- Amazon.co.jp ・本 (177ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140814123
作品紹介・あらすじ
NHK「仕事学のすすめ」から生まれた本。「顧客の創造」「知識労働者」…ユニクロ躍進の原動力、そこにはドラッカーの教えがある。
感想・レビュー・書評
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ユニクロへのイメージは新しいことをどんどんやるけれども今までのアパレル業界の垣根を壊して中小企業に迷惑をかけまくっている企業というイメージだった。
ただやみくもに企業を大きくしようとしているのではなく自分の考えや理念の中でユニクロという企業を成長させているその中でドラッガーの考えに共感しながら自分なりに噛み砕きながら努力している。それがわかった時に自分が少し恥ずかしくなった。
なんでもまず先入観だけで見ずにその人の背景を知ることによってこうも考えは変わるかと思った。お詫びに今日ユニクロで春モノのコートを妻に買った。許してください。柳井さん。
内容はいろいろドラッカーの考えとともに自分の考えが書かれていてとてもわかりやすかったが・・。答えがなかった。
もちろん柳井社長も苦悩しながらその答えを探しているのだと思う。しばらくはユニクロの動向から目が離せない。 -
寒くなってくると、「ヒートテックを買わなくちゃ!」と思うのは
私だけではないはず。
次々とヒット商品を生み出しているユニクロの躍進には、
目を見張るものがありますね。
本書では、このユニクロの経営のヒミツに迫ります。
ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏は、
ドラッガーに大いに影響を受け、その書籍を何度も読み返し、
自分の経営論を固めていったというのです。
ドラッガーの本はたくさん出ていますが、
その内容を自分の仕事に落し込んで消化するのはなかなか難しいもの。
身近な会社の経営者が、どのようにドラッガーの教えを活かしているのか、
ビジネス事例として読むにはぴったりの一冊です。
この本は、NHK「仕事のすすめ」という番組で放送された内容を、
加筆・補筆、再構成したものです。
本書はビジネス書ですが、スラスラと軽く読めるので、
・「もしドラ」を読んで、もっとドラッガー本を読みたいなという人
・新人ビジネスパーソンのみなさん
・どんなビジネス書を選んだらいいかがわからない人
・ユニクロのしかけを知りたい人
そしてもちろん、
・柳井正さんファンの人!
そんな方にオススメです。 -
流行のドラッカーと、流行のユニクロを組み合わせている。柳井さんの本は、他にも読んでいるが、他の本と変わりがないところが、いいところでもあり、ワンパターンなところ。ぶれていなくて、繰り返しが重要というところではとてもいい。
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「会社という場所に自分の自営業をするために通っている」p93
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ドラッカーに触れるために再読。
何よりも愚直に取り組む大事さを認識。 -
ユニクロの柳井さんがドラッカーをどのように捉えてどのように実践しているかが書いています。ポイントは「会社は社会の公器」「お客様に提供できるものは何か常に考える」「社員は全員"知識労働者"であり、経営者の意識を持つべき」「企業は人を幸せにするために存在している。金儲けは企業存続のための手段にすぎない」
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・いざやってみると高品質かつ低価格を実現するのは非常に難しかった。
最初は中国の工場に発注して作らせてみたものの、どうしてもモールデンミルズのフリースと比べると光沢や保温性・保湿性の点で劣ったものしか出来上がらなかった。
諦めきれないわれわれが試行錯誤の末にたどり着いたのが、東レから原料を買い、インドネシアで紡いで、中国で織るという方法。その結果1900円の低価格が実現した。
・考えてみると本ほどコストパフォーマンスの高い商品は他にありません。
千円や二千円足らずで、何十時間もの講義に匹敵するような、偉大な人の考え方や人生を学べるわけですから。 -
賛否両論あるけど、やっぱすごいよね。
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ひょんなことから、ユニクロというか、柳井正関連の本を2冊読んだ。
「柳井正わがドラッカー経営論」と「ユニクロ帝国の光と影」。
「~経営論」は、NHKの番組が元ネタで、柳井氏がドラッカーからいかに学んで、事業や活動をすすめているかを語ったもの。「~光と影」は、柳井氏の背景となる家庭環境から、中国の下請け工場までを詳細に取材し、ユニクロの実態を暴こうというもの。
前者がユニクロのいい面を、氏が参考にしたというドラッカーに関連付けてまとめたものであり、後者は、大きな成功の裏にある負の側面について詳しく調査している。
柳井氏がドラッカーから影響を受けたことは有名ではあるが、ドラッカーファンとしては、ユニクロがブラック企業呼ばわりされるのをよく耳にして、真相について関心を持っていた。
この点について、「~光と影」の著者の努力で、おぼろげながら真相を垣間見ることができた。
率直な感想として、柳井氏がドラッカーの考えを反映して多くの成果を生み出しいている反面、ドラッカーの考えとは相いれない弱みを多々もっていると感じた。
この間のユニクロの成果については、フリースに代表されるヒット商品を世に送り出し、年々事業を大きくしていること。その背景として、SPAという製造小売り方式で、良品質で低価格の商品を可能にし、日本のアパレル業界にイノベーションを起こしたことなど、ことさら言うまでもない。
また、事業だけではなく、CSRの面でも、商品のリユース・リサイクルで、難民キャンプに古着を送ったり、障がい者雇用を8%まで引き上げたり、「匠プロジェクト」で下請け業者の品質向上に貢献したりなどの数々の成果をあげている。
これらの成果の部分は申し分がないのだが、光のあるところには影もあるのが世の常である。
残念だと感じた点は三つ。
一つ目は、既にグローバル企業として確固たる地位を築いているユニクロが、外部からの指摘がないと社内及びサプライチェーンのコンプライアンス違反を正せないという点。
実は、「~光と影」は、もともと週刊文春に掲載した記事の取材がベースとなっており、本書でもふれられている「サービス残業の実態」などを巡って、ユニクロは名誉棄損で裁判を起こした。しかし、東京地裁は、記事が事実であると認めることが相当と、訴えを却下している。
また、ちょうど今週、ユニクロの中国での下請け工場が、長時間労働や残業代の未払いで、人権団体に告発されたという報道があった。これは、既に4年前に本書で指摘されている事柄である。
二つ目は、柳井氏のワンマンぶりである。
2002年に、いったん若手に社長職を譲り、自身は会長に退くが、この際も実際決定権を握っていたのは柳井氏だったという。そして、わずか3年後には社長を辞任に追い込み、自身が会長兼社長に復帰する。
ワンマン社長やカリスマ経営者の失敗事例は、ダイエーの中内功、ヤオハンの和田一夫、マクドナルドの藤田など枚挙にいとまがない。
ドラッカーは、リーダーにカリスマ性は不要であり、百害あって一利もないことを説いている。
万が一、カリスマ経営者に不測の事態が発生して、代替わりした後に経営が傾いたとしたら、その責任は先代が問われることとなるだろう。
三つ目は、およそユニクロでのマネジメントが、人を大切にしているとは思えない点である。
ユニクロがブラック企業呼ばわりされるのは、離職率の高さだ。
2013年3月号の東洋経済に出たデータでも、ここ最近の入社3年目での離職率は、50%前後と高確率となっている。
新入社員に限らず、上層部を含めて人が辞めていく組織について、ドラッカーの「知識労働者」の特性のように語っているところがあったが、それは違うと思う。
また、休業している職員の88%がうつ病などの精神疾患であることが、部内でも問題になっているという。
著者が受けた柳井氏の感想として、次のように書かれている。
「インタビューなどに見られる柳井氏の言葉に、ユニクロに夢を抱いて入社したが、現場の激務の中で夢破れ、去って行った元社員に対する慰労や配慮の気持ちがほとんど感じられない。」
「~経営論」で語っている、柳井氏がドラッカーに寄せる思いにうそはないと思う。しかし、多くの成果の影にドラッカーの考えとは相いれない過ちがあることを見ると、柳井氏のワンマン体制に問題の根幹があるのではないかと感じた。
いくら能力があっても、ワンマン経営ではその人間の持つ能力の大きさまでしか、組織は大きくなることはできない。柳井氏=ユニクロであるところが、良くも悪くもユニクロの限界なのかもしれない。
いずれにせよ、ユニクロ=柳井氏の、成功している面からも、失敗している面からも、われわれが学ぶことは多いと感じた。