なんて普段滅多に読まない私ですが、おもしろい実例がたくさん挙げられているので、苦なく読めた。フリーに対しては、日本ではこんなすごい事例もあるし、やはり人ごとじゃない気持ちがあったのだとも思う。

    「単行本80万部のヒットと同等」
    ブラよろ2次利用フリー化効果で月650万円の利益、佐藤さん明かす
    | ITmedia ニュース
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1304/22/news128.html

    「ブラよろ」二次利用フリー化から半年でいくら儲かったか?
    | 少年 佐藤秀峰
    http://ch.nicovideo.jp/shuhosato/blomaga/ar204961



    知り合いのライターさんに勧められて読んだけど、すごく実になった一冊。鉄板通り、続けて「MEDIA MAKERS」を読みます。

  • グーグルはおそろしいです。既存の市場に破壊的に参入しようと思えば、タダは強力すぎる武器になります。当然ですが、タダに人々は飛びついてきます。グーグルはさまざまなものでタダを実現しています。インターネットのようなデジタルな世界は、複製に費用がかからないし、劣化もしません。そういう世界ではタダをばらまくことができます。
    昔は「タダほど高い物はない」といわれ、詐欺・マルチまがいの商法がありましたが、グーグルなどのインターネットの世界では、本当にタダが存在します。基本的に利用する側は無料で、広告費で儲けるというテレビと同じスタイルのビジネスです。(しかし、OSのアンドロイドはどのようにして収益を上げるのだろう?宣伝効果のみ?)

    これからは物を売って直接お金を得るのではなく、間接的に儲けるビジネスを考える必要があります。「消費者側には無料で使用できている感覚をあたえて、間接的にお金を払っていただく」といったビジネスです。
    考えはじめると無料で人を集めて、その他で利益を上げることがいろいろできそうです。しかも集められた人々は無料で利用している感覚しかない。何かできそうです。

  • さっき読み終わりました。
    乱文失礼致します。

    すごい、興味深いこと書いてありました。テクノロジーは、限界費用をゼロに限りなく
    近づける力を持っていることは、前から知っていましたが……
    改めて、ロングテールの提唱者から言われると、うーん(シミジミ)

    ビジネスと絡めた話は、日記で改めて書こうかとは思いますが、
    広告業界の方は必読では…そうじゃない方も、是非


    まだ、ビットの世界も成熟しきっていないですね。中身を見る限り。
    有名なコンテンツを作っているアメリカの企業も、マネタイズ出来ていない企業も
    多数
    有名な、フェイスブックや、ツイッターのコンテンツも、広告収入に苦しんでいる事実も。
    ユーチューブだって、知名度の割には、儲かっていない
    テクノロジーが進みすぎて、価格が下がりきってしまった今、ネットのコンテンツだけで、収入を見込むことは非常に難しいだろう。(成功している企業もいくつかあるが・・・)

    実際に、無料ネットコンテンツから、どのように収益化しているかの事例も丁寧に 紹介されている。

    フリーの歴史や、発展の仕方まで、広告・マーケティングの観点から細かく書かれて いる売れるわけだ !!

    久々に読み応えがある本に出会いました!

  • 読みたい時期をすぎてしまった。

  • ネットを中心とした無料(フリー)のビジネスについて書いた本でなかなかおもしろく説得力のある内容でした。
    帯には「2010年代を生き抜くのに欠かせない一冊だ」とあります。そんな本を2010年代の最後に読んでいる自分はどうかと思いますが、後から読んだからこそ、この本で言われていることが概ね当たっていることも分かります。

  • IT関係の仕事に従事していて読書習慣がある人は全て読んでいるんじゃないかというくらい周囲でもベストセラー。

    たしかに本書で述べられているような"フリー―〈無料〉"という戦略は避けて通れないものになってきている。


    参考書として「予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」」の併読も推奨。

  • 書いてある事例は比較的平易でわかりやすいのだが、全体を通して読むと、何が書いてあったのか考え込んでしまった。この本を読むと、19世紀からフリーを導入することにより成功した事例が存在していることが分かる。そして、現在ネットの普及に伴って、より激しく変化・進化を遂げている最中であり、Googleなどの限られた例を除いて成功している企業も少なく、まだ評価や分析が十分になされていないことから、成功事例を羅列したという趣きがある。読みながら取ったメモに、「フリーの意義は、間口を広く低くすることにより、これまで知られていなかった潜在的ニーズ(ロングテールに属する顧客層等)を掘り起こすということか?」とあるが、常識の枠に縛られている気がする。

    ところで、この本では、知的財産は'物事がフリーになろうとする動きを押しとどめる方向に作用する'と本質を喝破している。「ビジネスにおいては企業は知的財産権法を利用して、人為的にアイデア不足を生みだすことでお金を儲ける。それが特許や著作権や企業秘密だ。つまり、アイデアは多くの人に伝わるのが自然だが、その流れをしばらくせき止めて利益を上げようとしているのだ。(中略)だが、最後には特許が切れて、秘密は外に出る。アイデアを永久に止めておくことはできない。(111ページ)」となると、特許屋の仕事って・・。フリーになろうとするアイデアを堰き止めて、エネルギー差を人為的に作り出そうとするダムのような仕事だろうか、などと考え込んでしまった。ただ、このあたりは自然に逆らうことなので、うまくやらないと面倒なことになる。ブラジルで欧米の医薬品メーカーが持っているHIVウィルスの薬の特許に対して、国が強制実施権の発動をほのめかせて、薬価を大幅に値引きさせた事例も書かれていた。いずれにしてもパラダイムシフトを考える上で大変参考になる面白い本だと言える。

  • <まとめ>
    ★フリーとは?
    ・カミソリのプレゼント
    →替え刃を購入してもらうため
    ・プリンターも同じ
    →インク代で儲けること
    ・スマホゲームもそう
    →課金ガチャへの誘導
    ♦︎無料からいかに「マネタイズできるか」を常に考える
    ★第3の価格
    →有料/無料/マイナスの価格
    →マイナスの価格のこと
    ・クレカ作ったらキャッシュバックするなど
    →消費者が財布を必ず開くから
    ・会員費だけを払うユーザもターゲット

  • 2009年の本にも関わらず、メタバースの話や書籍の無料化の話など今のビジネスのマーケっぽい話しがかなり書いてある。2009年7月でデジタル書籍を無料化、30万ダウンロード、有料書籍もベストセラー入りなど、この時から今っぽいマーケ手法を使って結果が出ているのがすごい。
    https://docs.google.com/presentation/d/1cS13Ni2UIg1i31FbNr9l_GgDQo47ngWFbNj-AMhFh-A/edit#slide=id.p
    ・無料のものと有料のものを見極め、常に無料にできるものを探す
    ・お金を支払うには様々な理由がある(時間節約、リスク、好き)
     周辺でお金を稼ぐ方法はある
    ・コストがゼロに向かっていくならば、最初から無料にする

  • 10年前〈2010年)に読了。

    当時としては、無料のサービスは理解できなかった。
    ネットに関わるECを含めて固定費無料が定常化になりつつある。

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